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二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第五話 謎(1-4)

 翌日の早朝、王宮はハチの巣を突いたような大騒ぎになった。
 アイリスの叫び声が聞こえた気がして、眠っていたミレーネは瞼をこじ開けようとしたが、眠気には勝てず再び意識が沈んでいく。
 突然「ドクターを呼べ!」と叫びながら廊下を走る男たちの声がはっきり聞こえ、眠気が吹き飛んだミレーネはベッドの上に飛び起きた。
 すぐに廊下に飛び出し、右往左往していた一人の侍女を呼び止めて何が起きたのかを尋ねる。
 すると、フロリア王妃が腹痛を訴えて苦しんでいるという。
 こうしてはいられないと焦ったミレーネは、侍女に着替えの手伝いを頼んで飾りの少ないドレスに着替え、母の部屋へと急いだ。
 ちょうど宮廷医師が診察を終えて、流産の可能性があると沈痛な面持ちで語っているところに出くわした。
 フレデリック王の顔からさっと血が引き青ざめるのが、ミレーネの目にもはっきり見てとれる。額を押さえて表情を隠したフレデリックが、苦悩を滲ませた声を発した。

「なんということだ。妃が懐妊していたというのか。何とか流産を食い止められないか」
「こればかりは、神の手に委ねるしかありません」
「神に祈り続けてようやくできた子だ。生まれもしないのに連れていくのを黙って見ていろと言うのか。誰か、医術に精通した魔術師を呼べ!」

 王の怒声に従者が返事をして、勢いよく走りだす。医術師が到着するまでミレーネは、母フロリアが横たわるベッドの傍に用意された椅子に腰かけ、お腹を守るように丸まった母の背中を撫で続けた。

「神様、お願いです。どうか母の赤ちゃんを連れていかないで。助けてあげてください。もし無事に生まれたら、赤ちゃんを守れるように私も強くなるから、どうか願いをお聞き届けください」

 母の背に触れた指先が熱を持った気がする。気のせいか荒かったフロリアの息遣いも、少し治まったように感じた。
 もしかしたら、枯れてしまったと思っていた魔術の中に、使ったことのない治癒の魔術が生き残っていたのかもしれない。
 ミレーネが母の背から離した指先をじっと見つめて考えていたとき、フレデリック王の侍従が戻ってきて、医術師が到着したことを告げた。
 医術師が横たわったフロリア王妃に呪文を唱えながら手を翳す。目を閉じて容態を探っていた医術師が眉根を寄せた。

「確かに王妃さまの体内に命の光を感じられます。ただし、その命は今にも消えそうなほど弱っていて、呼び寄せようにも反応しません。超自然的な力が働いているのかもしれません。呪術ならば大魔術師に解いてもらわなければ、この赤子の命は数日と持たないでしょう」


次のお話をお楽しみください(*´▽`*)
二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第五話 謎(2-4)|風帆美千琉 (note.com)


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