「死、のち殺人」第7話

 それから数日間を地獄の底のようにいるような心地で過ごした。
 鈴木桃花の安否は不明。生前の未練は想定不能。毎日届くDMはいたずらばかり。数人だけ憑依者らしき人からDMが届いたが、どの人からもWeb会議への参加は断られ、音信不通になってしまった。それ以外に目ぼしい手掛かりは何ひとつ見つからない。
 気は塞ぎ、食は細くなり、体は信じがたいほどに怠い。辛酸を嘗めるとはこういう状態のことをいうのだろう。このままだと鬱になって悪霊化の前に自殺しかねないため、やむなく一度外に出ることにした。そういう気分ではなかったが、今の自分の状況を打破するには無理やりにでも気分転換をする必要があった。
 なんの気なしに駅前まで歩くと、人でごった返していた。大型のショッピングセンターや家電量販店が軒を連ね、想像以上に都会であることを思い知った。東京に出ずともなんでもそろいそうだ。
 駅中に入ると四方八方からの人の流れに酔いそうになり、デパートの入り口付近の壁際まで避難した。壁にもたれて道行く人をぼうっと観察していると、あることを思った。
 果たしてこの中に、何人の憑依者がいるのだろう。
 悪霊殺人が三か月前から急増しているのなら、その予備軍も増加していると考えるのが自然だ。ならばこの中に憑依者が数人いてもおかしくはない。もしかしたら百人単位でいるのかもしれない。だとしたら、原始的な方法で憑依者を探すのはどうだろうか。
 当然、パッと見ただけでは憑依者はわからない。だが、憑依者なら自分の現状について調べるはずだから、何らかのタイミングで悪霊化について知ることとなるだろう。生前の未練を晴らさなければ悪霊化して人を殺してしまうという説は精神的にかなり負担になる。もし憑依者なら、悪霊化を恐れて心身の不調をきたしているはずだ。特に悪霊化が近づいている人は、表情が露骨に暗くなり、挙動に異変があるかもしれない。体調不良者や鬱状態の人との区別はつかなくても、手あたり次第に聞いてみればいつかは憑依者にあたるだろう。
 そう考え、さっそく翳のありそうな人に話しかけることにした。
「あの」
 試しに涙目の女性に声をかけると、鬼の形相でねめつけられた。目の端にはこちらを指さしている人が映っている。そこで自分が中年男性であることを思い出した。中年男性は、それだけで他人からの信頼度が一気に下がるのだろう。特に若い女性や子どもに話しかけたら通報されかねない。急に周囲の視線が気になり出し、デパートから離れた。
 向かいのショッピングセンターの入り口まで移動すると、女性に話しかけることは断念して何人かの男性に声をかけた。しかし、もれなく無視された。「道をお尋ねしたいんですけど」という一言を添えても結果は同じだった。男性は見ず知らずの中年男性に対しては不親切なのだということを痛感した。
 それからさらに十人ほどに声をかけたが、すべて玉砕。原始的な方法では無謀だと諦めかけたとき、見るからに生気が抜け落ちている中年女性がこちらに向かってくるのが見えた。もしかしたら同じ中年であれば女性でも声掛けに応じてくれるかもしれない。藁にも縋る思いで声をかけた。
 げっそりとしている白髪交じりの中年女性は、予想通り私の掛け声に反応して立ち止まった。
「なんでしょうか……」
 彼女は胡乱な目でこちらを窺っている。その瞳に光はなく、顔も唇も真っ青だ。憑依者である可能性が高まる。
「私は動画クリエイターの仕事をしている者で、街中の人に簡単なアンケートを行っています。ほんの数分ほどお話を伺えないでしょうか?」
 我ながら滅茶苦茶だとは思うが、背に腹は代えられない。息を呑んで回答を待つと、中年女性が荒れた唇を開いた。
「はぁ……まぁ、いいですけど」
 中年女性は呆気にとられながらも、拒否はしなかった。私はすかさず彼女を駅の隅まで誘導し、言葉を吟味しながら会話を続けた。
「実は街中の人のお悩みを伺っておりまして」
「……はぁ」
 中年女性から素っ頓狂な声が漏れる。
「なにかお悩みはありますか?」
 さすがにいきなり憑依者かどうかを聞くわけにはいかない。まずは悩みを掘り下げ、折を見て自分が未明の鵺であることを明かす。憑依者なら動画のことを知っている可能性が高いから、驚嘆の表情を浮かべるだろう。そこで見極める作戦だ。
「悩み、ですか……」
「ええ。一番悩んでいることは何でしょうか?」
 中年女性は顔をしかめた。どうやら返答に窮しているようだ。ふと彼女の頭頂部に視線を移すと、つむじの横のあたりに不自然にはげている箇所がある。円形脱毛症だろうか。よほど思い悩んでいることがあるのだろう。
 憑依者である可能性に期待を寄せながら息を潜めていると、彼女が口を開いた。
「最近、野菜の値段が高いことですかね」
「へっ」
 今度は自分の口から素っ頓狂な声が漏れた。
「あの……他にはありますか?」
 気を取り直して再度質問をする。中年女性はさらに眉根を寄せた。
「肝斑が増えたことですかね」
「は、はぁ……」
 確かに女性特有の悩みではあるが、求めている回答とは乖離している。
 もしかしたら、私の質問の仕方が良くなかったのかもしれない。
「あの、人生で一番の悩みはありますか? 気が塞ぎこんでしまうような、鬱状態になってしまうような、大きな悩みです」
 中年女性が怪訝な表情を浮かべている。しばらく逡巡のそぶりを見せていたが、やがて何かを決意したような面持ちで小さく口を開いた。
「実は……」
 中年女性が片手を口の横に添え、内緒話のポーズで声を潜めた。彼女の声が周囲の雑音にかき消されないように身を乗り出す。自分の喉仏が上下に大きく動いたことを自覚した。
「二の腕のほくろから、毛が一本生えてきたんです」
 慮外すぎる回答に言葉を失った。悪霊化して大切な人を殺してしまうかもしれない恐怖に苛まれている私からすれば、あまりにも小さすぎる悩みだ。
「それが悩みなんですか?」
 そう言った瞬間、中年女性の表情が豹変した。目が吊り上がり、顔に血が上っている。
「その口の利き方はなんなんですか?」
「す、すいません」
「これが悩みじゃないとでも言うんですか?」
「あ、いえ、決してそんなつもりでは……」
「いきなり話しかけてきて人の悩みにずかずか踏み込んできたのにその反応って、あまりにも失礼すぎません?」
 彼女の言う通りだ。悪霊化のことで頭がいっぱいで、言動への配慮が欠けていた。焦りながらも、誠意をもって深々と頭を下げた。
「申し訳ございません。しかし、決してそんなつもりじゃ……」
「うるさい! 人をバカにするな!」
 中年女性が稲妻のような怒号をあげると、周囲の人の視線が一斉にこちらに向いた。まさに針の筵状態だ。自分の安直な言動に激しい後悔の念を感じ、何度も頭を下げて平謝りした。しかし、彼女の怒りは一向におさまる気配がない。
「あんたどこの誰よ! 動画クーデターだかなんだかしらないけど、自分の身分を明かさずに人の個人情報を訊き出すって何様のつもり?」
「本当に申し訳ございません……」
「ほら、名乗りなさいよ!」
 気付けば人だかりができていた。中年女性の癇癪はとどまることを知らず、どんどんエスカレートしていく。私は深々と頭を下げることしかできない。
 絶望で頭が真っ白になっていると、見知らぬ声が頭の上で響いた。
「うちの父がすみません」
 父。まさか鈴木次郎に娘がいる? 
 あまりの出来事に反射的に頭を上げると、制服姿の女の子が立っていた。身長や体格からして女子高生だろう。鈴木次郎には似ても似つかない。髪はポニーテールで、思春期特有のふっくらしとした顔つきだ。くっきりとした二重であどけない顔立ちなのに、くまがひどく、血色が悪いせいで十代特有の弾けるような若々しさは感じられない。
「何よあんた!」
「父、若年性認知症なんです」
 突飛すぎる発言に泡を食った。思考が停止する。
「だ、だからなによ」
「元気だったころの仕事癖が抜けきらなくて、人様に迷惑をかけることがあるんです……すみません」
 そう言いながら、女子高生は涙を流した。中年女性は動揺しているのか、喃語のような声しか発しなくなった。周囲はざわめいている。あのおばさん、女の子泣かせてる。うわ、ヒステリー。中年女性を責め立てるような声がちらほらと聞こえてくる。
「後日お詫びをさせていただきたいので、お名前を教えていただけますか? こちらの手帳に記載してください」
 女子高生は涙をぬぐいながら、スクールバックから取り出した手帳を中年女性へ差し出した。周囲のざわめきが強まる。あの子、しっかりしてる。みっともねぇばばあだな。
 中年女性は冷たい衆目に気付いたのか、狼狽えながら若い女性の手帳を押し返した。
「……も、もういいわよ!」
 中年女性はそう言い捨てると、逃げるようにその場を去った。
「お父さん、行こう」
 私は呆然としながら、女子高生の後に続いた。
 
「全部嘘ですよ」
 札幌の街中を女子高生とともに無言で歩くこと数分、思い切って先程の件について尋ねると、彼女はあっけらかんと答えた。
「う、そ……」
「はい。助けたかったんで」
 ということは、鈴木次郎はこの女子高生とは親子でもなければ、若年性認知症でもないということだ。
 呆気にとられて閉口していると、彼女が歩きながら私の顔を覗き込んできた。
「迷惑でした?」
 探るような眼差しには、不安の色がにじんでいる。
「い、いや……むしろ、助かりました。ありがとうございました」
 素直にお礼を言うと、女子高生はかすかに微笑んで前へ向き直った。
「よかった。理由はどうあれ、大勢の人がいる中で怒鳴ったり名前をしつこく聞いたりするのが許せなかったんです。だから名前を聞き返してやりました」
 女子高生は清々しい表情で言った。中年女性を怒らせてしまったことに対しては自分に非があるが、確かに公衆の面前での態度としては度を越えていたように思う。心底困っていたから本当に女子高生に救われた。それにしても、あの涙が演技だったなんて驚きだ。
「ありがとうございました」
 改めてお礼を言うと、会話がぷつりと途切れた。女子高生は緊張した面持ちで、口を小さく開けては閉じることを繰り返している。その姿を見ていると、ある疑問が湧き上がった。
 彼女はなぜ、見ず知らずの中年男性を助けたのだろうか。
 しかし、年の離れた十代の子にそこまで深く尋ねるのは気が引ける。結局お互い二の句を継げないまま、巨大な広場に出た。
「座りましょうか」
 女子高生は小走りでベンチに向かった。走る体力が残っておらず、歩いて彼女の後を追った。途中の案内板には『大通公園』と書いてあり、さっぽろ雪まつりで有名な場所だという知識が湧いてきた。
 辺りを見渡すと草木や鮮やかな花々が生い茂っていおり、瀟洒な噴水の周りにはカップルがちらほらいる。なんのしがらみもない状態できたらさぞかし晴れやかな気分になっただろう。しかし、今は状況が状況だ。
 複雑な心持ちのまま、女子高生から人二人分のスペースを空けてベンチに腰掛けた。目の前には華やかなテレビ塔が聳え立っている。ふと真横に気配を感じて視線を向けると、彼女が距離を詰めてきていた。ベリー系の甘い香りが鼻腔をくすぐる。まっすぐな眼差しに気圧され、背筋がびくんと震えた。
「あの……」
 女子高生の緊張感がこちらまで伝播する。同年代なら確実に告白の雰囲気だ。
 しかし今の私は中年男性。一体何を言われるのか想像もつかない。
「未明の鵺さんですよね?」
 心臓が内部から突き上げられたような感覚が走る。
「な、んで……」
 未明の鵺は仮面を被っていて年齢も本名も非公開だ。なのになぜこの女子高生は正体を知っているのだろう。
 肯定も否定もできずにいると、彼女が断言した。
「声が同じでした」
「こ、え……」
「わたし、未明の鵺さんの動画を穴が開くほど見ているからわかるんです」
 私の動揺を見て疑念が確信に変わったのか、女子高生は興奮気味に語り出した。
「ちょうどあのおばさんの横を通るときにあなたの声が聞こえてビビッと来ました。顔を見たら想像より年がいってたんで……あ、失礼だったらすみません。でも、だから、最初は違うと思ったんですけど、おばさんに動画クリエイターって名乗っていたから、やっぱり未明の鵺さんじゃないかと思って、盗み聞きしてました。あ、これもすみません」
 つまり、彼女は未明の鵺のファンということだ。芸能人が変装しても声でバレることがあるというのは聞いたことがあるが、まさか動画配信者でもそんなことがあるのかと驚いた。
 この場合は素直に認めた方が良いのだろうか。しかし、未明の鵺は際どい都市伝説を扱っているから苦情も多い。万が一ここで認めたことがあだとなって個人情報が流出したら、彼の人生を陥れることになってしまう。もう、人の人生を壊したくない。
 結局肯定することはせず、代わりに逆質問をした。
「都市伝説が好きなんですか?」
「いえ、別に、むしろ、あんまり」
 女子高生は狼狽えた。都市伝説が好きではないのに未明の鵺の動画を穴が開くほど見ている理由がわからない。
「じゃあ、なぜ見てくれているんですか?」
 続けざまに質問すると、女子高生がさらに距離を詰めてきた。そしてあろうことか、彼女は潤んだ唇を私の耳元に近づけて囁いた。
「驚かないでくださいね」
 やわらかな息が耳に吹きかかり、心臓が直接撫でられたかのように反応した。甘い香りが顔に纏わりついている。
「わたし、憑依者なんです」
 いた、と思った。快哉を叫びたい衝動に駆られる。
 女子高生は私の耳元から唇を離すと、大きく息を吐いた。緊張から解放されたようだ。一方の私は、体の芯からじわじわと熱がみなぎってくる。なんとしても会議に誘わなければならない。その使命感が全身を支配する。
 今すぐにでも連絡先を交換したかったが、中年男性に迫られる恐怖は誰よりも理解している。慎重に交渉しなければならないと考え、声のトーンを下げた。
「……驚きました。今は、何人目ですか?」
「四人目です」
 女子高生の瞳に翳が差した。くまのひどさと血色の悪さは、悪霊化の恐怖からくるストレスによる症状だろう。
「でもまだ時間はあります。わたし、憑依日数が長いんですよ」
「どのくらいなんですか?」
「一人あたり四十三日です。この体になってからは十七日目」
 あまりの長さに面食らった。草心は十六日と言っていたから、人によって憑依日数に差があるのだろう。もしかしたら一日だけという人もいるのかもしれない。
「だからその間に情報を調べまくりました。でも、未練の話は未明の鵺さんの動画で初めて知ったんです。だからお話を聞きたかったんですが、DMする勇気はなくて……」
 中年女性から身を挺して守る勇気はあるのに、と心の中で疑問に思ったが、人間は案外そんなものかもしれない。実社会では小心者だけどネット社会では横柄な人がいるように、彼女は場面によって振る舞いが変化してしまう人なのだろう。
 特に憑依者は性格がぶれる傾向が顕著でもおかしくない。なにせ本当の自分がどんな人間なのかもわからないまま色々な人の体を転々とするのだから。実際、私自身も憑依相手によって性格や習慣が変化した。
「だから今日お会いできて、感動しています」
 どうやら彼女は、私が未明の鵺であることを信じ切っているようだ。今更否定をするのは難しいだろう。やむなく未明の鵺であることを認めることにした。
「あの、もしよければ悪霊殺人についてもっと詳しく教えてくれませんか?」
 女子高生の質問を受け、この流れなら提案できると思った。
「それなら、ちょうどよい機会があります」
「え、なんですか?」
「近々、憑依者同士のWeb会議を開く予定なんです。あなたも参加しませんか?」
 自然な流れで言えたことに安堵する。しかし、女子高生は表情に不安をにじませた。
「参加者は何人ですか?」
 訊かれて返答に窮する。今のところスピカとロクだけだ。少なすぎると断られてしまうだろうか。しばらく逡巡したが、正直に答えることにした。
「まだ二人です。実はそのうちの一人から、憑依者の会合を開かないと未明の鵺の発言が嘘だと世間に暴露する……なんて脅迫を受けています」
「それはひどいですね。未明の鵺さんは嘘なんかつかないのに」
「ありがとうございます。でも、そのことを知ったうえで会議に参加してくれる憑依者がなかなか現れなくて……」
 言葉尻を濁すことで困っている雰囲気を醸すと、女子高生がすかさず口を開いた。
「憑依者限定のネットコミュニティは知ってますか?」
 それは全く知らない。しかし、ここで知らないと答えれば信頼感の低下につながる。あくまでも未明の鵺は動画の内容以上のことを知っていると思わせなければならない。
「……存在は知っているけど、憑依者じゃないから参加はしてません」
「その辺は律儀なんですね」
 女子高生はけろりと言ったが、内心ひやひやだ。とりあえず嘘がばれていないことに安堵する。
「コミュニティには参加しているんですか?」
「はい。オープンチャットにはほとんど参加してませんけど」
「オープン……」
「自称憑依者ならわりと誰でも話せる場所なんですが、なりすましが多くてあまり信用できません。だからわたしは、オープンチャットで本当のことを言ったと思った人に声をかけて、グループチャットで話しているんです。こっちはメンバー以外には非公開です」
 多くの憑依者が仲間を求めてネットに集まっていることを、私は二十五日間生きてきて初めて知った。もっと早く知っていれば、私にも同じ境遇の仲間ができていたかもしれない。
 私は後悔の念を振り切るように質問を続けた。
「そのグループには何人くらいいるんですか?」
「今は十人くらいです」
「多いですね」
「音信不通の人もいます。憑依相手が変わってアクセスできなくなった人もいれば……」
 そこまで言うと、女子高生が口を閉ざした。恐らく、悪霊化して人を殺してしまった人がいるのだろう。自分の信頼していた人が悪霊になってしまう辛さは計り知れない。
「不躾なことを訊いてすみません」
「あ、いえ、未明の鵺さんが謝る必要ないですよ」
 女子高生は私の瞳をまっすぐに見つめた。
「あの……わたし、協力しましょうか?」
「えっ」
「迷惑じゃなければ、Web会議に参加できる人がいるかをグループメンバーに訊いてみます」
 願ってもない申し出だ。渡りに船とはこのことを言うのだろう。人数は多ければ多いほどいい。
「是非お願いしたいです」
「よかった。でも、私のグループだけじゃ人が集まらないかもしれないので、メンバーの信頼できる人くらいまでは範囲を拡大させてもいいですか? 複数グループに入っている人もいるので」
「もちろんです」
「よかった」
 女子高生は安堵の笑みをこぼした。私の表情筋も自然と緩む。
「じゃあ、開催日時が決まったら教えてください」
 それから私たちは連絡先を交換して別れた。
 彼女のLINEの表示名は『紗来さら』だった。
 

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