『お題指令』⑲ #せりふ三題噺 #初雪ピアノ線夫婦
▼今週のお題
■セリフ
「もうおしまいだ」
■三題
・初雪
・ピアノ線
・夫婦
*ふと気付いたら、例の《指令》が届いていた。
いつものことながら、やや 鬱陶しい・・・・!
*一介の男
( コードネーム・キラー 編 )
*特別出演・ ボク
今回の指令・・・・セリフは『 もうおしまいだ 』
三題は『 初雪 』『 ピアノ線 』『 夫婦 』。
任務を拒否した時点で身体に内蔵された《起爆カプセル》の
起爆スイッチが起動し瞬時に命が絶たれる・・・
どんな不満があろうと実行するしかない理不尽な任務。
《 殺し屋 》を稼業として生きてきた俺にとってその指令は
ウザい副業でしかなかった。負担という程のものでもない・・・
「またか?」レベルのものである。
☆☆☆☆☆
俺の稼業である《殺し屋》としてのポリシーは
『 悪人を悪と共に葬る 』だった。
俺が《悪》と判断しないターゲットへの依頼は全て拒否した。
正義を装い自らの罪を軽くするつもりもないが・・・
自分の 仕事と生存価値にも 理由付けが必要なのだ。
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
俺がその母子に出会ったのは、北国の初冬の寒い日だった。
《 初雪 》の日 だったか・・・
雪の降りしきる中、シャッターの閉まった店先で
ただ、ボンヤリ・・・立ち竦んでいるように見えた。
まだ若い・・・どこか寂しさの漂う 綺麗な顔立ちの母と、
幼い女の子・・・・
普通なら通り過ぎるだけの光景に ふと、足を止めてしまった。
その時が二人との 出逢いだった。
こんな寒い中の二人を 放っておけない・・・・?!
ラーメン屋に誘って、その時の・・・
幸せが舞い降りたような 二人の笑顔が忘れられなくて
先を見失っていた母子ばかりか、俺の生き方さえも
変えてしまった ・・・・☆
☆☆☆☆☆
俺のマンションの部屋に誘って三人で暮らすようになってから
もうじき 1 年を迎えようとしていた。
その間、一切の 殺しの仕事は受けなかった。
受けたのはただ、例の理不尽な《 指令 》だけだった。
日々の、母子の笑顔で
見えていた世界の景色さえ変わり始めて・・・・
俺の心さえも癒され、変貌する気分にさせられた。
だが、若い彼女に告白して《 夫婦 》の言葉を
持ちだす勇気はなかった。
俺と母子を辛うじて繋いでいる
いつか・・・突然に切れるかもしれない
心の《ピアノ線》にも 不安を抱えていた。
☆☆☆
その日は、母親が 買い物に出かけて
幼い娘と二人になった日だった。
不意に・・・娘が、座っていた 俺の背中におぶさるように
重なって、俺の耳元でささやいた・・・
「ね、おじさん・・・ おとうさんって、よんでいい?」
「・・・え?」
「ママが いってたよ? おじさんが・・・・
おとうさんに なってくれるといいね? って、、」
・・・俺が、この子にも・・・母親にも
ただの おじさんでいることは・・・・
《 もうおしまいだ 》と、思った!!!
背中の 小さな女の子が そっと呟いた・・・
「 おとうさん・・・!」
忘れていた・・・・俺の 涙腺が崩壊していた!!
☆☆☆☆☆
帰ってきた母親と 三人で外にでた。
とにかく、お祝いがしたかった!!
「あ、ゆき だ?」
「ほんと・・・・《 初雪 》ね?
一年前と同じような・・・・」
この先の 俺たちの未来に・・・・
二人の笑顔が後押ししてくれた☆
☆☆☆☆☆
「あ、ちょっと失礼いたします。
ボク でございます。」
・・・街角で、知らない男に声をかけられた。
「・・・何でしょう?」
「 貴方にとって・・・いえ、あなたたち三人にとって
今、必要なことがあります。お祝いの前に
お誘いしたい所が ございます。行きましょう!! 」
この男の誘いに不安は感じられなかった。
謎の ボク男に続いて、迷わず・・・・
家族に向けた
三人の未来を踏み出した☆
《了》
( お題指令も さり気なく・・・了!)
*このお話はフィクションです。
#せりふ三題噺
#初雪ピアノ線夫婦
#殺し屋
#ボクでございます
