『約束』お題は・25年後 #風まかせ文芸部
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*約束
25年後の時間も場所も決めて・・・再会する約束をした。
もちろん二人がその後に歩む人生のままに、
覚えていたら・・・と、忘却する事も想定済みだった。
彼女は窮地に陥った父の会社を救うため、
政略結婚の人身御供となることを決めていた。
俺の反対を振り切るほどに彼女の決心は固かった。
彼女はあの日・・・
思い付いたようにその約束を決めたのだ。
だから、そんな約束なんかご都合の別れ言葉で
哀しい気分を惑わす夢約束でしかないことも知っていた。
彼女との出逢いに悪態をつきながら・・・・
彼女の哀しい笑顔だけが・・・その場の真実だった。
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
25年の月日は
思い付きの記憶など洗い流すように過ぎて・・・・
俺が彼女との約束を思い出したのも偶然だった。
出張で訪れた地が、彼女との出逢いの街だったのだ。
そして・・・・儚い 夢約束の場所もそこにあった。
約束の年も、すでに一年が過ぎていて・・・・
後悔もしない程に俺の心も枯れていた。
彼女は約束を守ってあの場所に行ったのだろうか?
遠い日の傷を舐めるようにその場所に向かった。
不意に想いだした。
「・・・・二人とも、それぞれの人生があるから
きっと、約束を守れないと思うの。でも・・・
もし、二人が初めて逢った あの橋に来れたら・・・
何か、印を遺しましょ?」
「・・・印?」
「私は・・・あの場所の橋の手すりに
小さく名前を書くね?
誰にも気付かれないくらいに
小さく・・・ 咲・・・って 」
☆☆☆
想い出の 橋に来てしまった。
古い木造の橋が 撤去もされずに・・・
今でも遺っていたことは意外だった。
ここで彼女と出逢って・・・
夕陽に負けないくらいの 恥じらいの熱情で
溶けあうようにお互いを求め合った若い日の・・・
温かい一瞬が 蘇った。
橋の手すりの側面に小さな・・・
誰にも気付かれない程の 傷があった。
小さく・・・・『咲』と。
突きあげる想いで
俺は、ただ・・・・
訳もなく 詫びていた・・・・!!!
《了》
*このお話はフィクションです。
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