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目標を「こなせる設計」に。正しい目標設定【後編】|自己効力感(社会心理学/社会的学習理論)

前回は「なりたい自分(Being)を先に決めると、やること(Doing)が自然に決まる」という話をしました。
そして可能自己理論と自己決定理論を通じて、目標を持つことの土台を整理しました。

では、その目標を「実際に動ける状態」に変えるにはどうすればいいか。
今回はその目標設計の話をします。

不安定な意志力や根性に頼らず、仕組み化して目標に向かおうぜって話です。



◾こうきたら…こう!(if-thenと実装意図)


まず、仕組み化の最初の一手として有効なのがif-thenプランニングです。

これは、「もし〇〇という状況になったら、△△をする」と、事前にルールを決めておく手法のことです。
心理学者ピーター・ゴルヴィツァーが提唱した「実行意図(Implementation Intention)」が理論的背景にあります。

なぜこれが有効かを説明します。
人は「何をするか」は決めていても「いつ・どこで・どうやって」を決めていないことが多く、その曖昧さが行動をためらわせます。
そこでif-thenで事前に条件と行動をセットにしておくと、脳はその条件が来たとき自動的に動くようになります

この目的は、意思決定のコストをゼロにすることです。
意志決定するにも労力がいるので、ルール化して力を温存すると言い換えることもできます。
例えばスティーブ・ジョブズが同じ服ばっかり着てたというエピソードはこの典型といえるでしょう。

研究では、if-thenプランニングを使ったグループはそうでないグループに比べ、目標達成率が2〜3倍高いとされています。


※実際に僕がやっているif-then例


とはいえ、いきなり言われてもわからないかもしれないので、実際に僕が決めているルーティンを見てみましょう。

僕は、

毎朝布団から出る前にタゲ友のアプリで英単語、英熟語の『今日の5問』を終わるまでやる

これを毎朝のルーティンとし、毎日実践しています。
こうすることで、やる・やらないの判断をなくし、無駄な労力を削ることで毎日継続できています。


◾ゴールの方向確認に必要なコンパス(OKR)


if-thenで「動き出す仕組み」ができたら、次は「正しい方向へ向かえているかの確認」の設計が必要になります。

せっかく走るなら正しい方角へ走りたいですよね、方向を間違えてると一生ゴールにつかないですし。
そこで役に立つのが、OKR(Objectives and Key Results)という名のコンパスです。

これはインテルのCEOだったアンディ・グローブが開発し、Googleが導入して広まったフレームワークで、構造は非常にシンプル。

O(Objective):定性的な目標。
「どうありたいか」を言葉にしたもの。

KR(Key Results):Oの達成を測る定量的な指標。
「どうなったら達成か」を数字で示す。

前編で話した「なりたい自分(Being)」がOにあたり、KRがその進捗を可視化
します。

OKRは週次・月次で見直すのが基本で、達成できなくてもいい、むしろOKRは少し高めに設定するのが正しい使い方とされています。
※達成できそうかも、という目標と、チャレンジングな目標を掲げたチームでは、後者の方が成績がよいという実験結果も出ているといわれています。

大事なのは「どこに向かっているか」を設定したスパンで確認し、必要であれば適宜修正加え、目標達成に挑み続けることです。


※僕の場合のOKR例 


これも僕のOKRの一例を見てみましょう。

O:半年後に個人事業のみで月30万円を自力で稼げる状態になる

KR①:2件/月の新規クライアント候補へアプローチ
KR②:4/10までに現在制作中のweb制作·ツールを全て作り終えてポートフォリオを完成させ、URLを名刺に載せる
KR③:2本/週のNote投稿を継続し、発信基盤をつくる


これを週次、月次で確認していきます。
これだけで、日々の行動に文脈が生まれ、目標に近づいているのか、正しいルートを歩んでいるのかを定量的に判断しやすくなります。


◾まずはスライム狩りから(自己効力感)


ここで一つ、落とし穴の話をしましょう。
OKRを設定して仕組みも作った、でも最初のうちはうまくいかないことがある。そのとき「やっぱり自分にはムリだ」と感じてしまうと、そこで止まってしまいます。
これを防ぐのが、小さな成功体験を意図的に積むという発想です。

例えば、RPGでいきなりラスボスを倒しにいく人はそれほど多くないですよね?
ドラクエで言うと、大体の人はまずは開始の街の周りをうろうろして、スライムなどの雑魚狩りでレベルアップをする人が多いのではないでしょうか。そして次の街へ進む、と。

心理学者アルバート・バンデューラが提唱した自己効力感(Self-Efficacy)によると、「自分ならできる」という感覚は、主に「直接的達成経験」、つまり自分が実際に成し遂げた体験によって高まります。さっきのドラクエと似た話ですよね。

ポイントは、最初から高い目標に挑まないことです。
最初は確実にクリアできる小さな目標を設定し、「できた」という感覚を積み重ねる。その積み重ねが、次の一歩への自信になります。

「小さいことを積み重ねる事が、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています」— イチロー
メジャー記録を塗り替えた際の記者会見でのコメント~

この言葉は単なる根性論ではありません。
自己効力感の観点から見れば、心理学的にも正しいです。

ただし一点だけ注意があります。
それは、自分への期待値を上げすぎないことです。

例えば、ダイエットをするときに「3ヶ月で-10キロ落とす」と設定したとします。それは人によってはなかなかチャレンジングな目標で、もしかすると未達になるかもしれない。
そしてその結果、ほんの少し目標に届かなかった(例えば-8kgとか。なので、ダイエット自体は成功)としても、うまくいかなかったという事実が挫折感を大きくします。

変化はゆっくりやってきます。
小さな達成を軽く見ず、ちゃんと自分に「できた」と言ってあげることが次のチャレンジに結びつき、それがいつか大きな実を結びます。

勝ち癖をつけることが重要、とオカルトめいた格言がありますが、実は成功に繋がる重要なファクターだったのです。


◾一連の流れを整理すると


3つのフレームを整理すると、こうなります。

① if-then:「動き出す」ためのトリガーを設計する
② OKR:「何に向かっているか」を週次で確認する
③ 小さな成功体験:「できた」を積み重ねて自己効力感を育てる

これらは独立したツールではなく、連動しているものです。
if-thenで動き出し、OKRで方向を確認し、小さな成功体験で「続ける自分」を育てる。
その繰り返しが、自分をより高く、遠いところへ連れていってくれます。

前編で「なりたい自分を決めろ」と言いました。でも決めただけでは動かない。動ける設計があって、はじめて前進できる。
そうやって着実に前に進むことが大事、と僕は考えて日々を生きています。


◾まとめ


  • 意志や根性ではなく、仕組みで動く

  • if-thenで行動のトリガーを事前に設定する

  • OKRで目標と進捗を週次で確認する

  • 小さな成功体験を積んで自己効力感を育てる

  • 自分への期待値は上げすぎず、変化はゆっくりでいいと知っておく



参考文献


Gollwitzer, P. M. (1999). Implementation intentions: Strong effects of simple plans. American Psychologist, 54(7), 493–503.
Gollwitzer, P. M., & Sheeran, P. (2006). Implementation intentions and goal achievement. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69–119.
Grove, A. S. (1983). High Output Management. Random House.
Doerr, J. (2018). Measure What Matters. Portfolio/Penguin.
Bandura, A. (1977). Social Learning Theory. General Learning Press.
Bandura, A. (1997). Self-Efficacy: The Exercise of Control. W.H. Freeman.


※本記事は筆者個人の観察・考察の記録です。
内容の正確性・完全性を保証するものではありません。
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