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【思い出紀行】ジーパンの妖精と運命の1本【岡山:児島ジーンズストリート】

穿き続ける一本を探しに

生涯穿き続ける一本を探しに行こう。

ふとそう思い、岡山へ飛んだ。
ジーパンの聖地があるからだ。

ジーパン探しの旅が始まった。

ジーンズストリートの空気

岡山駅から電車を乗り継ぎ、ジーンズストリートに着くと、通りの空気がすでに少し違っていた。
職人の街の静けさの中、吊り下げられたジーンズ達が私を迎えた。
なかなか年季が入っていて、壮観だった。

結構歩くと思ったから、動きやすい恰好できたのはまずかったか・・・?

逆に品定めされているような雰囲気。

ストリートに着けば一転、人気の有名店では観光客が楽しそうに様々な種類のジーンズを選んでいた。
通りには、既に買い物を済ませてニコニコ顔の人もいる。

一方で、寡黙な店員さんが黙々と接客する静かなお店もある。

アパレルショップには不慣れなもんで、
緊張感の中、あまり散らかさないように慎重に見て回った。

いくつも店を回り、ちょっと緊張しながら触り、時には店員さんに質問しながら、試着し、比べてみる。

生地の厚み、色、ステッチの癖。

そうやって選んでいくうちに、候補は二本に絞られた。
しかし、どちらも「これだ!」と言い切るには、
ほんの少しだけ何かが足りない。
旅の目的が輪郭を持ち始めたのに、まだ最後のピースが見つからない感じ。

地図を見ると、まだ行っていない店がある。
これで良いのがなかったら、さっきのやつを買いに戻ろう。
その気持ちは、直感というより旅行がてら、散策の延長のような軽さだった。
だけど、その軽さが運命の入口になることもある。

ジーパンの妖精

その通りの一角に、小さな店があった。
扉を開けると、イケオジ店員さんが他のお客さんの対応をしている。

これはチャンスだ。
自分のペースで見て回れる。
気にかかったバックセンターパッチのついたジーパンを手に取る。
無骨で渋さがある。カッコイイ。
これも候補の1本に入れようかと思ったとき

「それね、お兄さんにはまだ早いよ!」

き、来た!しまった!グイグイ系だった。

「そ、そっスか!
 結構シブくてカッコイイと思たンすけどね・・・」

「結構昔のモデルだから、もうちょい歳いってからの方がいいよ!これはね、アメリカの~~~で、ーーーだから・・・」

ニコニコ聞くしかなかった。
蘊蓄や豆知識は好きだから、苦ではなかった。
ひとしきり話し終えると、イケオジ店員さんの目が光った。

「ちょっと待ってね・・・
 OK!君にピッタリのあるわ」

なにやら奥から1本のジーパンを持ってきた。

「これピッタリだと思うわ!試着してみ!」

「汗かいてるんスけど、大丈夫ですか?」

「お~全然いいよ!
 いいから、騙されたと思って試着してみ!」

運命の邂逅

ものは試しと、試着してみることにした。
一本のジーパンを手渡され、試着室に入る。
足を通した瞬間、びっくりした。

ウエストサイズ、裾の長さ、太さ、何から何までピッタリだったのである。
少しワイド目でテーパード。
ここも好みと合致していた。

鏡の前に立つと、身体が先に納得してしまった。

これだ!

まさに運命の1本だった。

イケオジ店員さん、まさかジーパンの妖精かなにかか?
好みも何も伝えていないのに、全身を鋭く一瞥しただけで、
この運命の1本を魔法のように取り出してきたのである。

その後の私は「スゲェ!」しか言えなかった。

「これね、スラッシュポッケ!」

運命のジーパンはスラッシュポッケというのが自慢の1本らしい。
たしかにポケットの口は斜めに直線状に開いており、
普段のジーパンではあまり見ない、運命の一本にふさわしい個性となっている。

ジーパンの妖精さんは得意げにジージャンと革ジャンも紹介してくれた。

合間に岡山ジーンズについてや、ジーンズのこれからのトレンドについても熱く語って下さり、
お店にいる間、とても楽しく過ごすことができた。

全身コーディネートしてくれたが、予算的に厳しかったので、ジーパンだけ購入することにした。

「そのまま穿いて帰る?」

試着室から出た後、気づけば一回も脱がずに履いたままだった。
そのままタグを切ってもらい、お店を後にした。

まさか最後の最後にジーパンの妖精に出くわすとは・・・

有名店だけでなく、いろいろ回ってみるもんだ。

あれから2年

帰り際にジーパンの妖精に教わったお手入れ方法を律儀に守りながら、今でも丁寧に穿いている。
運命のジーパンは少し柔らかくなってきたかな?
まだまだ成長途中。
これからの変化が楽しみだ。

次は運命のジーパンを穿いて、
ジャケットを買いにジーパンの妖精さんの元へまた行きたい。


5_Cs east


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