「また、行こうな。」
「とうとう、この季節がやってきたな。」
ラジオから、スキー場の積雪情報が流れてきました。スキーと言えば、思い出す光景があります。
週末が近づくと、スキー場のガイドブックを広げます。当時は、スマートフォンを持たせていなかったので、このガイドブックが頼りでした。
「どこへいこうかな。」
週末に出かけるスキー場が決まりました。滑走路の長さやリフトの本数、コースの傾斜などを検討したようです。前日には、ワックスを塗り終え、準備万端です。
スキーに行き始めた頃、曲がり方と止まり方だけは、私が教えました。腕前は、メキメキと上達していきます。大人になってから始めた私と違うなあ。それとも、運動神経の違いなのでしょうか…。
さて、息子とスキーに行く際、私に必要なものが一つあります。
それは、「体力」です。
私にとって難所を滑ることは、もちろん体力が必要なのですが、何せゲレンデに最後までいるのです。夕方が近づいてくると、帰り支度を始めるファミリーがいるのですが、お構いなしです。リフトの運行時間を確認し、あと何本行けるのか考えているようです。
私たちは、終了ギリギリに乗ったリフトを降ります。そして、他のスキーヤーがどんどん出発する姿を見送るのです。
やがて、息子のゴーサインが出ました。人がいなくなったゲレンデを独り占め(二人占め?)にし、滑り降りるのです。実に、爽快です。が、私に必要なのは、やはり「体力」でした。
帰り支度を済ませ、車に乗り込みます。家から持ってきたおにぎりを、二人でほおばります。キンキンに冷えたおにぎりも、実においしい。
食べ終わり、車が山道を抜ける頃、おもむろに助手席のシートが倒されます。ついさっきまで、全力で滑っていた息子が眠りにつく時間の始まりです。ハンドルを握る私に「おやすみ」と、少し申し訳なさそうに声をかけて。
これから数時間は、私一人。眠気との闘いの始まりです。
でも、満足そうな寝顔を見て、私はつぶやきます。
「また、行こうな。」
これが、思い出す光景です。
