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七十二候という「感情の取扱説明書」

【今日の一語】 潤(うるおい)(uruoi) 水や雨が浸透し、豊かさを帯びること。心が満たされ、柔らかくなること。

季節が、ざわついている気がする。
梅雨前の今頃、なぜか落ち着かない、眠れない、気分が上がらない——
そういう声を、クライアントさんからよく聞きます。
「自律神経の乱れですか」「ストレスが溜まっているんでしょうか」と心配しながら話してくださるのですが、私はいつもこう答えます。
「季節が、変わっているんです。あなたの感覚は正しく動いています」

七十二候(しちじゅうにこう)とは
日本に古来から伝わるこの暦は、約15日ごとの季節を表す「二十四節気」をさらに約5日の3つに分けた季節の暦です。約5日ごとに「自然のイベント」が記されている——蛙が鳴き始める日、タケノコが生える日、蚕が桑を食べ始める日。
現代人の感覚では「だから何?」と思うかもしれません。
でも、これは単なる農事暦ではないんです。

感情は、季節に連動している
ウェルビーイング研究で有名なマーティン・セリグマンは「自分の感情に名前をつけること」がメンタルヘルスに重要だと言っています。
自然の変化を生活の中に取り入れ、そういう時期だからと季節の中に身をゆだね、それを愛おしく楽しむ。感情の変化を重ね、「今はこういう時期だから、こう感じて当然」と腑に落とす。
梅雨前の「土脉潤起(つちのしょう うるおいおこる)」という候があります。大地が雨を含み、湿気を帯びてくる時期。このころ、人間の体も水分を溜め込み、重くなりやすい。気分が沈みやすい。
これは「あなたの精神力が弱いから」じゃない。季節がそういう時期なんです。
今日の一語「潤(うるおい)」は、まさにこの時期の言葉です。土が雨を含み、潤う。あなたの感情が重く、湿っているように感じるなら——それは、大地と同じ動きをしているだけかもしれない。

「なぜ今の自分はこうなのか」への答えを、自然が持っている
マインドコーチとして関わってきて気づいたことがあります。
自分の感情に「理由がわからない」と感じているとき、人は最も苦しい。
七十二候を知ると、「ああ、今は虫が地中に潜る時期か」「大地が眠りにつく頃か」と——感情に季節の文脈が与えられる。
説明がつく苦しさは、半分になる。
これは比喩ではなく、実感として。クライアントさんが「季節のせいだとわかったら、急に楽になりました」とおっしゃることが、本当に多いんです。

日本語には、自然との共生、季節を慈しむ心、
他を敬う心、目に見えないものを大切にする心——
そういった「調和」という価値観が、
言葉そのものに織り込まれています。

七十二候ももちろん、その一つです。

日本語と七十二候に改めて目を向けることで、
個人のマインドに、チームに、組織に活かせる知恵が見つかる。
そう信じて、探求を続けています。

今日の問いかけ
今、あなたの感情は「潤い」の状態ですか?それとも乾いていますか? 
どちらでも、それが今の季節の答えかもしれません。


本日の暦
【二十四節気】立夏
新緑に覆われ、風がさわやかな季節です。
この日から立秋の前日までが夏となります。
【七十二候】蚯蚓出(みみずいづる)
ミミズが地面に出てくる頃。台地を耕す小さな農夫です。

立夏の日の阿蘇(ASo is a great place to enjoy nature in Kumamoto Prefecture.)

むすびウェルビーイング研究室| 
七十二候と心の関係を、毎月深掘りしています。


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