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安全運転しよう。なぜならば・・・

ドライブレコーダーに自分の歌声が録音されているからだ。

私はカラオケが苦手だ。小学生の頃は母親の模合についていって、カラオケ屋で楽しく歌っていたのに。
声変わりを迎えた後くらいから、どう歌えばいいかわからなくなった。

もともと音程を合わせることが苦手だった。高校生の頃には、久しぶりに行ったカラオケで全然声が出ないことがわかり、苦手意識はますます強くなった。

でも、歌うこと自体が嫌いになったわけではない。車を運転しながら音楽に合わせて歌うのは本当に楽しい。どんなに大声で歌っても、どんなに音程が外れていても、どんなにリズムが無茶苦茶でも、どんなに洋楽の発音がぶっ飛んでいても、オーディオから大音量で流れる歌手の声にあわせれば、それなりに様になっているように思えてくる。
ついでに言えば、年の割に人生経験が少ない(特に恋愛関係)のを十分補ってくれるような気持ちにさせてくれるし、普段誰にも話せないようなことを声にすることでストレス発散にもなる。

日本国憲法にある「すべて国民は健康的で文化的な最低限度の生活を営む権利」を実現させるためにも、カラオケ苦手だが歌うことは好きな人間には、車を提供し一人でドライブできる時間を与えるべきであると、半分冗談半分本気で思う時がある。

さて、ここで冒頭の一文に戻る。2年前の年末、社宅から実家まで帰るときのことであった。いつもなら高速道路でまっすぐ帰るところ、せっかくの長い休みなので、途中の街のイルミネーションでも眺めながらゆっくり帰ろうと一般道を運転していた。好きな音楽をガンガンにかけ、ほとんど絶叫に近い声で歌いながら。

運転していて30分くらい経ったところだろうか。ちょっとした社交街がある道を慎重に運転していたところ、視界の片隅に人が倒れているのが見えた。飲み屋が近く、どうせ酔っ払いが躓いただけだろと思ったが、どうも胸騒ぎがしてUターンし、その場所へと向かった。

近くの歩道には小太りで初老の男性が座り込んでいた。話を聞いてみると、やはり倒れていたのはこの男性のようだ。どうやらひき逃げにあっていたようだが、その車のスピードが速くなかったためか、幸い大きな怪我はしていないようだった。

数分くらい経ってパトカーがやって来た。お巡りさんから事故の状況について聞かれたが、私はその瞬間をちゃんと見ていないため説明ができなかった。寒かったので車に戻って、天井のライトをつけようとしたとき、ドライブレコーダーが目に入ってきた。これなら何か手がかりがあるかもと思い、お巡りさんを呼んだが、肝心の再生方法がわからない・・・。

仕方がないので、中のチップを取り出して提供することに。対応としては少しまずかったかなとは感じつつも、善良な一市民としてやるべきことはやったと満足しながら、再びハンドルを握る。

数日後、お巡りさんが手土産と共にチップを返しにきて、お礼を言われ照れていた一時間後のこと。

そういえばドライブレコーダーの再生方法って何だったんだろうと思い、ネットで検索し実際に再生してみたところ

声が・・・私の酷い歌声が・・・ジャイアンリサイタルみたいな声があああ!

終わった。絶対聞かれてる。終わった。

これじゃあ私の歌声に驚いて、男性が倒れたように見えるじゃないか・・・

だから安全運転しよう!!

愛車で年末ワンマンライブを予定している人たちは