「強さ」のその先へ。沖縄がハンドボールの“聖地”になるために
ハイサイ!八重瀬町議会議員の秋田一成(あきた かずなり)です。
沖縄のスポーツといえば、何を思い浮かべますか? 野球、サッカー、バスケットボール……。さまざまな競技が盛んですが、やはり沖縄が全国に誇る競技のひとつが「ハンドボール」です。
私自身、東風平中学校、那覇西高校、そして沖縄国際大学と、学生時代はハンドボール一筋に打ち込んできました。仲間と共に一つの目標に向かって汗を流した経験は、今の私の活動の基盤となっています。
現在は、議員として活動する傍ら、娘が所属している「八重瀬クラブJr.」の練習を時折お手伝いしながら、子どもたちがボールを追いかける姿を間近で見守っています。
そんな中、先日、沖縄県ハンドボール協会が主催する「2025年度 悉皆(しっかい)研修」を受講してきました。テーマは「インテグリティ(品格・誠実さ)」
今回は、この研修を通じて改めて考えた、沖縄ハンドボール界が目指すべき姿についてお話ししたいと思います。
1. 「圧倒的な熱量」を次世代へつなぐために
沖縄のハンドボールには、他県にはない「熱さ」があります。 指導者の情熱、選手の執念、誠実なプレー、そして観客席からの鳴り止まない指笛。このエネルギーこそが、沖縄を全国屈指の強豪県へと押し上げてきた原動力です。
しかし、社会がスポーツに求める価値は、時代とともに変化しています。 研修の講師を務められた名桜大学の仲田好邦先生(県協会指導委員長)は、沖縄の強みである「熱量」を肯定したうえで、こう問いかけられました。 「その熱量は、今の時代に求められる『品格』と両立できているだろうか?」
強さを追求する中で、知らず知らずのうちに選手を萎縮させてはいないか。 「勝つためなら何をしてもいい」という空気が、チームの文化になっていないか。 これまでの「当たり前」を、今の基準で見つめ直すことが求められています。
2. 現場の「当たり前」をアップデートする
研修の中で最も議論が白熱したのは、現場で起こりがちな「グレーゾーン」についてのケーススタディでした。
具体的には、以下のような場面です。
審判の判定に対して、指導者や保護者が不満を口にしてしまう。
選手に対し「強気でいかんか!」など、プレッシャーのかかる強い言葉で叱咤してしまう。
相手チームへの配慮やリスペクトを欠いた振る舞いをしてしまう。
こうした光景は、かつてのスポーツ現場では珍しくないものでした。私自身、現役時代には厳しい指導を当たり前に受けてきましたし、当時はそれが「強くなるための試練」だと信じて疑いませんでした。
しかし、今回の研修で示されたのは、こうした大人の振る舞いが、実は子どもたちの成長にブレーキをかけてしまうという事実です。
科学的な知見(Vallerandの理論など)によれば、指導者の言動は選手の心理に直結し、チーム全体の文化を作るとされています。大人が感情を露わにする環境では、子どもたちは「ミスを恐れる」ようになり、本来持っている創造性や主体性が失われ、結果としてパフォーマンスは低下してしまいます。
事後アンケートで、私は「見本となるべき大人がどう振る舞うべきか」が最も重要だと回答しました。子どもは、大人の言葉以上に、その「背中」を見ています。相手をリスペクトし、フェアに戦う大人の姿を見せることこそが、本当の意味で強い選手を育てる近道なのだと痛感しました。
3. 「選ばれるスポーツ」としてのハンドボール
今、子どもたちの周りには多様なスポーツや習い事があふれています。 その中から、あえてハンドボールを選んでもらい、長く続けてもらうためには何が必要でしょうか。
「沖縄はハンドボールが強いから」という伝統だけでは、これからの子どもたちや保護者の心は動かせません。
子どもが萎縮せず、主体的に楽しめているか
見守る大人が一人の人間として尊敬できるか
そのスポーツを通じて、社会で通用するマナーや品格が身につくか
こうした「環境の質」が、これからの競技人口を左右します。 挑戦や努力を認め合う「マスタリー環境(成長重視)」を整えることが、ハンドボールを選んでもらうための絶対条件です。
4. 聖地・沖縄としての覚悟
私は、いつか沖縄が全国から「ハンドボールの聖地」と認められる存在になれるよう、その土台を築いていきたいと願っています。それは単に優勝回数が多いということだけではありません。
「沖縄の選手は、プレーも振る舞いも最高にカッコいい」
「沖縄の試合は、いつ見ても清々しく、学ぶことが多い」
そう言われるような、スポーツマンシップ溢れる文化が地域に根付いている状態。それこそが、私たちが目指すべき「真の聖地」の姿ではないでしょうか。
折しも、令和16年(2034年)には沖縄で「国民スポーツ大会(国スポ)」が開催されます。 まだ予定の段階ではありますが、わが八重瀬町がハンドボール競技の会場候補地となっています。
約10年後、全国からやってくる選手や関係者を迎えるとき、私たちはどのような姿でありたいか。 胸を張って彼らを迎え入れられるよう、日々の練習を見守るなかで、一歩ずつ品格を積み上げていかなければなりません。
5. おわりに
「進む八重瀬を、もう一歩先へ。みんながワクワクする町へ。」
私が掲げるこのスローガンは、スポーツの現場においても同じです。 子どもたちがワクワクし、大人がリスペクトを忘れず、地域全体が誇りに思えるハンドボールの未来。
まずは私自身が、娘と共に歩む一人の親として、そして練習を支える大人として、子どもたちに誇れる環境づくりに全力を尽くすことを誓います。
強さのその先にある、誇り高き「ハンドボール聖地・沖縄」を目指して。 共に歩んでいきましょう。
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