「法律知らんのお前だけ?」届いた詐欺メール4通を法的に全力でバカにしてみた
はじめに:愚痴から始まる話
先日、立て続けに「それっぽい」メールが4通届いた。
クレディセゾンを名乗るやつ、ペイディを名乗るやつ、TSITE.jpとVポイントを名乗るやつ、そして楽天カードを名乗るやつ。
最初に見た瞬間の正直な感想は
「あ、詐欺ね」
の一秒判定だったんだけど、よく読んでいくと、法律の知識ゼロどころかマイナスなのが透けて見えてきて、なんかこれ、ちゃんと解説したら騙される人減るんじゃないかなと思って書くことにした。
というわけで今回は、
実際に届いた詐欺メール4通を、法的根拠を持ってフルボッコにする会
です。
怒り半分、呆れ半分で書いてるので、暖かい目で読んでほしい。
-----
詐欺メールの「お約束」を知っておこう
まずツッコミに入る前に、フィッシング詐欺メールに共通する手口を整理しておく。
これを知っておくだけで、読んだ瞬間に詐欺と気づけるようになる。
① 焦らせる
「本日23:59まで」「今すぐ手続きを」など、冷静に考える時間を与えない。
② 怖がらせる/欲を刺激する
「永久停止」「ブラックリスト」「給与差押え」で脅すか、「ポイント2倍」「限定特典」で釣るか。
どちらも判断力を奪う手口。
③ 本物に見せかける
実在するサービス名・ロゴ・企業住所を使う。名前を入れてくることもある。
④ 偽リンクへ誘導する
「手続きはこちら」と、まったく関係ないドメインへ飛ばす。
この4点セット、今回の4通はすべてやってる。
お手本のような詐欺メール
とも言える。
ある意味すごい。
-----
ケース①:クレディセゾンを名乗るメール
まずドメインを見ろ
送信元:**dqnudpnj@jwrgof.com**
本物のクレディセゾンの公式ドメインは `@saisoncard.co.jp`。
`jwrgof.com` ってなんやねん。
キーボードに顔面突っ込んで作ったとしか思えないドメイン。
東証プライム上場企業が「jwrgof」て。
メールを開く前に、送信元ドメインを確認する習慣だけで、9割の詐欺メールは見破れる。
リンク先:robinrenolaw.com
クレディセゾン、本物のURLは `saisoncard.co.jp`。
「robinrenolaw」ってロビン・レノ法律事務所でも経営してるんか。
法的通知を名乗るメールのリンクが、サービスと1ミリも関係ないドメインというのは、「私は詐欺師です」と書いた名刺を配ってるのと同じ。
「資産の没収」←お前が犯罪者
> 保有されている「永久不滅ポイント」は、規約違反による損害補填として全額失効処理を行います。
ちょっと待て。
ポイントは会員との契約上の財産的権利。
それを一方的に失効させ「没収」したら、
不当利得(民法703条)
の問題になるだろうw
そもそも、本当に財産を差し押さえたり回収したりするには、裁判所を通じた法的手続きが必要になる。
にもかかわらず「没収します」「回収します」を脅し文句として使うのは、かなり威迫的・詐欺的。
脅しに使った言葉が、そのまま自分たちの違法性を強調してるの、なかなか芸術点が高い。
「信用情報機関への登録」←仕組みを何も知らない
信用情報機関(CIC・JICC)への事故情報登録は、
延滞・債務不履行・破産などの明確な法的事実
が要件。
「本人確認に応じなかった」程度で登録できる制度は、
この国のどこにも存在しない。
もし本当にそんなルールがあったら、カード会社は毎日訴えられて業務が成り立たない。
「法的効力を持つ通知」←自分で「自動送信」って言ってる
> 本通知は、法的効力を持つ通知としてシステムから
自動送信されています。
本物の法的手続きって、びっくりするくらい紙で来る。
- 裁判所からの支払督促 → 特別送達(郵便)
- 差押え通知 → 書面
- 弁護士からの正式通知 → 内容証明郵便
日本の法的手続きは、今でもかなりアナログ寄りである。
裁判所からの正式通知が、いきなり怪しいメールだけで来ることは基本ない。
しかもこのメール、「電話・店頭での復旧は対応不可」と書いてある。
本物のクレジットカード会社は普通に電話対応してる。
「電話するな」は、だいたい「詐欺がバレるから来るな」という意味。
-----
ケース②:ペイディを名乗るメール
こちらは少し凝ってて、
デザインがそれっぽい
のがポイント。
でも法律の知識は、セゾンのやつと同じくらいゼロだった。
ドメイン:life6666.com
本物ペイディのドメインは `paidy.com`。
`life6666.com` の「6666」て。自分で不吉な数字並べてどうすんねん。
しかもiPhoneが自動で「メーリングリストからのメッセージ」と判定してた。
Appleにも詐欺認定されてて草。
遅延損害金「月3.1%」←お前が法律違反してる
> 遅延損害金(月3.1%)+1,125円
月3.1% × 12 = 年率37.2%
消費者向け契約では、遅延損害金には法的な上限がある。
年37.2%なんて、普通に「どこの闇金だよ」レベルである。
詐欺師が被害者を脅すメールの中で、自ら違法レベルの利率を堂々と書いてるの、もはやギャグ。
「給与差押え」←裁判所の存在を知らない
> 法的手続き(訴訟・給与差押え等)へ移行
給与差押えは、裁判所を通じた正式な強制執行手続き。ざっくり流れを書くと:
訴訟提起
判決確定
強制執行申立
裁判所による差押命令
つまり
「今日中に払わないと給与差押え」は、制度上ほぼ不可能。
裁判所という機関の存在を知らないか、知ってて嘘をついてるかのどちらかである。
「管理事務手数料+160円」←この雑さよ
37,000円規模の請求に、謎の160円を上乗せ。
しかも
> ※管理事務手数料は今回に限り発生いたします
と、さりげなく書いてある。
なんで今回に限るんだ。
根拠は?規約は?
本物の請求書って、こういう「説明のつかない謎加算」はあまり出てこない。
「あ、ちょっとだけ余分に抜いておこう」という魂胆が透けて見える。
-----
ケース③:TSITE.jp × Vポイントを名乗るメール
今度は手口が少し違う。
脅すんじゃなくて、欲を刺激してくる
タイプ。
ドメイン:mail14.8thandf.com
本物のTSITE.jpドメインは `tsite.jp`。
VポイントはSMBCグループ系で `vpoint.jp`。
`mail14.8thandf.com` ってなんやねん。
「14.8thandf」て。数字とアルファベットの無意味な羅列で、もうキーボードを肘で押して作ったとしか思えない。
「TSITE.jp × Vポイント」←この組み合わせ自体おかしい
TポイントはVポイントに統合されたが、TSITE.jpはCCCカルチャー系のサービス、VポイントはSMBCグループ。
別会社なのに、なぜ合同でメールを出してるんですか?
業務提携の発表、どこにもないぞ。
「24,897円払ったら49,794pt」←前払い誘導型詐欺の典型
「お金を払えばポイントをあげます」と言って、PayPayで振り込ませてポイントは来ない、という手口。
しかも金額が「24,897円」という中途半端さ。
きりの良い数字じゃないほうが「本物っぽい」と思ってるんだろうが、逆に怪しさMAX
「PayPayで払え」←電子決済で証跡を残さない
PayPayは銀行振込と違い、
返金・追跡が極めて困難になりやすい
詐欺師がPayPayを指定するのには、明確な理由がある。
「指定リンク以外からのお支払いは対象外です」も合わせると、
「公式アプリから確認させたくない」意図が丸見え。
本物のポイントサービスは、公式アプリ内で完結する。メールのリンク経由でPayPay払いを強制してくることは、まずない。
-----
ケース④:楽天カードを名乗るメール
送信者名:「ド楽天 カー」
…待って。
「ド楽天 カー」
「楽天カード」を崩したら、なぜか「ド」まで生えてきた。
スペースも謎の場所に入ってる。
一番最初に目に入る送信者名の時点で終わってる。
詐欺以前に、日本語の体裁も保てていない。
ドメイン:mxqueue.fhqczg.com
本物の楽天カードは `rakuten-card.co.jp`。
`fhqczg.com` て。もうキーボードに全身で倒れ込んで作ったとしか思えない。
「PayPay決済のみ受付」←楽天がPayPayを使うわけない
これが今回最大のツッコミどころ。
楽天カードは楽天グループ。
楽天グループには楽天Pay
という独自の決済サービスがある。
楽天が、競合他社であるPayPayでの支払いを指定するのは、トヨタが「代金はホンダで払ってください」と言うようなもの。
…もちろん絶対無いとは言えない
だが、ある種の大事件的提携であるから、ウェブに載ってないわけがないだろう。
要は、冷静にちゃんと企業情報を調べれば分かる範疇なのである。
住所だけ本物:「東京都世田谷区玉川一丁目14番1号」
これが一番ずるい部分。
楽天カードの本社住所は確かにここ。
住所だけ本物を使って信頼性を演出しようとしてるが、ドメインが偽物の時点で、住所が本物でも意味がない。
住所は誰でもGoogleで調べられる。
本物かどうかの判断基準にならない。
-----
4通まとめ:手口の「型」はこの2種類
今回の4通、実は手口の方向性が2種類に分かれてる。
|手口の型 |該当ケース |狙う感情 |お金の取り方 |
|-------|--------------|---------|----------------------|
|恐怖型|セゾン・ペイディ・楽天カード|怖い→急いで手続き|情報を抜いて不正利用 or 直接振り込ませる|
|欲望型|TSITE・Vポイント |お得→急いで払う |PayPayで直接振り込ませる |
どちらも「冷静に考えさせない」という点では同じ。
ただ、
欲望型は「自分でお金を払った」という形
になるので、後から「騙された」と気づいても取り戻しにくいケースもある。
-----
共通する「怪しいポイント」チェックリスト
|怪しいポイント |理由 |
|------------------|-----------|
|送信元ドメインが謎 |公式企業と一致しない |
|リンク先URLが別サイト |公式サービスと無関係 |
|異常に急かす・限定感を煽る |冷静に確認させたくない|
|脅し文句が過剰 or 好条件が不自然|恐怖か欲で判断力を奪う|
|PayPay決済のみを指定 |追跡・返金を困難にする|
|電話問い合わせを避ける |正体がバレるから |
|法的知識が雑 |本物ならまず書かない |
-----
「騙されるバカがいるから続く」←これが本質
最初は「こんなの引っかかるやつおるんか?」と思ってた。
でも実際には、ある程度の割合で引っかかる人がいるから、コスパが合う詐欺として続いてしまってる。
特に怖いのは「名前入り」のやつ。
どこかから漏洩した個人情報を使って名前を入れてくる場合がある。
だから、名前を知ってる ≠ 本物では全然ない。
騙される人を責めたいわけじゃない。
でも、一人でも「あ、これ詐欺だ」と気づく人が増えれば、それだけ詐欺師の収益は減る。
-----
まとめ:詐欺メールを見分ける3秒チェック
① 送信元ドメインを見る
公式サイトと一致しているか確認。「それっぽい名前」でも違ったらアウト。
② リンクを踏まず、公式アプリを開く
メール内リンクは使わない。
いつものアプリ・ブックマーク・公式サイト検索から確認。本物の会社ほど「公式アプリ・公式サイトから確認してください」という導線を取っている。
③ 「今すぐ」「今日中に」「あなただけ限定」は一旦閉じろ
急かす・限定感を煽る=冷静に考えさせたくない証拠。
焦ったとき、お得に見えたとき、まずメールを閉じる。
それだけでかなり防げる。
-----
怪しいメールが来たら:
- 消費者ホットライン:188(いやや!と覚えるといいらしいよ)
- 警察庁サイバー犯罪相談窓口:https://www.npa.go.jp/cyber/
メールは消す前にスクリーンショット保存しておくと、相談時に役立つ。
-----
注意喚起①:まず、AIに聞いてみろ
こういうメールが来たとき、今はとにかく選択肢が多い。
メールの文章をそのままコピーして生成AIに貼り付けるもよし、スクリーンショットを貼って「これ無視していいやつ?」と聞くもよし。
数秒で「詐欺です」と返ってくる。
わざわざ一人で抱えて悩む必要はないし、焦って変なリンクを踏む前に、**まず誰かに聞く**という習慣だけで十分防げる。
-----
注意喚起②:身近に、一人でも法律に明るい人を
会社に法務部がある人はそこに聞けばいいし、最近は企業内弁護士も増えている。
……ちなみに私は、インハウスローヤー制度にはあまり賛成じゃない側なんだけど(これはまた別の機会に語る)、こういう時は、
弁護士バッジに全力で頼るべき
だと思ってる。笑
どうしても身近にいないなら、全国に窓口がある
消費者センター(188)
でもいい。
もっと言えば、
警察でも構わない。
「相談するほどのことかな」と思う必要はない。
むしろ、行動する前に一言確認するだけで、被害はほぼゼロになる。
-----
注意喚起③:そもそも、心当たりある人ってどれだけいる?
ここで一回冷静になってほしい。
今回みたいな「4月分未払いです」「3回通知しました」「あなただけにポイント2倍」みたいなメールが来て、
本当に心当たりある人、どれくらいいる?
普通に生活して、普通に引き落とし設定して、普通に残高がある人なら、実際こんな事態ってそこまで起きない。
世の大半の人には、そもそも
心当たりなんてない…のではないか?
突発的に何か起きることも、滅多にない。
だから、焦る前に一息ついて、
あなたの味方に相談するのがいい。
公式アプリを開いて確認するのでもいい。
何よりも…人の財産や権利に影響の大きい法令に基づく措置について、そんな1分1秒どころか、1日やそこらで、急に不利益に追い込まれるようなことは、まず起きない。
そんなに緊急な感じで、人の権利義務に影響を及ぼすような法制度はほぼない…これも知っておいて良いだろう。
-----
注意喚起④:本物の法的手続きは、驚くほどアナログでやってくる
これ、一番覚えてほしい。
本当に法的手段を取る場合、連絡は
驚くほどアナログ
でやってくる。
- 裁判所 → 特別送達(郵便)
- 差押え → 書面
- 内容証明 → 郵便
「デジタルではんこない」くらいの感覚で割り切っておいていい。
メール「だけ」の催促は、基本的に全部無視して問題ない。
それよりも、公式アプリや公式サイトを確認する方が、100倍建設的である。
-----
最後に:法律は、弱者を守らない
送ってきた連中を全力でバカにしてきたけど、最後はちょっとだけ真面目な話をさせてほしい。
私が法律を学ぼうと思ったのは、恩師から聞いたこの一言がきっかけだった。
法は、弱者を守るのではない。知ってる者を守るんだ。
知らないと、損をする。
知らないと、騙される。
知らないと、守ってもらえるはずの権利も、気づかないまま終わる。
今回の詐欺メール4通、ツッコミどころは山ほどあったけど、
それは「知ってるから見える」だけの話。
もし何も知らずに受け取ってたら、焦っていたかもしれない。
法律を全部覚えろとは言わない。
でも、
「何かおかしい」と感じたときに、立ち止まって調べられる習慣
だけは持っておいてほしい。
生成AIでも、消費者センターでも、身近な法律家でも、相談できる相手はいくらでもいる時代になった。
知ることが、最大の防御。
-----
おまけ:次回予告
「じゃあ全部無視でいいじゃん」と思った人、ちょっと待って。
実は、
本物の督促が来るケースも、ちゃんと存在する。
架空請求に混じって本物の請求が来ることもある。その見分け方と、本物だった場合の対処法は——また別の機会に。
お楽しみに(?)
-----
以上、ぴょんぴょんでした。
