たまには別の話題

【霞堤なのか? ― 鍛冶屋川で見つけた謎の石垣】

いつものランニングコースで、これまで気づかなかった石垣構造物を発見しました。
位置は、福島市土船地内の県道5号フルーツライン、鍛冶屋川橋下流部です。

形状は、自然石を積み上げた石積構造で、高さは1メートル程度。
周囲の地形との連続性を見ると、単なる護岸や擁壁というよりも、独立した構造物として築造された可能性を感じます。

当初は城跡、あるいは「館」と呼ばれる小規模拠点の遺構も考えましたが、ネットからは該当する記録を確認できませんでした。

そこで土木構造物としての機能に着目し調べたところ、「霞堤(かすみてい)」の可能性が浮かびました。

霞堤とは、堤防を連続させず、意図的に開口部を設けて不連続とした治水構造物です。
洪水時には水を一部氾濫させ、流量を分散・減勢させることで、下流部の堤防破堤リスクを低減する機能を持ちます。
いわば、「完全に防ぐ」のではなく、「制御して受け流す」という思想に基づいた、伝統的かつ合理的な治水技術です。記録を見るとかの武田信玄が考案した(信玄堤)という諸説も…

実際に、福島市を流れる荒川上流部には、吾妻山系からの急流に対応するため、この霞堤が複数整備されています。
鍛冶屋川も同様に洪水時には急激な流量増加が生じやすい地形条件を有していると見えます。

そのような事を思慮しますと
今回発見した石垣が霞堤である可能性もあります。特に石積構造である点は、近代的なコンクリート構造以前の治水施設であり、荒川と同じ施設である事を示唆しています。

一方で、見る限りですが、現在の鍛冶屋川は河川改修が進み、霞堤が必要とされている状況には見えません。
また、周囲の農地は基盤整備済みであり、旧氾濫原の痕跡も明瞭ではありませんでした。

つまり、この石垣は
・過去の治水構造物の遺構なのか
・河道変更に伴い役割を終えた施設なのか
・あるいは全く別の目的で築造された構造物なのか
現時点では特定できていません。

土木構造物は、現役を退いた後も、静かにその場所に残り続けます。
それは、その時代の地域を守ろうとした技術の記録そのものです。

しばらくは、この構造物の成り立ちを勝手に考察しながらのランニングが続きそうです。

所在:
〒960-2152 福島県福島市土船地内
県道5号フルーツライン 鍛冶屋川橋下流すぐ

※当該構造物に関する資料・伝承等の情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご教示ください。

#霞堤
#治水
#土木遺産
#石積み
#福島市

石垣の全景
石垣の拡大
石垣と鍛冶屋川
荒川の霞堤
霞堤の効果

いいなと思ったら応援しよう!