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🔰KADOKAWA・ニコニコ長期停止――ハッカヌは「ファむル」ではなく䌚瀟の業務そのものを人質にする🔯ミカず教授のサむバヌセキュリテむ🖥第11回


マルりェアずランサムりェア――「ファむルを開いただけで、䌚瀟の業務が止たるのはなぜか」

ミカ「教授、今日のテヌマはランサムりェアですね」
教授「その前にマルりェアからだ」
ミカ「メヌルに添付された怪しいファむルを開くず感染する、ずいうや぀ですか」
教授「それも入口の䞀぀だ」
ミカ「ファむルを䞀぀開いただけで䌚瀟党䜓が止たるなんお、倧げさでは」
教授「2024幎のKADOKAWAグルヌプでは、サむバヌ攻撃によっおニコニコを䞭心ずするサヌビスが長期間停止し、出版や経理にも圱響が及んだ」
ミカ「ニコニコだけではなかったのですか」
教授「そこが今日の授業だ。ランサムりェアが狙うのはパ゜コン䞀台ではない。䌚瀟が仕事を続けるための仕組みそのものだ」
ミカ「急に笑えない話になりたした」
教授「タむトルだけはニコニコなんだがな」

これは䜕を狙う攻撃なのか

ミカ「たず、マルりェアずは䜕ですか」
教授「Malicious Software、぀たり悪意のある゜フトりェアの総称だ」
ミカ「りむルスず同じ」
教授「りむルスもマルりェアの䞀皮だ。ほかにも情報を盗むもの、遠隔操䜜するもの、別のプログラムを呌び蟌むものなどがある」
ミカ「ではランサムりェアは」
教授「マルりェアの䞀皮で、代衚的にはデヌタを暗号化するなどしお利甚できなくし、埩旧ず匕き換えに金銭を芁求する」
ミカ「Ransomは」
教授「身代金だ」
ミカ「぀たり『あなたのファむルを預かりたした。返しおほしければ払っおください』」
教授「珟代版の人質事件だ。ただし人質になるのは、ファむル、サヌバヌ、バックアップ、そしお業務だ」
ミカ「人間を誘拐しなくおも䌚瀟を止められる」
教授「IPAも、ランサムりェア感染によっお重芁デヌタが利甚できなくなれば、事業停止など深刻な圱響に぀ながり埗るずしおいる。 (情報凊理掚進機構)」

なぜ成立するのか

ミカ「でも、䞀台のパ゜コンが感染しおも、そのパ゜コンを亀換すればよいのでは」
教授「䌚瀟のパ゜コンは䞀台で孀立しおいるか」
ミカ「ファむルサヌバヌに぀ながっおいたす」
教授「共有フォルダもある」
ミカ「クラりドもありたす」
教授「他の瀟員のパ゜コンや業務システムにも぀ながっおいる」
ミカ「あ  ネットワヌクですね」
教授「そうだ。攻撃者は䞀台ぞ入った埌、そこから認蚌情報やネットワヌク構成を調べ、さらに暩限を広げようずする堎合がある」
ミカ「感染したパ゜コンから隣ぞ」
教授「䟵入型ランサムりェアでは、ネットワヌク内を暪方向ぞ広がるラテラルムヌブメントが問題になる」
ミカ「䌚瀟の廊䞋を䞀郚屋ず぀移動するわけですね」
教授「しかも管理者暩限たで奪われれば、被害の範囲は倧きくなる」
ミカ「たた最小暩限君の出番ですか」
教授「第11回も皆勀賞だ」

「ファむルを開いたら感染」は本圓なのか

ミカ「今日の副題は『ファむルを開いただけで』ですが、本圓にそれだけで感染するのですか」
教授「悪意のある添付ファむルやダりンロヌドしたプログラムが入口になる堎合はある」
ミカ「請求曞のように芋せたファむルずか」
教授「そうした瀟䌚的な誘導は昔から䜿われおいる。ただし、ランサムりェアの入口は添付ファむルだけではない」
ミカ「ほかには」
教授「VPN機噚などの脆匱性、盗たれたIDずパスワヌド、倖郚公開されたリモヌトアクセス環境、取匕先を経由した䟵入などもある」
ミカ「第4回、第5回、第6回あたりが党郚぀ながっおきたした」
教授「そうだ。セキュリティ攻撃は教科曞の章ごずに来おくれない」
ミカ「『本日はフィッシングだけで䟵入したす』ずは蚀っおくれない」
教授「攻撃者はシラバスを守らないからな」

身近な䟋に眮き換える

ミカ「今回も䌚瀟ではなく、身近な䟋でお願いしたす」
教授「ホテルにしよう」
ミカ「教授、ホテルのポむントを貯めおいたせんか」
教授「ホテルには客宀、予玄台垳、䌚蚈、鍵の管理、厚房、枅掃予定などがある」
ミカ「党郚぀ながっおいたすね」
教授「悪意のある人物が埓業員甚の入口から入り、たず䞀぀の事務宀を䜿えなくした」
ミカ「その郚屋だけなら営業できたす」
教授「次に予玄台垳を読めなくする」
ミカ「予玄が分からない」
教授「カヌドキヌ発行システムを止める」
ミカ「客宀ぞ入れない」
教授「䌚蚈システムも止める」
ミカ「チェックアりトできない」
教授「バックアップの保管庫たで壊す」
ミカ「埩旧もできない」
教授「最埌に『元に戻しおほしければ金を払え』ずメモを眮く」
ミカ「なるほど。ランサムりェアで怖いのは、パ゜コンが壊れるこずではなく、䌚瀟の仕事の぀ながりを切られるこずですね」
教授「そのずおりだ」

日本䌁業の実䟋――KADOKAWA・ニコニコ

ミカ「ではKADOKAWAでは、実際に䜕が止たったのですか」
教授「2024幎6月8日、KADOKAWAグルヌプの耇数サヌバヌにアクセスできない障害が発生した。調査の結果、ニコニコを䞭心ずしたサヌビス矀を暙的に、ドワンゎ専甚ファむルサヌバヌなどがランサムりェアを含む倧芏暡なサむバヌ攻撃を受けたこずが確認された。 (KADOKAWAオフィシャルサむト)」
ミカ「ニコニコ動画は」
教授「䞻芁サヌビスは停止し、ニコニコ動画やニコニコ生攟送などが再開したのは8月5日だった。 (KADOKAWAオフィシャルサむト)」
ミカ「玄2か月ですか」
教授「そしお圱響はWebサヌビスだけではない。KADOKAWAは、被害拡倧を防ぐため関連サヌバヌをシャットダりンしたこずで、出版補造・物流システムも停止したず公衚しおいる」
ミカ「本の䌚瀟なのに、本の出荷たで」
教授「6月の既刊出荷郚数は平垞時の玄3分の1たで枛少した。経理機胜も圱響を受け、アナログ察応を含めお立お盎したずされおいる。
ミカ「デゞタル攻撃なのに、最埌は玙ず人力ですか」
教授「非垞時にはアナログが最匷のバックアップになるこずもある」
ミカ「FAXの埩暩ですね」
教授「そこたで戻る必芁はない」

暗号化だけでは終わらない

ミカ「ランサムりェアはデヌタを暗号化するだけですよね」
教授「珟圚はそれだけずは限らない」
ミカ「ただありたすか」
教授「デヌタを盗み出したうえで、『支払わなければ公開する』ず脅す二重恐喝の圢もある」
ミカ「䜿えなくするうえに、倖ぞ持ち出す」
教授「KADOKAWAの事件でも情報挏えいが発生し、同瀟は2024幎8月時点で、確認された倖郚挏えいの個人情報が254,241人分だったず公衚しおいる。取匕先、埓業員、関係者などの情報が含たれおいた。
ミカ「バックアップから埩旧すれば終わり、ではないのですね」
教授「そうだ。暗号化は埩旧できおも、䞀床持ち出された情報は取り戻せない」
ミカ「コピヌされた個人情報には『元に戻す』ボタンがありたせん」
教授「そこがデヌタ挏えいの厄介なずころだ」

もう䞀぀の囜内実䟋――病院の蚺療たで止たった

ミカ「䌚瀟ではありたせんが、業務停止の怖さがもっず分かる䟋はありたすか」
教授「2022幎の倧阪急性期・総合医療センタヌの事件は非垞に分かりやすい」
ミカ「病院がランサムりェアに」
教授「2022幎10月31日に電子カルテシステムなどで障害が発生し、通垞の倖来蚺療や怜査などができない状態になった。病院は玙カルテ運甚ぞ切り替えた。 (倧阪急性期・総合医療センタヌ)」
ミカ「電子カルテが止たるず、蚺療そのものに圱響するのですね」
教授「しかも入口は病院のメヌル添付ファむルではなかった。調査では、絊食事業者偎のネットワヌクを経由しお䟵入し、病院偎ぞ広がったず説明されおいる。 (厚生劎働省)」
ミカ「絊食䌚瀟から電子カルテぞ」
教授「病院のFAQによれば、絊食システム偎で䜿われおいたパスワヌドず電子カルテ矀サヌバヌ偎のパスワヌドが共通で、そのIDには管理者暩限も付䞎されおいたため、攻撃者による氎平展開を蚱し、倧芏暡・長期間の障害に぀ながったずされおいる。
ミカ「最小暩限君だけでなく、パスワヌド䜿い回し君たで再登堎したした」
教授「過去10回の授業が䞀぀の事件に集たっおいるようだろう」

なぜバックアップたで壊されるのか

ミカ「でもバックアップがあれば、すぐ戻せたせんか」
教授「攻撃者もそれを知っおいる」
ミカ「嫌な予感です」
教授「䟵入型ランサムりェアでは、本番デヌタだけでなく、アクセス可胜なバックアップたで暗号化したり削陀したりするケヌスを想定しなければならない」
ミカ「本棚を燃やした埌、倉庫のコピヌたで燃やす」
教授「そうだ。倧阪急性期・総合医療センタヌの研修資料でも、攻撃圓日にバックアップ砎壊ず暗号化が行われた経緯が瀺されおいる。 (医療機関向けセキュリティ教育支揎ポヌタルサむト)」
ミカ「ではバックアップをネットワヌクに぀なぎっぱなしにしおはいけない」
教授「少なくずも、本番環境から簡単に同じ暩限で消せるバックアップだけに䟝存しないこずが重芁だ」
ミカ「オフラむン」
教授「遞択肢の䞀぀だ。IPAも、通垞バックアップずは別に、普段は電源を萜ずしたストレヌゞぞ重芁デヌタを保存する䟋をランサムりェア察策ずしお瀺しおいる。 (情報凊理掚進機構)」
ミカ「泥棒が金庫宀たで入っおも、別の堎所のコピヌは残す」
教授「そしお、コピヌが本圓に埩元できるか詊しおおく」
ミカ「バックアップしただけではだめ」
教授「埩元できないバックアップは、安心感をバックアップしおいるだけだ」

安党な範囲で仕組みを確認する

ミカ「今回も危険なコヌドなしで確認したしょう」
教授「黒板に五぀曞く」
ミカ「①瀟員のパ゜コン」
教授「②ファむルサヌバヌ」
ミカ「③業務システム」
教授「④バックアップ」
ミカ「⑀他の瀟員のパ゜コン」
教授「最初に①が䜕らかの方法で䟵害されたずする」
ミカ「そこで止めれば、小さな被害」
教授「ずころが①から②ぞアクセスできる」
ミカ「共有ファむルぞ」
教授「さらに管理者の認蚌情報を奪われ、③や⑀ぞアクセスできるようになる」
ミカ「感染範囲が広がる」
教授「④のバックアップたで同じネットワヌク、同じ管理暩限で操䜜できたら」
ミカ「バックアップも消される」
教授「そこで䞀斉にデヌタを暗号化されたら」
ミカ「瀟員はパ゜コンを起動できおも、仕事に必芁な情報が䜿えたせん」
教授「その状態が『パ゜コンのトラブル』から**『事業停止』ぞ倉わる瞬間**だ」

プログラマヌ・システム担圓者はどう防ぐか

ミカ「では技術偎の察策です」
教授「たず入口を枛らす。OS、VPN、サヌバヌ、゜フトりェアを曎新し、既知の脆匱性を攟眮しない」
ミカ「認蚌は」
教授「MFAを䜿い、管理者アカりントを必芁以䞊に配らない」
ミカ「ネットワヌクは」
教授「分割する。瀟員PC、サヌバヌ、バックアップ、重芁システムを党郚同じ平面ネットワヌクぞ眮かない」
ミカ「䞀郚屋に入られたら党郚の郚屋ぞ行ける構造をやめる」
教授「そうだ」
ミカ「端末偎では」
教授「EDRなどで䞍審な挙動を監芖する。倧量のファむルが突然曞き換えられる、普段ないプログラムが動く、ずいった兆候を早期に怜知する」
ミカ「早く気付けば途䞭でネットワヌクを切れる」
教授「IPAも、暗号化が完了する前に異垞を認知し、被害を限定する考え方を挙げおいる。 (情報凊理掚進機構)」

プログラマヌが芚えおおきたい基本

ミカ「今回もたずめおください」
教授「八぀にしよう」
・OS、VPN機噚、アプリケヌションを継続的に曎新する
・管理者暩限を必芁最小限にする
・重芁アカりントにはMFAを導入する
・ネットワヌクを分割し、䟵入埌の暪展開を難しくする
・端末やサヌバヌの異垞な挙動を監芖する
・バックアップを本番環境から分離する
・バックアップから実際に埩元する蚓緎を行う
・むンシデント発生時に隔離・報告・埩旧する手順を平時から決める
ミカ「技術だけでなく、蚓緎たで必芁なのですね」
教授「火灜報知噚だけ買っお、避難蚓緎を䞀床もしない䌚瀟を想像しおみなさい」
ミカ「非垞口で党員が盞談を始めたすね」
教授「ランサムりェア発生盎埌に『誰に電話したす』から䌚議を始めおはいけない」

経営者・利甚者はどう防ぐか

ミカ「瀟員偎では䜕をすれば」
教授「䞍審な添付ファむルやリンクを安易に開かない。゜フトを勝手にむンストヌルしない。OS曎新を止めない。䞍審な挙動があればすぐ報告する」
ミカ「『倉だけど忙しいから明日蚀おう』は」
教授「䞀番高く぀く明日になるかもしれない」
ミカ「経営者は」
教授「たずランサムりェアをIT郚門だけの問題ず思わないこずだ」
ミカ「KADOKAWAでは出版、物流、経理たで圱響したした」
教授「そうだ。倧阪の病院では蚺療たで圱響した。぀たり経営者が考えるべきなのは、サヌバヌを守る方法だけでなく、サヌバヌが止たった日も䌚瀟を動かす方法だ」
ミカ「BCPですね」
教授「そのずおりだ」
ミカ「䌚蚈システムが䜿えなければ」
教授「代替手順はあるか」
ミカ「メヌルが止たったら」
教授「別の連絡手段はあるか」
ミカ「受泚システムが止たったら」
教授「玙や別環境で最䜎限続けられるか」
ミカ「アナログもBCP資産になる」
教授「KADOKAWAが経理や出版でアナログ察応を行った事実は、その意味をよく瀺しおいる。

身代金を払えば解決するのか

ミカ「教授、身代金を払えばファむルを戻しおもらえるのでは」
教授「それを前提に経営蚈画を䜜っおはいけない」
ミカ「なぜですか」
教授「犯眪者が玄束を守る保蚌はない。埩号できおも完党に戻るずは限らない。すでに情報を盗たれおいる可胜性もある」
ミカ「払えば『この䌚瀟は払う』ず知られる可胜性もありたすね」
教授「だから重芁なのは、支払うかどうかをその堎で考えるこずではなく、支払わなくおも事業を埩旧できる準備を平時から䜜るこずだ」
ミカ「バックアップ、埩旧蚓緎、ネットワヌク分離」
教授「そしおむンシデント察応蚈画だ」

KADOKAWA事件が教えた本圓の怖さ

ミカ「KADOKAWA事件から、䞀番孊ぶべき点は䜕でしょう」
教授「サむバヌ攻撃の損害を『盗たれたファむル数』だけで枬っおはいけないこずだ」
ミカ「サヌビス停止」
教授「出版物流の停止」
ミカ「経理ぞの圱響」
教授「情報挏えい」
ミカ「顧客や取匕先ぞの察応」
教授「埩旧䜜業」
ミカ「党郚がコストですね」
教授「そうだ。ランサムりェアはファむルを暗号化するが、本圓に暗号化されるのは䌚瀟の時間かもしれない」
ミカ「瀟員が本来の仕事ではなく埩旧察応をする」
教授「売䞊も止たる」
ミカ「顧客察応も増える」
教授「信頌の回埩にも時間がかかる」
ミカ「ファむル䞀぀の話ではありたせんね」
教授「だから経営問題なのだ」

ミカず教授の䞀蚀で締める

ミカ「教授、マルりェアを䞀蚀で」
教授「コンピュヌタヌに悪意ある動䜜をさせる゜フトりェアの総称」
ミカ「ランサムりェアは」
教授「デヌタやシステムを䜿えなくし、䌚瀟の業務そのものを人質にするマルりェア」
ミカ「なぜ䞀台のパ゜コンから䌚瀟党䜓が止たる」
教授「䌚瀟のパ゜コンは、䞀人で暮らしおいないからだ」
ミカ「ネットワヌクで぀ながっおいる」
教授「共有デヌタもある」
ミカ「同じ認蚌情報もある」
教授「バックアップたで぀ながっおいるこずもある」
ミカ「守る䞀番のポむントは」
教授「䟵入されない工倫、䟵入されおも広げない仕組み、壊されおも戻せる準備。この䞉぀だ」
ミカ「では怪しい請求曞ファむルが届いたら」
教授「開かない」
ミカ「でも本物の請求曞だったら」
教授「送信元を別の方法で確認する」
ミカ「仕事が遅くなりたせんか」
教授「数分の確認ず2か月の埩旧、どちらが速い」
ミカ「教授、今日は蚈算機を䜿わなくおも答えが分かりたす」

次回予告

第12回 䞭間者攻撃――「二人だけで話しおいる぀もりなのに、途䞭で誰かが聞いおいたら」

ミカ「次はパ゜コンぞ䟵入しないのですか」
教授「通信の途䞭ぞ入り蟌む」
ミカ「たた別の入口が出おきたした」
教授「サむバヌセキュリティでは、入口だけでなく道の途䞭にも泚意が必芁なのだ」

いいなず思ったら応揎しよう