📊数字は会社の本音を語る🔍倒産件数が増えている時代🔯社長、怖がるより先に月次決算です
倒産ニュースは、会社経営の天気予報である
ミカ:教授、最近、企業倒産が増えているという記事を見ました。かなり重い話ですね。
教授:たしかに重いテーマです。ただ、暗く受け止めるだけではもったいない。倒産ニュースは、経営者にとって景気の天気予報のようなものです。
ミカ:天気予報ですか。
教授:はい。「雨が降る」と聞いて、空に文句を言っても濡れます。大事なのは、傘を持つことです。経営でいう傘とは、月次決算、資金繰り表、価格改定、原価管理、金融機関との対話です。
ミカ:つまり、「世の中が厳しい」で止まらず、「うちの会社は何をするか」ですね。
教授:そのとおりです。倒産件数が増えているという数字は、怖がるための数字ではありません。経営の点検を早めるための数字です。
なぜ倒産が増えているのか
ミカ:記事では、倒産件数が久しぶりの高水準になっているとありました。背景は何ですか?
教授:主な要因は、物価高と人手不足です。仕入価格、電気代、燃料費、人件費、外注費が上がる。一方で、販売価格にすぐ転嫁できない会社は、利益が削られます。
ミカ:売上はあるのに、利益が残らない。
教授:まさにそこです。会社は売上だけでは生きられません。売上は入口、粗利益は体力、資金繰りは酸素です。
ミカ:売上が増えても、酸素が足りなければ走れない。
教授:そうです。特に小規模企業では、少しのコスト増が資金繰りに直撃します。大企業ならクッションになる資金や人員があっても、中小企業では社長の胃に直接来ます。
ミカ:胃薬の前に、試算表ですね。
教授:いいですね。胃薬は対症療法、月次決算は原因分析です。
物価高倒産――値上げできない会社の苦しさ
ミカ:物価高による倒産も増えているようですね。
教授:はい。仕入価格や電気代が上がっているのに、販売価格を据え置くと、利益率が下がります。社長は「お客様に申し訳ない」と言って値上げを我慢する。しかし、会社が倒れてしまえば、お客様へのサービスも続けられません。
ミカ:優しさだけでは、会社は守れないのですね。
教授:そのとおりです。値上げは悪ではありません。根拠のある価格改定は、会社を続けるための責任です。
ミカ:でも、値上げは怖いですね。
教授:怖いです。だからこそ、感覚ではなく数字で説明する必要があります。材料費が何%上がったか。電気代がいくら増えたか。粗利益率が何ポイント下がったか。これを月次決算で確認します。
ミカ:「なんとなく苦しい」ではなく、「この商品は粗利が3ポイント落ちています」と言える会社は強い。
教授:まさにそれです。数字があれば、値上げも交渉になります。数字がなければ、お願いになります。
人手不足倒産――人がいない時代の経営
ミカ:人手不足による倒産も気になります。
教授:今後ますます重要になります。受注はあるのに人がいない。店舗はあるのにシフトが組めない。現場はあるのに職人が足りない。これは成長のチャンスであると同時に、経営のボトルネックです。
ミカ:仕事があるのに、こなせない。もったいないですね。
教授:もったいないですが、無理に受けると危険です。納期遅れ、品質低下、残業増加、離職。最後は現場が悲鳴を上げます。
ミカ:売上を増やそうとして、社員が減ってしまう。
教授:それでは本末転倒です。人手不足の時代は、売上最大化よりも、粗利と生産性の最大化が大切です。
ミカ:何でも受けるのではなく、利益の出る仕事を選ぶ。
教授:そのとおりです。社長は「売上が欲しい」と言いますが、会社が本当に欲しいのは、利益と資金と継続できる体制です。
架空の実例 黒字に見えて資金が苦しい会社
ミカ:実例でいうと、どんな会社ですか?
教授:架空の会社として、「青空設備工業」を考えましょう。売上は前年より増えています。社長は「うちは順調だ」と思っていました。
ミカ:良いことですね。
教授:ところが、月次で見ると、材料費と外注費が上がり、粗利益率が下がっています。さらに売掛金の回収が遅れ、仕入代金の支払いが先に来る。利益は出ているように見えるのに、通帳残高が減っていく。
ミカ:黒字なのに、財布が軽い。
教授:そうです。社長は言います。「売上は増えているのに、なぜお金がないんだ」。
ミカ:よく聞く言葉ですね。
教授:答えは、粗利と資金繰りにあります。売上だけ見ていると、会社の体調を読み間違えます。倒産は赤字だけで起きるのではありません。資金が詰まると起きるのです。
ミカ:つまり、損益計算書だけでなく、資金繰り表も見る。
教授:はい。試算表は体温計、資金繰り表は酸素ボンベです。
中小企業が今すぐ見るべき数字
ミカ:では、中小企業は何を見ればよいですか?
教授:まず、毎月の売上ではなく、粗利益率です。売上が増えても粗利率が下がっていれば、会社の体力は落ちています。
ミカ:売上は見栄え、粗利は中身。
教授:次に、固定費です。家賃、人件費、リース料、保険料、借入返済。売上が落ちても出ていく費用を把握します。
ミカ:会社の基礎代謝ですね。
教授:そのとおりです。さらに、資金繰り表です。3か月先、6か月先の入金と支払いを見ます。ここを見ない経営は、夜道をライトなしで走るようなものです。
ミカ:しかも下り坂か上り坂かも分からない。
教授:危険ですね。そして、価格改定のタイミングです。値上げは遅れるほど苦しくなります。
ミカ:値上げは勇気ではなく、準備ですね。
教授:名言です。価格改定は、数字をそろえて、説明できる形で行うべきです。
社長に伝えたいこと
ミカ:社長には、どう説明すればよいですか?
教授:こうです。
社長、倒産件数の増加は、他人事ではありません。ただし、必要以上に怖がる話でもありません。大事なのは、自社の粗利、固定費、資金繰りを毎月確認することです。
ミカ:やることが明確になりますね。
教授:さらに言えば、厳しい時代ほど、数字を早く見る会社が生き残ります。
ミカ:数字を見るのが遅い会社は、対策も遅れる。
教授:はい。倒産は突然起きるように見えますが、多くの場合、前兆があります。粗利益率の低下、売掛金の増加、借入返済の重さ、在庫の増加、資金繰りの悪化。
ミカ:会社は先に小声で知らせてくれているのですね。
教授:そのとおりです。月次決算は、その小声を聞き取るための道具です。
まとめ――倒産ニュースを、自社点検のきっかけにする
ミカ:今日の結論は、倒産件数の増加を暗いニュースで終わらせないことですね。
教授:はい。これは「怖いですね」で終わる話ではありません。自社の経営体質を点検するチャンスです。
ミカ:見るべきは、売上、粗利、固定費、資金繰り、価格改定、人手不足への対応。
教授:そのとおりです。中小企業にとって大切なのは、立派なスローガンより、毎月の数字です。
ミカ:最後に一言で言うと。
教授:倒産ニュースは、経営者への脅しではなく、早めの点検を促すベルです。ベルが鳴ったら、慌てるのではなく、月次決算を開きましょう。
ミカ:数字は会社の本音を語る。
教授:はい。そして本音を聞ける社長は、会社を強くできます。雨の日でも、傘を持つ会社はちゃんと前に進めます。
