88 辞めた職場への感謝と新しい1歩
退職して11ヵ月経った。
仕事を離れた直後は、休むことに一生懸命だった。ただ、休むといっても何もしないわけではなく、今まで行けなかったところに行き、できなかったことをする、といった感じに過ごしていた。
そんな時間を過ごしている中で、何度か前の職場の人たちから連絡をもらうことがあった。
「元気にしてる?」
「無理せずに」
そして、
「ほとぼりが冷めたら戻ってきたらいいよ」
「また一緒に働けることを祈ってるよ」
そんな言葉をかけてもらった。
メッセージを見たときは素直に嬉しかった。
退職した人間のことを、わざわざ気にかけてくれる人が何人もいる。その事実だけでもありがたかった。
ただ、その一方で少し複雑な気持ちもあった。嬉しい反面、その言葉をどう受け取ればいいのか分からなかったからだ。
本当にそう思ってくれているのかもしれない。人手不足という事情もあるのかもしれない。
あるいは、その両方。
考え始めると答えは出なかった。
それでも、1つだけ確かなことがある。
退職したあとも気にかけてもらえるのは「とても幸せなこと」だということだ。
前の職場には苦しかった思い出もある。
計画的に転職活動をしていた訳でもなかったし、退職に至る道のりは「突然」かつ「あっという間」だったからだ。
当時は余裕もなく、目の前のことで精一杯だった。だからといって、前の職場への感情が恨みや怒りだけでできているわけではない。
むしろ今振り返ると、自分の仕事観を作ってくれた場所だったように思う。福祉の世界に携わる人間として多くの経験を積ませてもらった。
お客様との関わりの中で仕事のやりがいを知った。
何度も失敗もしたし、悩んだこともあった。それでも、その全てが今の自分につながっている。
楽しかったことも苦しかったことも。
仕事やお客様、その他の従業員から学べたことや気づかされたことも沢山あった。
そして「離れなければならなかった理由」もたしかにそこにあった。
そのどれかが真実なのではなく、その全てが真実なのだと思う。
白か黒ではなく、yesかnoでもない。
以前は、退職した職場に対して白か黒かの答えを出そうとしていた気がする。
良い職場だったのか、悪い職場だったのか。
でも今は、そのどちらでもないと思っている。自分を成長させてくれた場所であり、同時に離れる必要があった場所でもある。
その2つは矛盾しない。
先日、新しい職場から内定をいただいた。7月から新しい環境で働くことになる。
そのことを前の職場の人たちに伝えるべきかどうか少し迷っていた。
戻ってきてほしいと言ってくれた人たちがいる。そして今なお気にかけ続けてくれる人たちがいる。
だからこそ、何も言わずに新しいスタートを切るのは違う気もしていた。
もし報告するなら「戻れなくて申し訳ない」という気持ちではなく、「おかげさまで次の1歩を踏み出せそうです」という気持ちを伝えたいと思った。
そして先日、無事にその気持ちを伝えることができた。
退職は必ずしも縁の終わりではない。
働く場所が変わっても、そこで出会った人たちとのつながりが残ることもある。
それは退職する前には決して気がつくことはできなかったことだ。
7月から新しい仕事が始まる。
正直なところ、不安はある。
新しい環境でうまくやっていけるのか、自分の選択は間違っていなかったのか、考えることもある。
それでも前を向いてみようと思う。
そう思えるのは、これまで関わってくれた人たちのおかげなのかもしれない。前の職場に戻ることはないかもしれない。
けれど、そこで過ごした時間や出会った人たちへの感謝は、これからも残り続けるのだと思う。
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当記事があなたにとって意味ある記事であることを願っています。
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