修学旅行でホテルに着いたら… ~元教員のぶっちゃけ話~
小学校教員時代、修学旅行の引率をすることがありました。
数えてみると2ケタ超え。
けっこう多いほうだと思います。
6年担任としては半分強です。
何度かあった経験の中でも、
特にインパクトのあった一件を書きます。
「お部屋が確保されていません。」
修学旅行1日目の夕方、ホテルに着いて
言われた一言です。
私が教員5年目のときです。
信じられますか?
もちろん本当の話です。
4クラス150名超の大人数
(当時は35人学級はるか前)
を乗せたバス4台が駐車場へ。
添乗していた旅行業者が
まずホテルの中に入っていきました。
駐車位置の指定や、ホテル側の受け入れ準備などがあるので、子供たちや教員は車内で待機します。
・・・一向に誰も出てきません。10分近くは待ったと思います。
しびれを切らしたのでしょう、
別のバスに乗っていた学年主任が降りて
ホテルに向かいました。
入口の手前まで進むと、
ちょうど業者が出てきて、
言葉を交わしているのが見えます。
と、主任のジェスチャーが
何だか激しい感じになっていました。
ただならぬ様子でしたので、
私を含めた他の教員もその場に向かいました。
そこで聞こえたのが
「お部屋が確保されていませんでした。」
…正直、このときの私はピンときていませんでした。
業者の振舞いが冷静に見えたからでしょうか。
何か変更があったのかな程度でした。
別の担任も初めはそう思ったと、後に話していました。
ところが、業者の言葉が続きます。
「(部屋を)どうしても用意できません。」
えっどういうこと?
業者の話は何だか要領を得ず。
表情を変えずに話していましたが、
単にこわばっていただけだったのかもしれません。
私たちもだんだん非常事態が起こっていると分かってきました。
そのうちヒートアップする教員もいて、
「じゃあ、ここから帰れということ?」「すぐ他のホテルに連絡して!」
相変わらず業者はしどろもどろ。
この事態を収めた方法とは?
どのくらい経ったか、
学年主任が、ホテルの方と共に
こちらに歩いて来るのが見えました。
いつの間にホテルに入ったのかも気づかないほど、私は動揺していたようです。
主任が静かに一言、
「子供を降ろして、ホテル入館式だ。」
ん???
結局どうなったの?
業者はポカンとしています。
ずっと待たされていた子供たち、
やっと下車できました。
降りながらブツブツ…
今思い出しても、本当に申し訳なかった!
入口前での入館式の最中、
主任が引率者を後方に集めました。
「ホテルに聞いたら、不足は5部屋。
空いているのは階が全部バラバラで、
これでは提供できないらしい。
それで交渉したんだけれど、
俺のクラスを宴会用の大広間に泊めることにするわ。」
結局、主任のクラスの半分の子が、そこで一晩を過ごすことになったのです。
驚きましたが、もうこれしかありません。
全員が部屋に移動し、少し休んだ後
夕食会場へ。
夕食後に部屋グループ単位の発表タイムがあり、その子たちが意気消沈しているかとヒヤヒヤでしたが、
そうでもない様子でした。
就寝時刻を過ぎ、交代で見回ります。
宴会場なので、宿泊部屋とは階が違うこともあったのでしょう。
様子を見に行ったときには、
かなりワイワイやっていました。
主任は大広間隣の小部屋に寝ることに。
子供たちの声が聞こえていましたが、
まあ予定外のことが起こったためか、
多少は大目に見ていたのでしょう。
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今の時代なら、いや当時だって大問題になりかねません。
予約を完了させていなかった業者は
もはや論外ですが、
選択の余地がなかったとはいえ、
このような対処だって
後で保護者からクレームが来ても
おかしくありません。
翌朝、大広間の子供たちに聞いてみたら、
「はじめびっくりしたけど、
いろいろとおもしろかった。」
「これだったら部屋グループを
分ける必要なかった。」
全員に聞いたわけではありませんが、
満足感を表情ににじませる返答ばかりでした。何とポジティブ!
結果オーライ…と呼ぶしかありません。
帰校後も、クレームはなかったようです。
実を言うと、
私はそれまでこの主任の仕事ぶりを
あまりよく感じていなかったのですが、
このときの対応は
大変勉強になりました。
ちなみにこの件、
FAXでのやり取りが原因らしいと聞きましたが、真相はわからないままです。
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この件以降、
修学旅行の下見に行く際には、
人数と部屋数が書かれたメモを
ホテルに直接渡すようにしました。
「旅行業者さんからもらっていますけど、
変更があったのですか?」
確実にこう聞かれます。
「いえ、念のためです。」
