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【初心者の方必見!#5】今さら聞けない「馬の毛色」について。芦毛の親が芦毛の理由は?

▪️火曜日の血統論が生まれた背景について


個人的なルールが曖昧になってきた僕のnoteですけど、火曜日だけはルーティンを守り、「血統論」を続けています。

僕の取材や見解を書くときもありますが、ほとんどは東スポ競馬Webにて連載していた「元JRA調教師・白井寿昭氏と学ぶ血統学・温故知新」をリバイバルしたもの。

何十時間という時間を費やし、2人きりで行った会話の内容をスマホでも読みやすい形に再編集。

競馬ファンが敬遠しがちな血統を「もっと身近なものにしたい」と思った気持ちが、このアイデアのスタートで、白井先生にも理由を説明し、快諾してもらっていますから、できるだけ多くの方に読んでもらいたいと思っています。

巷に溢れる「血統論」とは全く違う、現場ベースの考えから生まれた「血統のバイブル」として……マガジンを拡散してもらえると嬉しいです!

以上、宣伝でした(笑い)

▪️「優性遺伝」と「劣性遺伝」

ここからが今回の本題です。

白井先生と会話をしているとき、よく出てきたワードの1つに「優性遺伝」というものがありました。

芦毛の子は芦毛になりやすい……みたいな話で、その逆の言葉に「劣性遺伝」もあるのですけど、その言葉の意味はご存知ですか?

当時は「誰もが知っていること」のように話を進行して、特に説明もしなかったものですが、振り返れば、どうしてゴールドシップは芦毛だったのか?

オルフェーヴルが栗毛に出た理由は?

何も説明しないままでした。
本当に申し訳ない。
痒い所に手が届いていませんでした(苦笑)

白井先生は毛色が競走馬に与える影響を……つまりは「どの馬の影響力が強いのか」という意味ですが、その推測の1つとして利用されていましたし、現在の僕もそうです。

例えば、ソダシは白毛ですけど、その全妹であるママコチャは鹿毛。

全きょうだいの2頭だけど、影響を与えている馬はそれぞれ違うのかな?
それとも、見た目だけが大きく違うのかな?

こんなことを考えるんですよね。
こんなことを考えるのが好きなんです。

ちなみにゴールドシップ、最近ではガイアフォースが有名な芦毛は「優性遺伝」で、先々週に取り上げたラッキースパークルのお母さんで、GⅠ4勝馬のラッキーライラックの栗毛は「劣性遺伝

これが今回のテーマです。

というわけで、馬の毛色が決まる流れを説明したのち、最後にガイアフォースを例にして、「優性遺伝」が繋げる芦毛の流れはどのようなものか……を簡単に見ていきたいと思います。

芦毛好きの方は必見!
非常に面白いですよ(笑い)

▪️まずは黒をつけるかどうかから、毛色の設定は始まる!


調べると実に簡単に出てくるものなのですが、馬の毛色の決定方法は2種類で、それは全く別の行程とされています。

1)まずはベースの色が決まる
2)その上で芦毛になるかどうかが決まる

なんのこっちゃかわからないと思うので、まずは1)についての説明からしていきますね。

最初の前提として毛色の遺伝子には、

黒い色素を作れるE
黒い色素を作れないe

この2種類があるんですね。

毛色のパターンはEE、Ee、eeの3つですが、
①Eが1つでも入る
②黒い色素を作れる
③栗毛にはならない

この流れになるので、遺伝子パターンがeeとなった場合のみしか、栗毛になることはありません。

親がEeとeeのように、遺伝子の数はeが多い場合でも、受け継いだ遺伝子がEeであれば、栗毛にはならないんですね。

eが2つ揃い、毛色の遺伝子がeeとなった場合のみが栗毛。

なので、栗毛は「劣性遺伝」と呼ばれています。

学者さんではないので、表現や言い回しは正解でないかもしれないですけど、意味合いは合っていると思いますよ(笑い)

ちなみに、この説明がなかなかわかりにくいので、誰かに聞かれたときの僕は「栗毛になるのは条件が厳しい」と伝えています。

▪️芦毛の因子が1つでもあれば、芦毛になる


1)でベースの色が決まっても、芦毛の因子が1つでも入ってしまえば、その馬は芦毛になると言われています。

栗毛になるかならないか」の選定とは別のところで、「芦毛になるかならないか」の選定も行っていて、ベースが鹿毛だろうと、栗毛だろうと、芦毛の遺伝子が入ってしまえば、その全てを上書きして芦毛。

ちょっと暴論かもしれないですけど、僕の解釈はこんな感じです。

芦毛の遺伝子があれば、芦毛になってしまうので、ゆえに「優性遺伝」と言われています。

詳しく説明すれば、芦毛は先ほどの説明とは全く別の「G遺伝子」というものが関わっていて、

G=芦毛になる
g=芦毛にならない

この2つの組み合わせによって、芦毛になるかどうかが決まると言われているのですが、2つ揃わないとダメ(eeのみ)だった栗毛と違い、芦毛の場合はGGだけではなく、Ggでも芦毛になる。

逆に言えば、ggのパターンだけが芦毛にならないんですね

芦毛の馬は、最低でもGの遺伝子を1つは持っているので、芦毛の馬は芦毛になりやすい。

簡単に例を出します。

1)芦毛 Gg × 非芦毛 gg

片方から遺伝子を貰うので、Gが入る可能性は50%です。
なので、結果は
Gg=芦毛:50%
gg=非芦毛:50%

芦毛の親から芦毛が出てこない1番有力なパターンです。

2)芦毛 Gg × 芦毛 Gg

芦毛同士の組み合わせですが、どちらにもgが入っているパターン。

検査をすればわかるのかもしれませんが、Ggは視認ができないので、誕生したときは「なんで?」となります(苦笑)

この場合のパターンは3つで
GG=芦毛
Gg=芦毛
gg=非芦毛

なので、理論上は芦毛が75%、非芦毛が25%になります。
ほぼ芦毛ですね。

3)芦毛 GG × 非芦毛 gg

産駒はすべて Gg になるので、100%芦毛です。

ただし、親が GGなのか、Ggなのか は血統・産駒傾向・遺伝子検査を見ないと断定できないので、視認だけでは1)との区別ができません。

▪️芦毛の親は絶対に芦毛


お気づきの方もいるかもしれませんが、芦毛でない馬はGの遺伝子を持っていないので、産駒にGの遺伝子を伝えることができません。

なので、毛色の隔世遺伝はないということです。

もっとも、遺伝していないのは毛色だけなので、毛色とは全く違う部分で影響を及ぼしている可能性は捨てきれない。

なぜなら、鹿毛で生まれたママコチャは、姉のソダシよりもクロフネ色の強い馬と僕は考えていて、それはクロフネ産駒のスプリンターだったカレンチャンやスリープレスナイトにも似たタイプと思っているので。

ただ、今回は毛色の話なので、そのあたりのことは次回の機会にでも。

では、本当に芦毛の親は芦毛なのか?

最後に皆さんが大好きなガイアフォースを例に出して、彼のルーツを遡っていきましょう。

ガイアフォースは父が鹿毛のキタサンブラックですから、母ナターレの芦毛を引き継いだ馬です。

もちろん、このナターレの芦毛はクロフネのもの。
その先はブルーアベニューですね。

では、ガイアフォースから芦毛だけを辿って、三大始祖まで辿り着くかどうかを試していきますね。

どちらも芦毛だった場合は困ってしまいますけど、とりあえずは始めていきましょう!

ガイアフォース→
母ナターレ(2008)→
父クロフネ(1998)→
母ブルーアベニュー(1990)→
母Eliza Blue(1983)→
父Icecapade(1969)→
母Shenanigans(1963)→
父Native Dancer(1950)→
母Geisha(1943)→
母Miyako(1935)→
母La Chica(1930)→
母La Grisette(1915)→
父Roi Herode(1904)→
父Le Samaritain(1895)→
父Le Sancy(1884)→
母Gem of Gems(1873)→
父Strathconan(1863)→
母Souvenir(1856)→
父Chanticleer(1843)→
母Whim(1832)→
父Drone(1823)→
父Master Robert(1811)→
母Spinster(1805)→
母Sir Peter Mare(1797)→
母Bab(1787)→
父Bourdeaux(1774)→
母Cygnet Mare(1761)→
父Cygnet(1753)→
母Blossom(不明)→
父Crab(1722)

Cygnetの父が三大始祖の1頭であるゴドルフィンアラビアン(1724)で、ゴドルフィンアラビアンと交配したBlossomが芦毛でした。

この馬の生誕年は出てきませんでしたが、その父であるCrab(1722)は芦毛だったようなので、この馬こそがガイアフォースの芦毛のルーツということになりますね。

とりあえず、父母ともに芦毛のパターンはなかったので、1頭も被らずに遡っていくことができました。

そして、ガイアフォースのファンの皆さんに、間違いのない300年のルーツを提示できて良かったです(笑い)

ちなみに1720年代前半は、徳川吉宗の「享保の改革」が行われていた時代ですので、歴史の教科書レベルの話。

なかなかのルーツですね。

これも「どちらかが芦毛」の前提があるからできたことで、劣性遺伝の栗毛ではできなかったでしょう。

ぜひ、皆さんも好きな芦毛で先祖を振り返ってみてください!
なかなか楽しいですよ。

ちなみにブルーアベニューよりも先の馬で、「この馬の祖先ね」と思える馬はネイティヴダンサーくらい(苦笑)

オグリキャップのおじいちゃんですが、あの馬は父ダンシングキャップも母のホワイトナルビーも芦毛。

なので、芦毛のルーツを2つ以上は持っている馬なのです。

大変なので、遡りませんけど!

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