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サンデーサイレンス×トニービンだけじゃない!アドマイヤベガの母ベガにも触れる【火曜日は血統論#23】

◾️名牝ベガの1番星・アドマイヤベガ

日本ダービーの特別マガジンでも書かせていただきましたが、サンデーサイレンス産駒のダービー馬・アドマイヤベガは、僕にとっても忘れられない名馬の1頭です。

なぜなら、母が大好きだったベガだったので。

ベガは栗東・松田博資厩舎の管理馬でしたが、僕がトレセンに通うようになって、最初に親しくなった調教師の方が松田博先生

そんな松田博先生が「あの馬がいなければ、現在の自分はいない」と常に口にしていたのが、桜花賞とオークスの二冠を制したベガでした。

マガジンでも触れていますが、アドマイヤベガがデビュー前に行った坂路での追い切りも、僕は松田博先生と一緒に見ています。

この血統コラムでサンデーサイレンス産駒を取り上げていくと決めたとき、避けて通ることのできない馬、絶対に触れておきたい馬がアドマイヤベガなんですね。

血統的にも注目すべき存在でした。

それは二冠馬ベガを母に持っているというだけでなく、サンデーサイレンスとトニービン……日本で大成功した2頭の種牡馬の血が、ベガを通じて結びついた馬でしたから。

そのような意味もあって、僕はアドマイヤベガにデビュー前から注目していたんです。

■身体的な難しさを抱えていたベガ

一方、白井先生にとってのアドマイヤベガは、そこまでの存在ではなかったようです。

「母のベガが見栄えがするとはいえない馬やったからな。430から440キロくらいやったと思うけど、細くて小さかった。装鞍所で見たこともあるよ。走る馬ではあったけど、素晴らしいなあ……と感じる見た目ではなかったな」

さらにベガは、脚にも難しさを抱えていた馬でした。

左前脚が極端に内向していたんですよね。

「内に向いているヤツはあかんよ。ホンマはね。外向はなんとかなるけど、内向は難しい」

ベガは2冠を勝ちましたし、身体的な問題があっても、走る馬は走る。

これは松田博先生が口にしていたことですが、白井先生は感性とともに確率を重んじる人でしたから、ベガの身体的な特徴に懐疑的だったそうです。

さらに言えば、白井先生はトニービンへの評価もそこまで高くありませんでした。

「評価してないのでなく、判断が苦手というのかな。薄い馬が多かったやろ?」

母父マルゼンスキーの血統に目を付け、その血統の馬を手に入れながら、馬体を嫌って、ウイニングチケットを取り逃したエピソードを自虐的に語ってくれたこともありました。

「サンデーは薄くてもしなやかさを感じるんやけど、トニービンはただ薄いだけ。エアグルーヴのような馬もいたけどね。でも、僕には難しい種牡馬やった」

■ サンデーサイレンスとトニービンの配合だけではない

改めてアドマイヤベガの配合を見れば、父がサンデーサイレンスで母の父はトニービン。

これだけでも十分過ぎるほどに思えますが、ベガの母アンティックヴァリューはノーザンダンサーの産駒でした。

誰もが良血と認めるアドマイヤベガ

これから取り上げることになるであろうハーツクライもサンデーサイレンスとトニービンの掛け合わせですが、あの馬の母になるアイリッシュダンスはトニービンとリファールの掛け合わせですから、イメージはサンデーサイレンス×トニービン×ノーザンダンサー

このような積み重ねが大事なんですよね。

実際、白井先生にアドマイヤベガの血統を聞いたところ、「距離が延びて良さそうやし、切れそうな感じもする」に続いた言葉が、ベガの血統についてでした。

「母のアンティックヴァリューはノーザンダンサーの直子やし、その母の父はトムフール。その前はボールドルーラー。やっぱりさ。崩れてないわ。血が騒いだ。ベガはそういう馬やね」

この「血が騒いだ」という言葉。
白井先生が好んで使用した表現でした。

ベガ自身は桜花賞、オークスを勝った名牝ですが、繁殖牝馬としても、アドマイヤベガ、アドマイヤボス、アドマイヤドン、キャプテンベガと重賞勝ち馬を送り出すことに。

特に興味深いのは、アドマイヤドンでしたね。

この配合でも大物が誕生した

アドマイヤベガやアドマイヤボスはサンデーサイレンス産駒ですが、アドマイヤドンの父はティンバーカントリー。

違うタイプの種牡馬を相手にしても大物を出したことは、ベガ自身の繁殖能力の高さを示しているように思います。

白井先生も、そこははっきりと言っていました。

「そう。繁殖としての能力が高い。アドマイヤドンが証明しとるわ」

末脚の切れで魅了したハープスター

ベガがファルブラヴとの配合で産んだヒストリックスター。

彼女が繁殖に上がり、ディープインパクトとの間に出したのがハープスターでした。

強烈な末脚で多くの競馬ファンを魅了した馬ですが、この流れを見ると、ベガという牝馬が持っていた血の厚みを改めて感じますよね。

■ 早すぎた別れ

だからこそ、アドマイヤベガの早逝は本当にもったいないと感じます。

初年度産駒からはストーミーカフェ、2年目の産駒からは桜花賞を勝ったキストゥヘヴン、マイルCSを勝ったブルーメンブラットが出ていますし、種牡馬としての活動はわずか4世代ですが、2頭のGⅠ馬を出しているのですから、可能性は十分に見せていた。

白井先生も、アドマイヤベガについては惜しむ言葉を口にしていました。

「この血統やからな。可能性もあったろうに。しかも、どっちも牝馬。そこが惜しいね」

このあたりは代表産駒が牝馬に偏ったスペシャルウィークに通じるものがあったかもしれませんね。

牡馬の後継を残せなかったので、父系として広がることはありませんが、アドマイヤベガの血が消えたわけではありません。

母父アドマイヤベガの代表産駒

ブルーメンブラットはモーリス産駒のシュトラウスを輩出。

種牡馬になれるほどの実績は残せていませんけど、今年はアブダビで勝っていますし、母のブルーメンブラットが晩成タイプで、年齢とともに気性の難しさも修正されている様子。

ベガの血、アドマイヤベガの血を残していく可能性はありそうです。

今後の活躍に注目したいですね。

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