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【詩のようなもの】 少なくとも賭けに言い訳はない 《3つのお題に空想のひらめきを第45回》



世界の終わりを見た猫は
海の底にある
古い劇場に遺されていた
衣装とレコードを
記憶を編む織物屋
そして
音を復元する修理屋のもとに
運んで行った
それでも誰かが
生き残り
記憶と旋律が
失われないように


こう書いてしまうと
いかにも寓話的な
物語に聞こえてしまうが
現実にすると
こんな話になる
1970年代
ニュージャージーの河が
ダイオキシン系の廃液に
汚染された
この流域の生物は
ほとんど死に絶えたが
唯一
メダカの中の
1グループだけが反対に
個体数を増やした
こいつらは
ダイオキシンを無効化する
酵素を
体内に持っていたんだ


なぜこのグループだけが
そんな酵素を持っていたのか
おそらくメダカ自身にも
わからないだろう
だが事実として
それは在った
いわゆる
根拠のない自信とか
火事場の馬鹿力
なんてものの正体は
こういったものかも知れない
世界の終わりが迫り
自分の中に眠る能力が
そのときに発動する


そう考えると
根拠のあやふやなものを
信じられる社会ってのは
まだ生きやすい
何をするにも
明確な根拠が必要な
世界ってのは
うんざりするほど
生きづらい
そもそも
自分でもよくわからない
ものなんざ
至ってシンプルだ
それがどんな結果になっても
言い訳などできない
明確な根拠のある
理屈から理屈へ
それが社会を動かす
システムになると
複雑な言い訳の
し放題になる
だって
お偉い誰それさんが
言ってたから
みんなが
やってたから
流行ってたから
何かあっても全部
そいつのせいにできて
あわよくば自分も
被害者ぶれる
あの手この手のスキームで
何百億と騙し取っても
良心の呵責を感じずに
済む程度には


こんなことを言うと
インテリ連中からは
反知性的だと
よく言われたよ
私は理論や学説を
否定したいんじゃなく
それを言い訳に
使いたがる輩が
掃いて捨てるほどいるのが
反吐が出るだけだと
はっきり伝えたんだがな


社会をピラミッドで
例える趣きもあるが
それで言うなら
ピラミッドの危険度は
下から見上げてるほうが
わかりやすい
どの階層の
どの床石材に
亀裂が入っているか
修理のコストをケチって
安価な代替材料や
ホログラムで
済ませているか
ピラミッドが崩れるときも
言い訳に慣れた連中は
最後まで
必死に言い訳をしながら
逃げ出そうとするだろう
失っても
惜しくない程度の額だが
私の全財産を
賭けてもいい
万一外れても
言い訳はしないさ
当たろうが外れようが
どのみち褒められた
もんじゃないがね









*こちらに参加させていただきました🙇‍♂️
 お題
 海の底にある古い劇場
 世界の終わりを見た猫
 記憶を編む織物屋
 トップのイラスト


#3つのお題に空想のひらめきを第45回 #詩のようなもの #詩 #現代詩 #自由詩 #散文詩 #創作

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