【詩のようなもの】 story of kranjska gora 《3つのお題に空想のひらめきを第50回》

このヤスナ湖の
ほとりにある森林には
かつて
魔女がいたらしい
長らく
クランスカ・ゴーラの村と
対立していて
都から派遣された
兵たちによって
討伐されたが
そのとき
最後の
消えかけた魔法が
一本の木に
かかった
その木は
とばっちりの魔力で
人の言葉を話せる
しゃべる木となったが
自分も魔女のように
排除されるのではと恐れ
それまでどおり
沈黙していた
ほとんどの者が
寝静まった夜中にだけ
そっと歌を唄い
歌声を聞いた
一匹の野良猫が
やってきた
木はその猫にだけ
歌を聴かせ
春の終わりには
普通の木へと
戻った
また
季節が巡れば
そう思ったのか
次の
春を待つ猫は
その後も
木の近くを
離れなかったそうだ
そんなことが本当に
あったのか
なかったのか
だが
二十年ほど前
当時5歳だった
私の孫娘が
森で迷子になり
翌朝に見つかったとき
彼女は
ある木の根元にいた
聞くと
私が怖くないように
この木が
夜の間
歌を
唄ってくれていたと
そう言っていた
またいつ
しゃべれるようになるか
わからないが
その時は改めて
礼を
言いに行くよ
*こちらに参加させていただきました🙇♂️
お題:
春を待つ猫
消えかけた魔法
しゃべる木
トップのイラスト
Memo
クランスカ・ゴーラ
スロベニア北西部ゴレンスカ地方にある美しい山間の町。人口は5200人ほど。イタリアとオーストリアの国境に接している。
この情報以外は創作です。
