【詩のようなもの】 それは贈り物のような幸せだと聞いた 《3つのお題に空想のひらめきを第46回》


昭和っていう時代には
赤電話と呼ばれた
公衆電話が主流だった
ポケットの中の10円玉を
3分に一つずつ入れて
相手と喋る
真空管ラジオのデザインは
今でも人気があるそうだが
心臓部にガラスが入っていたりで
当時はとても重かったよ
未舗装の道も多かったから
泥水で濡れたランドセルを
背負ってる小学生も
よくいたが
子供を狙った誘拐なんかも
多くてね
そんな事件が起きると
マスコミは
闇に消えていった夏
なんて見出しで
報じたりしていた
よく
日本で古くなった電車が
海外で活躍するなんて
ニュースがあるだろ
それと同じで
古くなった
赤電話やラジオは
海外に送られたりした
そこでも
お役御免となると
大量に投棄される
赤電話の墓場は
ある巨大なスラムの一角に
真空管ラジオのほうは
人里離れた山間に
わざわざキザな
ネーミングまで
つけられて
電話の受話器とコードが
そう見えたのか
願いを食べる竜の森
輝ける真空管の集まりは
夢を閉じ込めたガラス瓶の海
なんて具合にね
こういった地域では
バラして売れそうな
廃品を集める
児童労働が珍しくない
赤電話の竜の森には
サッカー好きの少年がいた
ラジオのガラス海には
歌が大好きな少女がいた
二人は街頭で聴いた
中継や歌を耳で覚え
それを口に出しながら
電話とラジオの中を
歩き回っていたらしい
私が出会ったとき
二人は
こう言っていたんだ
少年には
捨てられた
電話から
少女の歌が
少女には
壊れたはずの
ラジオから
少年の弾んだ声が
聴こえていたと
もちろん
そんなわけがあるかと
思ったさ
だがこの
ボールのない
フィールドを駆ける
サッカー選手と
音のない世界の
歌姫は
心の底から
幸せそうに笑って
自分たちの
出会いと人生は
神からの
かけがえのない
贈り物だと
そう
言ったんだよ
*こちらに参加させていただきました🙇♂️
お題:
願いを食べる竜の森
音のない世界の歌姫
夢を閉じ込めたガラス瓶
ポケットの中の10円玉
濡れたランドセル
消えていった夏
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