【詩のようなもの】 End of War 《3つのお題に空想のひらめきを第59回》

ある田園地帯の
小さな村
そのはずれは
風が眠る丘と
呼ばれていた
楽器の生産を
家業とする住民が多く
子供たちは
丘に集まって演奏し
その音色に
風も聞き入る
戦時中
この村の制圧を
命じられた連隊は
夜のうちに
丘近くの森まで
侵入した
夜明け前
子供たちが奏でる
音楽が響く
軍の動きが少ない
この時間帯だけは
楽器を弾くことを
許されていたらしい
隊長は考えた末
演奏が止むまで
進軍をしないよう
部下たちに命じた
やがて地平線から
次第に日が昇り
朝露のオーケストラ
最後の一曲
本部からの伝令を持って
連隊に追いついた
私が聴いたのは
そこからだ
あまりにも
美しい光景だったから
しばし皆と一緒に
聴き入ってしまった
夜が完全に明け
演奏が止まる
私は連隊に
終戦
戦争が終わったことを
伝えた
兵士たちは
安堵の歓声を上げ
涙しながら
奏者の子供たちに
割れんばかりの
拍手を送った
朝がやってくる
この世界に
素晴らしい音色のある
この世界に
愛する者のもとへ帰れる
この世界に
我々は
惜しみない
拍手を送ったんだ
もう
当時の隊員の多くが
この世を去った
これは
幼い
世界一小さな楽団が起こした
世界で一番小さな奇跡
世界で最も偉大な
奇跡の話さ
*こちらに参加させていただきました🙇♂️
お題:
風が眠る丘
朝露のオーケストラ
世界で一番小さな奇跡
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