【詩のようなもの】 white,black and others 《せりふ三題噺》
俺は
極寒の地の
人間だ
自分の家と
車以外で
周りにあるのは
雪と氷と
山と空
マイナス数十度
バカでかいつららが
よくできて
吹雪けば
当然
閉じ込められる
白と黒だけの
世界だ
6つのとき
用があって
親父と
港町まで行った
初めて
三輪車
三輪バギーに
乗せてもらって
そのときは
たまたま
街の広場に
移動遊園地も
来ていた
小ぢんまりした
メリーゴーランドがあったり
甘い綿菓子や
バルーンアートとか
そんな感じの
俺は
安いキーホルダーを
買ったが
どこかに
置き忘れたらしい
それを
同い年ぐらいの
女の子が
はい、忘れ物
と言って
届けてくれた
彼女はたしか
母親と来ていた
一緒に屋台で
ランチを食べたよ
かわいいもんさ
エビフライなんかが入った
お子様プレート
みたいなやつ
たったそれだけの
記憶だ
それだけだが
なぜかずっと
鮮烈に
覚えている
ここは
白と黒だけの
世界だと
言っただろ
だからかな
あの遊園地の
イルミネーションや
色とりどりの風船や
あの子の花柄の服や
笑った顔が
雪と氷の景色に
浮かび上がるんだ
たったそれだけの
記憶さ
たったそれだけの
記憶があるから
俺はここに
いられるんだよ
*こちらに参加させていただきました🙇♂️
お題
せりふ:はい、忘れ物
三題:エビフライ、三輪車、つらら
