【詩のようなもの】 history boy meets girl 《せりふ三題噺》
墨田川沿いの
この公園は
昔から
あったのだけれど
私たちが
小学生のころは
よく
たい焼きの屋台が
来ていました
今は
駐輪場になっている
あの辺り
安かったから
子供たちに
人気でね
近所に
ちょっと乱暴で
いつも
ムスッとした顔をした
男の子がいたの
シャツの
第二ボタンまで開けて
はだけさせたりしていて
ある日
屋台のおじさんが
その子に
内緒だからな
と言って
たい焼きを一つ
渡しているのを
見ました
買いたくても
買えなかったのね
彼の家は
とても貧しくて
川に浮かべたボートが
一家の住居だった
今の時代では
考えられないでしょうけど
そういう子たちが
けっこういたのよ
その
何日か後
私はたい焼きを買って
彼に
半分こしよう
と言った
彼は
憮然とした表情で
何も言わずに
帰ってしまった
そのとき
気づいたの
シャツのボタンが
なかったことに
わざと
はだけさせて
悪ぶってたんじゃなく
ボタンを
留めたくても
留められない
だけだった
プロポーズされたとき
聞きましたよ
私でいいのって
そしたら
ボタンがないことに
気がついてくれたのは
君だけだったからと
言っていました
なんだかんだ
ありましたけど
ええ
ちゃんと
もらいましたよ
第二ボタン
結婚した
後から
ですけどね
*こちらに参加させていただきました🙇♂️
お題
せりふ:内緒だからな
三題:第二ボタン、たい焼き、駐輪場
