夕日を見ると、どうして涙がでるんだろう
今日の夕方、
近くの公園のベンチに座って、
沈んでいく夕日をぼんやり眺めていた。
子どもたちの笑い声。
犬を散歩する人。
買い物帰りの夫婦。
そんな何気ない日常を見ていたら、
なぜだろう。
幸せだったあの頃を思い出して、
ふと涙が溢れた。
別に、
あの頃に戻りたいわけじゃない。
やり直したいわけでも、
過去にしがみついているわけでもない。
もう終わったことだと、
頭ではちゃんと分かっている。
それでも夕日は、
心の奥にしまい込んだ感情を
静かに連れてくる。
夫婦関係が壊れていく時、
夫側は「怒る」のではなく、
「諦める」という感情に近いのかもしれない。
何を言っても否定される。
言い返すことに疲れる。
分かってもらおうとすることに疲れる。
期待することにも疲れていく。
妻からすれば、
ある日突然切り出された離婚。
でも、本当は違う。
そのずっと前から、
小さな諦めが静かに積み重なっている。
そして、ある日。
「もう、いいか。」
その一言が、
心のどこかに静かに降りてくる。
離婚したあの頃の僕も、
怒っていたわけじゃなかった。
ただ、
期待することをやめてしまっただけだった。
夕焼けに染まる公園を歩く親子を眺めていると、
家族で見たあの景色を思い出す。
夕日は優しく、
心の奥にしまっていた後悔や愛情を、
そっと照らし出す。
だから人は、
夕日を見ると少しだけ感傷的になるのかもしれない。
流れた涙は、
過去に戻りたい涙じゃない。
ちゃんと愛していた証拠で、
ちゃんと幸せだった証拠。
だから、
夕日がきれいな日くらいは、
心の蓋を少しだけ開けて、
あの頃の自分に会いに行ってもいいのかもしれない。
