産業ロックを定義する〜5. John Waiteの軌跡
今回はJohn Waiteに絞った話となります。いつか彼のことをまとめてみようと手持ちの音源でセットリストを作りながら考えていました。その後noteを始めることになり、記事にしようと思ったら収拾つかなくなって全5回の長文(駄文)となったわけですが。
どうもこの人売れる割にあまり話題にならないような気がします。たとえばソロとグループ両方で全米1位になった人、ロック系だとこれだけしかいません。
The Beatlesの全員(これは別格)
ChicagoとPeter Cetera
GenesisとPhil Collins
The PoliceとSting(Bryan AdamsとRod Stewartとの共演曲)
The Doobie BrothersとMichael McDonald(Patti Labelleとの共演曲)
Bad EnglishとJohn Waite
Bon JoviとJon Bon Jovi
Matchbox TwentyとRob Thomas(Santanaの客演)
ポップ・R&B系だと、
Jackson 5とMichael Jackson
The SupremesとDiana Ross
The CommodoresとLionel Riche
LabelleとPatti Labelle(上記M.McDonaldとの共演曲)
Wham!とGeorge Michael
’NSyncとJustin Timberlake
Destiny's ChildとBeyonce, Kelly Rowland(Nellyとの共演曲)
Bone Thugs-n-HarmonyとKrayzie Bone(Chamillionaireとの共演曲)
The Black Eyed PeasとFergie
Silk SonicとBruno Mars
MigosとQuavo(DJ Khaledの客演)
Rae SremmurdとSwae Lee(Post Maloneとの共演曲)
BTSとJimin, Jong Kook
あと何かあったかな。思い出したら追記します。ソロ名&グループ名、という表記のアーティストは今回は外しました(例:Prince & The Revolution、Gloria Estefan & Miami Sound Machine)。グループでの成功後にソロでも1位、というのがほとんどの中、先にソロで1位になりバンドでも1位というパターンはJohn WaiteとRob Thomas、それにBruno Marsだけですね。
そんなJohn Waite、キャリアの始まりはThe Babysとしてでした。
1stアルバムThe Babysからのシングルです(77年全米88位、恋のチャンス)。当時のこと全然知らないのですが、日本ではかなり人気があったようですね。結構骨太なロックなのにバンド名とメンバーのルックスでアイドル的に扱われるところなど、The Raspberriesに通じるものがありそうです。サウンド的にはBad Companyと比較されても良さそうですが、名前のイメージは真逆ですし。ちなみに英国のバンドなのですが、一貫して米国ばかりで売れています。
そんなThe Babys、2ndアルバムBroken HeartからのシングルIsn't It Time(77年全米13位、愛の出発)は、メンバーと外部ライターRay Kennedyによる共作で、コーラスに女性ヴォーカルを入れたりとぐっとポップなイメージとなり、彼らにとって初のヒットとなりました。3rdアルバムHead First(78年全米22位)からのシングルであるこの曲も同じスタッフにより制作されました。
Isn't…と順位まで同じ(78年13位、ときめきの彼方)。この頃のアルバムを制作したのは後にHeartやSurvivorで産業ロックのサウンドを確立するRon Nevison。すでにこの時点で産業ロックに片足突っ込んでいます。
産業ロックへの転換はまだまだ続きます。Isn't…やEvery Time…の作者でもあるMichael Corbyが脱退、Ricky PhillipsとJohnathan Caineが加入し、Keith Olsenがプロデュースした4thアルバムUnion Jack(80年42位)は、これまでのUKロック色が後退しアメリカン・ロックに接近しました。
今見るとすごいメンバーですね。しかし全米33位とここまでやった割には商業的にはぱっとせず、最後の作品となるOn The Edge(80年71位)発表後、ソングライターとしての頭角を現していたJohnathan Caineは一緒にツアーをしていたJourneyに引き抜かれ、バンドはあっけなく解散してしまいます。
Johnはソロに転向しますが、1stアルバムIgnition(82年66位)はいまいちのアクション。この曲なんかすごく好きなんですけどね。
当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったRick Springfieldに寄せたような曲ですが、ギターも彼のJessie's Girl(81年1位)と同じNeil Giraldoです。リリース当時はチャートインしませんでしたが、84年にVision Questサントラからのシングルとして全米54位まで上がっています。そして次作が一気に売れたNo Breaks(84年全米10位全英64位)、もちろんMissing You(全米1位全英9位)が収録されたアルバムです。
今でも多くの人がカバーする、後世に残る曲となりました。こうしてようやく頂点に上り詰めたJohnですが、次作Mask Of Smiles(全米36位)はその勢いを継ぐことができず、その後もアルバムセールスは下降していきます。そして以前書いたようにBad Englishの結成となるわけですが、1stアルバムBad English(89年全米21位)はJourneyとThe Babysの合体と騒がれた割には外した感があります。しかも2ndシングルのWhen I See You Smileは全米1位となりましたが、優秀なソングライターがバンド内に3人もいるにも関わらずDiane Warrenのバラードが大ヒットするなど、ここにきて産業ロックに片足どころか全身浸かった状況になっていきます。このパターン、前年リリースされたChicagoのLook Awayと全く同じですね。
Bad Englishはその後、ヴォーカル主体のサウンドを目指すJohnにNeil Schonが反発、レコーディング中に手下のDeen Castronovoともども脱退し、アルバムBacklash(91年71位)はプロモーションもツアーもできないまま放置され、バンドはそのまま解散します。
この曲なんかきちんと売ればヒットしたと思うのですが(92年全米42位)。こうしてJohnは再びソロ活動を始め、近年はフォークやカントリーに接近した音楽でマイペースに活動しています。
というわけでバンドの産業化あり、スーパー・グループありで産業ロックの波に振り回されたJohn Waiteについてでした。先日Bad English時代の同僚がJourneyのファイナル・ツアーをアナウンスしたところですが、Johnはもうこの手のロックの世界に戻る気はなさそうです。
産業ロックを定義する、結局5回も続けてしまいましたがこれで終わりにします。漏れたアーティストは今後個別にとりあげるかもしれません。最後まで付き合っていただいた皆さま、本当にありがとうございます。
