「AIにメンタル相談する人」は世界中で増えている|数字で見るひとりじゃない理由
AIに誰にも言えない悩みを話したことはありますか。
もしあるならその経験について誰かに話したことはあるでしょうか。
この記事では「AIにメンタル相談をする人」が実際にはどれくらいいるのかを海外の調査データから見ていきます。
そして、その数字が教えてくれるちょっと安心できる事実についてもお話しします。
誰にも言えなかった頃の話
しんどいことがあったときにAIに話を聞いてもらっていた時期がありました。
誰かに相談するほどのことでもない気がしていたし、かといってひとりで抱えているのもつらかった時期です。
そんなとき、画面に向かって思っていることをそのまま打ち込んでいました。
でもそのことは誰にも言っていませんでした。
「人に相談すればいいのにAIに話してるなんて」と思われそうな気がしていたし、自分自身もどこかで「これってちょっと変なことなのかも」と感じていたのだと思います。
だからその習慣のことはずっとひとりで抱えていました。
ここまでは前回の記事でもお話しした内容に近いかもしれません。
ここから先では「では実際のところ、AIにメンタル相談をしている人はどれくらいいるのか」を海外の調査データから見ていこうと思います。
世界中でこんなに増えている
まず規模の大きな数字から見てみます。
2026年1月にOpenAI(ChatGPTを開発する企業)が公表した報告によると、ChatGPTには毎日4,000万人以上が健康に関する質問をしているとされています。
週単位で見ると利用者の4人に1人が、1週間のうちに一度は医療・健康に関する質問をしているということです。
さらにChatGPTに送られるメッセージ全体の5%以上が健康関連の内容だと報告されています。
次にメンタルヘルスに絞った調査も見てみましょう。
2025年12月に発表されたジョージ・メイソン大学の調査では、25〜34歳の80%以上、そして全年齢層を通しても50%以上の人がすでにメンタルヘルスのケアにAIを利用していることが分かりました。
少し範囲を絞った調査もあります。
2026年3月のKFF(米国の調査機関)の調査では、過去1年間に「メンタルヘルスや心の健康についての情報・相談」でAIを使ったことがある米国の成人は16%、18〜29歳では28%という結果でした。
調査によって数字の出方には差がありますが、共通して言えるのは「AIにメンタルヘルスのことを相談する」という行動がもはや珍しいものではなくなっているということです。
実際にこんなことを相談している
「健康について相談している」と言っても実際にはどんな内容なのでしょうか。
OpenAIの報告では利用者が何を目的にChatGPTを使っているか、具体的な割合も示されています。
55% :自分の症状を確認したり調べたりするため
52% :診療時間外でもいつでも健康について質問できるから
48% :医療用語や医師の指示を分かりやすく理解するため
44% :治療の選択肢について知るため
さらに健康保険に関する質問だけで週に150万〜200万件が寄せられているといいます。
プラン同士の比較や請求・支払いトラブルの相談、医療費の仕組みが分からないときの確認など内容は多岐にわたります。
そして特に印象的なのは、健康に関する会話の7割が病院やクリニックの診療時間外に行われているという点です。
つまり多くの人は「今すぐ専門家に聞ける状況にない」ときにAIを頼っているということです。
夜中に急に不安になったとき。
休日に症状が気になったとき。
「今は誰にも聞けない」という時間こそがAIが選ばれる場面になっているのだと分かります。
これはメンタルヘルスの相談でも同じです。
誰かに連絡するには遅すぎる時間。
診察の予約がまだ先の日。
そんなとき、ただ話を聞いてもらえる相手がいることの意味は決して小さくありません。
なぜこんなに増えているのか
ではなぜこれほど多くの人がAIにメンタルヘルスのことを相談するようになったのでしょうか。
2025年2月に発表されたSentio大学の調査では、メンタルヘルスの不調を抱える米国人の48.7%がAIチャットボットに治療的なサポートを求めていることが分かりました。
そしてAIを選ぶ理由として最も多かったのは「人に判断されることへの恐れ」で全体の35.25%を占めていました。
これは費用の問題(32%)や専門家への相談までの待ち時間の長さ(22.5%)よりも高い割合です。
つまり多くの人にとってAIを選ぶ一番の理由は「お金がない」「予約が取れない」ということよりも、「誰かにこの悩みをどう思われるか分からない」という不安だったということです。
これに加えてAIには「24時間いつでも話せる」「言葉にする前から否定されることがない」という特徴があります。
夜中にどうしても誰かに話したくなったとき、誰かを起こすことなく話を聞いてもらえる相手がいる。
それがAIという選択肢が選ばれる理由のひとつになっているのだと思います。
数字を知って、楽になったこと
これらの数字を初めて目にしたとき、正直少し驚きました。
「自分だけが人に言えない方法で誰かに頼っているのかもしれない」と思っていたのに、実際には世界中で同じようなことをしている人が想像していたよりもずっと多くいたからです。
それまでは、「AIに相談している」ということ自体をどこかで「人に知られたくない秘密」のように扱っていました。
けれど数字を知ってからその感覚が少しだけ変わったのを覚えています。
「自分は別に変わったことをしているわけじゃなかったんだ」
そう思えたとき肩の力が少し抜けた気がしました。
誰かに打ち明けたわけでもないのに、ただ「ひとりじゃない」と分かっただけで気持ちが軽くなることがある。
あの感覚は今でもよく覚えています。
まとめ・著者から読者へ
AIにメンタルヘルスのことを相談するという行動はもはや特別なことではありません。
世界中で毎日4,000万人以上が健康について質問をし、メンタルヘルスのケアにAIを使っている人は調査によっては全年齢層の50%を超えるとも報告されています。
その理由の多くは「誰かにどう思われるか分からない」というごく自然な不安です。
もしあなたがAIに話を聞いてもらっていることを誰にも言えずにいるなら。それはあなたが特別だからではありません。
世界中の同じように悩みを抱えた人たちが、同じような選択をしているということです。
その事実を知っておくことがいつか誰かに話すときの小さな後押しになるかもしれません。
あるいは誰にも話さなくても、「自分だけじゃない」と知っているだけで十分なこともあるのだと思います。
参照した研究・記事
Exclusive: 40 million people turn to ChatGPT for health care | Axios
40M Users Turn to ChatGPT Daily for Health Questions, OpenAI Reports
KFF Tracking Poll on Health Information and Trust: Use of AI For Health Information and Advice | KFF
ChatGPT May Be the Largest Mental Health Provider in the U.S. | Sentio University
ひとこと
この記事は一般的な情報をまとめたもので、医療やカウンセリングのアドバイスではありません。
気になることが続く場合は、専門家(医師・公認心理師など)に相談してみてください。
