スッポンの話
去年、テレビで世にも珍しいスッポンの映像を見た。
かなり大型のスッポンの飼い主さんが撮影したスッポンの動画だ。
動画の中のスッポンは、日光浴を終えた後、自ら前肢(水かき)でガラガラとガラス戸を開けて家の中に入り、慣れた足取りで室内の水槽に入った。
驚いた。スッポンがこんなに賢いとは知らなかった。
スッポンがガラス戸を開ける後ろ姿は何度見ても見飽きない。
視聴者のそんな思いに応えるように、スッポンがガラス戸を開ける様子が何度も繰り返し放映された。
テレビを見終わってからも、私はスッポンがガラス戸を開ける映像を脳内で何度も再生してスッポンに惹かれていった。
ガラス戸を開けるスッポンの背中から発せられるオーラ、威厳のようなものの虜になってしまった。
でも、ふと思った。
このスッポンを真横から撮影した動画、即ちスッポンの横顔の表情がはっきりわかるような角度で撮影した動画を見ても、同じようにスッポンにひきつけられただろうか。
いや、私はスッポンの後ろ姿に惹かれたのだ。
思えば私は昔から、表情が見えない動物の動く姿が好きだった。
このスッポンの後ろ姿とかコウモリの飛ぶ姿とか、表情の見えない動物の動きには影絵芝居のような独特の趣きがある。
ところでその「表情の見えない動物が動く様子を見て楽しむこと」を一言で表すには何と言えば良いのだろう。
「ホエールウォッチング」のようなそのものズバリの言い方があれば良いのだが。
