わたしはなにも知らない
わたしはなにも知らない
わたしは小さな頃
3、4歳の頃
肌がとても白かったそうだ
しかし
年齢を重ねて
顔かたち、表情がかわり、人相も変化する
小学生の頃は多分人生で一番苦しい時期だった
若いと神経が研ぎ澄まされるのか
なんにでも関心がいくし、気がつかなければいいことも気がつく
小学生のわたしは、ある日
何も感じたくと思い、自分に言い聞かせたことがあった
わたしはなにも知らない
そうして、なにもかも見ないふり、聞かないふり、知らないふりをした
頭の中でわたしに問いかけることば、会話は徐々に減っていったけど
無感覚になる自分に怖さも覚えた
下を見て歩く事が多くなった
つまずかないように
危険なものが落ちていないか確かめるように
猫背になり、声も小さくなり、あまり笑わなくなる
家族の中で一人だけ声が小さい
母にそう言われて驚く
大きな声で話したら、近所中に話してことがわかるから話さない方がいいと
父と話していたのに
誰にでも敬語で話す癖
そう言えば40歳位まで、抜けなかった。
わたしいつから敬語で話すようになったんだか・・・
攻撃性のある人間の的にならないように
人間と平等に接して生きるために必要なやり方
自分の素直さやありのままを封印する
顔色は悪くなる
なんでこんな土けた顔色なのか不思議で、自分が嫌だった
からだに良いと言われるものを試す
自分を変える努力をする
なんだろう
ひとつひとつは小さなことの積み重ね
自分自身が傷つかぬように、決まりごとをつくり
知っているばかりに重くのしかかることも
知らなければ、安全であると同時に無知とそしられることもある
でも
わたしはわたしを守ってきた
ここまで生き延びさせた
この年になって思うのは
知っていることもある
知らないこともある
でも
敢えて
そのことを誰かに伝えたいとは思わない
わたしの真実はわたしだけが知っていればいい
誰かの真実を暴こうとしなくていい
ありのままでいたいことと
自分をさらけ出して理解を求めるのは別のことだ
わたしは
なにも知らなくていい
知らないと泣いてその場を逃げ出したのはわたしだ
いまは、泣かない 泣けない
知らないことも、また人生では良いことだと知っているから
声と香りのあいだで、
静かな朝を綴っています。
啓恵
