見出し画像

【お盆休み限定】#5「誰にこの会社を託すのか?」幸せな事業承継と、老々承継を防ぐ「先代の覚悟」

こんにちは、継活大学です。

お盆期間を利用して、ご自身の事業承継について一歩ずつ考えていくこのシリーズ。 連日、自分自身の棚卸し、書類の整理、見えない資産の書き出し、そして「30日間不在テスト(イメージ)」といったハードな課題に取り組んできました。 「大変だな」と感じている経営者の方もいらっしゃるかもしれませんが事業承継は、経営者の最後の大仕事ですので、今までの仕事の総仕上げ(ビッグプロジェクト)になりますので1つ1つ確実のクリアをしていきましょう。

本日は、事業承継の中でも親族(身内)の話もしつつ進めていきます。

第5講のテーマは、「誰に、この会社を託すのか?」です。


1. なぜ「親子の代替わり」はこれほどまでに難しいのか?

多くの経営者が「いつかは子どもに譲らなければ」と真っ先に頭に思い浮かべてしまいます。それなのに、なぜいざとなると権限を渡せないのでしょうか。

それは、長年会社を引っ張ってきたあなたにとって、
会社は単なる仕事をする場所ではなく
会社に捧げる全てが、「自分の体の一部であり、人生そのもの」だから
です。

頭では理解していても、心が追いつかない。
その結果、以下のような「不幸な事業承継」の入り口に立ってしまうケースが後を絶ちません。

  • 社長の座は譲ったのに、株や実質的な決定権を渡さない

  • 口を出し続けて、後継者のやる気を削いでしまう

  • 80代・90代まで実権を握り続け、子どもが60代になってから承継する(「老々承継」の罠)

上記を「変革を起こせない不幸な事業承継の典型」になります。
事業承継は、後継者が新しい挑戦にエネルギーを注げる
「30代〜40代のうち」に行わなければ、時代の変化に取り残されてしまうのです。(少し思考が固まってしまう可能性もあります。)私は20代後半から実質的に父からバトンを渡してもらって、数年間父には会長として経営のイロハを教えてもらいました。銀行に相手にされなかったり、プロパーで借入ができなかったりといった状況を会長(父)に報告すると。
「軽く見られたもんだな・・・」と一言笑いながら言っていました。
今なら銀行の回答も父の言葉の意味も分かりますが、当時は全く意味がわかりませんでした。つくづく伴走してもらって実践で指導をしてもらったのが本当に有り難いことだと思っています。


2. 「幸せな事業承継(第二創業)」の方程式

では、承継をきっかけに会社をさらに成長させる「幸せな事業承継」とはどのようなものでしょうか。

カギは後継者側の「知の探索」にあります。
実は、確実に承継をしている後継者の多くは
「最初は家業を継ぐ気がなかった」
という共通点もあります。
一度全く別の業界へ出て、外の広い世界で新しい知識や経験を積んだ後に
何かがきっかけで、家業へ戻り、承継のバトンを受け継ぎ、現在の事業を守りつつ、新事業を立ち上げる「第二創業型」で更なる発展と時代の変化に合わせたサービスを行っている会社も多くあります。

よく継活大学で後継者を親族として考えている社長から質問をもらいます。
「学校を卒業したら、すぐに家業に入れた方がいいだろうか・・・?」と
私は、以下のように回答をします。

同業他社や取引先への修業は、実はおすすめしません。 同じ業界に行ってしまうと、家業と同じ狭い世界(業界の常識)しか見えなくなります。経営学ではこれを「知の深化」と呼び、新しいイノベーションは生まれにくくなります。

家業とは全く関係のない「遠い世界」を見てください(知の探索)。 無関係の異業界で得た「新しい知見」と、家業が創業以来培ってきた「技術や文化」を組み合わせることで、初めて化学反応(イノベーション)が生まれます。 外の風を入れ込むことこそが、これからの時代を生き残る王道となります。

※もちろん、先代のご病気等により「すぐに」継承をしないといけない場合は別の話になりますが。


3. 試される「先代の胆力」と、権力移譲の4パターン

さて、同族の話になりますたので、もう少し深掘りをします。

同族企業における権力移譲には、大きく分けて4つのパターンがあります。

  1. 【理想型】 親が自覚を持って、早めに経営権と株を子に譲渡する

  2. 【突発型】 親が倒れてしまい、結果として早めに引き継がれる

  3. 【忍耐型】 子が親の下で地道に結果を出し、辛抱強くチャンスを待つ

  4. 【対立型】 親子で衝突し、子が親を追い出して経営権を握る(非推奨)

理想的な引き継ぎを成し遂げた代表例が、「ジャパネットたかた」の事業承継です。 カリスマ創業者である高田明氏は、2015年に息子の旭人氏へ社長の座を譲った後、「経営には一切口出ししない」という姿勢を完全に貫きました。その結果、後継者は時代に合わせた大改革を断行し、さらなる増収を続けています。

事業承継が成功するか否かは、後継者の能力もそうですが、
「先代が信じて任せ切り、口を出さないという胆力と覚悟」を持っているかどうかにかかっているのです。


4. 本日のワーク:後継者候補を「決めずに」書き出す

今日、誰にするかを最終決定する必要はありません。
まずは、思い込みを外してフラットに選択肢を並べてみましょう。

第1講から使っているノートの新しいページを用意し、
中央に「この会社を託せる可能性のある人」と書きます。

そして、以下の3つの窓口から、候補となる人を書き出してみます。

  • 親族(息子、娘、兄弟、親族など)

  • 社内(役員、右腕となる幹部、優秀な若手社員など)

  • 社外(取引先、同業者、第三者企業へのM&Aなど)

書き出したら、それぞれについて以下の問いを投げかけてみてください。

  1. 本人に経営を引き受ける「意思」があるか?

  2. 「仕事ができる人」と「会社を背負える(経営ができる)人」と「継いでほしい人(親族びいき)」を混同していないか?

  3. 5年後、10年後の環境で、この会社を次の時代へ連れていける人か?

「息子が継ぐのが当たり前だと思い込んでいたが、本人の意思を一度も聞いていなかった」

「専務を考えていたが、経営者としての覚悟を育てる時間を取っていなかった」

「従業員承継になると株価の対価の支払いができるのだろうか・・・」

「そもそも経営者という器だろうか」といった「気づき」を得ることこそが、沢山でてきます。そこが、今日の最大の成果物となります。

※書いたら、書いたままで今日はページを閉じてください。
また、ふと思いついた人がいたら追記をしていきましょう。


最後に:事業承継で本当に大切なこと

「後継者がいない」と悩む企業の多くは、
単に人がいないのではなく、「誰かが継げる状態(仕組みや情報の見える化、権限譲渡)」を先代が作ってこなかったことに原因があります。

事業承継とは、単に「誰に渡すか」のバトンタッチではありません。
「何を、どんな状態で、どんな未来とともに次の世代に渡すのか」。

バトンを渡すあなた自身のこれからの人生、
そしてバトンを受け取る後継者の人生、そして何より会社を信じてついてきてくれた社員たちの人生がかかっています。

「不幸せな事業承継」をこの世から無くすために。
今日一度、ご自身の「託す覚悟」と向き合ってみませんか?



【音声で復習される方】↓


【動画で復習される方】↓


いいなと思ったら応援しよう!

物語から学ぶ ビジネス教室 | 西川正悟 再起をかけて挑戦中です。いただいたチップは、次の執筆や講演活動の励みになります。応援いただけたら本当に嬉しいです。