第2話 経営者が初対面で見ていること
初対面の食事の席。
向かいに座っている経営者は、あなたの何を見ていたと思いますか。
多くの女性は、こう考えます。
会話は弾んだかな。
印象は悪くなかったかな。
次に繋がりそうかな。
もちろん、それも見ています。
でも、前回の最後に書いたとおりです。
あなたが気にしている「見た目」や「会話のうまさ」は、経営者が本当に見ている三つには入っていません。
本当に確かめているのは、もう少しだけ奥のほうです。
前回、こう書きました。
経営者は、恋愛をしているときでさえ、恋愛だけをしているわけではない。
冷たい意味ではありません。
経営者は毎日、人を見て、人を選んで、人に任せて生きています。
社員。
取引先。
一緒に組む相手。
誰を信じて、誰と歩くのか。
その判断を、来る日も来る日も続けています。
だから恋愛の場でも、その「目」が自然に働いてしまう。
意識して見ているわけではありません。
もう、そういう見方が体に染みついているのです。
前回、その数分で見ている場所を三つに分けて話す、と約束しました。
今日は、その三つです。
① 時間を、どう扱う人か
経営者にとって、時間はいちばん高い資産です。
お金は減っても取り戻せます。
でも時間は、戻ってきません。
だから経営者は、相手が遅れたかどうかよりも、
時間をどう扱う人か
を見ています。
たとえば、待ち合わせの少し前に届く短い一本の連絡。
「少し早く着きそうです」のひとこと。
小さなことです。
でも経営者には、それが誠実さの予告編のように見えます。
逆のこともよく起きます。
悪気なく十分遅れて、そのことにひとことも触れない。
責めているのではありません。
ただ、目には入ってしまうのです。
なぜなら経営者は知っているからです。
信頼は、一度の好印象では作られない。
小さな約束を何度守るか。そこで決まるのだ、と。
初対面は、その最初の一回です。
完璧に早く来てほしい、という話ではありません。
時間を、相手のものとしても扱えるか。見ているのは、そこだけです。
―― 経営者目線
② 自分より立場の弱い人に、どう接するか
経営者が、けっこうな確率で見ているところがあります。
お店の人への接し方です。
注文するとき。
何かをお願いするとき。
お皿を下げてもらうとき。
自分にだけ感じのいい人より、誰にでも同じ温度で接する人を、経営者は信頼します。
タクシーを降りるときの「ありがとう」。
すれ違う店員さんへの、軽い会釈。
本人が、見られていると思っていない瞬間。
人柄は、たぶんそこにいちばん出ます。
理由は、はっきりしています。
立場が上の相手にだけ態度を変える人は、いずれ自分にもそうする。
経営者は、それを何度も見てきました。
社員にも、取引先にも、ときには過去の自分にも。
だからこれは、試しているのではありません。
ただ、自然と目に入ってしまう。それくらい、大事に思っているということです。
③ 一緒にいて、整うか・消耗するか
そして、いちばん言葉にしにくいのが、これです。
華やかさでも、会話のうまさでもなく、
この人といると自分はどうなるか
という感覚。
話していて、気持ちが落ち着くか。
それとも、気を張って少し疲れるか。
たとえば、話題がずっと自分の側にある人。
何かあると、いつも会社や誰かや環境のせいにする人。
悪い人ではありません。
でも、隣にいると少しだけ気が重くなる。
逆に、沈黙があっても平気な人がいます。
特別なことを話していないのに、なぜかほどける。
経営者は、決断の連続のなかで、自分が思っている以上に消耗しています。
だから無意識に確かめてしまうのです。
この人といる時間は、自分にとって回復になるだろうか、と。
じつは、ここに、経営者が最後に選ぶ人のいちばん大事な秘密があります。
なぜ、華やかさより「整う」が効くのか。
なぜ、ときに美しさを超えてしまうのか。
ただ、その答えは今日はまだ言いません。
このシリーズの、いちばん深いところだからです。
いつか、ちゃんとお話しします。
三つに共通していることがあります。
どれもスペックではない、ということです。
美しさでも、若さでも、肩書きでもない。
この人と、長く一緒にいられるか。
その手触りを、経営者は初対面でそっと確かめています。
そして、ここに気づくと、ふっと力が抜けると思います。
盛らなくていい。
完璧でなくていい。
見られているのは、欠点のなさではなく、自然体ににじむ人となりだからです。
もし今まで「ちゃんとしなきゃ」と頑張ってきたなら、その努力は決して無駄ではありません。
ただ、ほんの少し、見る方向を変えるだけ。
気づけば、見える景色は変わります。
ところで。
初対面では好印象だったのに、そのあと急に連絡が遅くなる。
そんな経験はありませんか。
多くの女性が、「嫌われたのかな」と不安になる場面です。
でも、経営者の「連絡が遅い」には、恋愛感情とはまったく別の理由が隠れていることが多いのです。
しかもそれは、あなたが思っているのと、ほとんど逆の理由かもしれません。
その話、「なぜ社長は連絡が遅いのか」は、次回お話しします。
今日は、このあたりで。
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第3話が、届きます。
