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「はじめて命の音を聞いた日」ー 不妊治療17話|着床判定から心拍確認 ー

2度目の判定日。
今回も、特に体の変化は感じていなかった。

期待しすぎないように、
自分の気持ちをそっと押さえ込みながら、
この日を迎えた。

診察室に入ると、前回と同じように先生から聞かれた。
「ご自分で妊娠検査薬で確認されてますか?」

わたしは前回と同じように、
「していません。」
と答えた。

先生は血液検査の結果を見せながら、
「hCGの値はこちらです。しっかり着床していますよ。」
と説明してくれた。

その言葉を聞いた瞬間、ほっとしたのと同時に、
うれしさが込み上げてきた。

でも、すぐに平静を装った。

この病院には、
みんな子どもを授かることを願って通っている。
これから治療を始める人。
治療の途中にいる人。
判定の日を迎える人。
同じ願いを抱えていても、
それぞれ置かれている状況は違う。
だからなのか、
誰も大きく喜んだり悲しんだりはしない。
まるでそれが暗黙のルールであるかのように、
静かな空気が流れていた。

診察室を出てからも平静さを崩さないよう努めたが、
急に胸がどきどきし始める。

震える手で夫に、
「着床してたよ!」
とLINEを送った。

するとすぐに、
「妊娠したってこと!?」
と返信が返ってきた。

まだ状況がよく理解できていない様子だった。


約1週間後。
次は胎嚢確認の日だった。

診察室で内診を受けると、
先生が画面を見ながら話した。
「胎嚢が確認できましたよ。この小さな袋です。」
そして少し間を置いて、
「2つ移植しましたが……今回は1つのようですね。」
と続けた。

あのとき移植した2つの胚のうち、
どちらか1つが子宮にしがみついてくれた。

採卵してできた3つの受精卵。
そのうちの1つが、今ここで育ってくれている。

そう思うと、不思議で、
愛おしい気持ちでいっぱいになった。


さらに約1週間後。
いよいよ心拍確認の日。

この日も採血を行い、
hCGの値が順調に上昇していることを確認してから
内診室へ向かった。

先生が画面を見つめながら言った。
「順調ですね。」

その直後、
「ドッドッドッドッ」
と、小さくて力強い鼓動が聞こえてきた。

「お腹の中に赤ちゃんがいる。」

「生きてる。」

やっと、
「妊娠したんだ。」
そう実感できた瞬間だった。

それでも、次の受診日までの間は、
お腹の子が元気に育っているだろうかと
心配でたまらなかった。

結局、その心配は、
生まれて姿を見るその日まで続いた。

診察のあと、看護師さんから今後のスケジュールについて説明を受けた。
次回、もう一度心拍が確認できれば、
この不妊治療専門病院は卒業になるという。
それまでに、妊婦健診を受ける産院を決めておくよう案内された。

そして、もし授かることができたら出生前診断についても考えようと、夫とは以前から話し合っていた。

このクリニックでは遺伝カウンセリングも受けられるので、次回の診察に合わせて予約をお願いした。


心拍確認ってどんな意味があるの?

妊娠判定で「陽性」となっても、
それですべてが確定するわけではありません。

一般的には、妊娠5週ごろに胎嚢(赤ちゃんが育つ袋)が確認され、6〜7週ごろに心拍が確認されることが多いとされています。

心拍が確認できると、赤ちゃんがお腹の中で成長を続けていることが分かるため、多くの方にとってひとつの大きな節目になります。

また、この頃から不妊治療専門病院を卒業し、産婦人科で妊婦健診を受ける準備を始めるケースも少なくありません。

とはいえ、心拍確認後も不安がなくなるわけではありません。

「ちゃんと育っているかな」と心配になる気持ちは、
とても自然なものだと思います。

心配しながら過ごす毎日も、
お腹の赤ちゃんを大切に思う気持ちのひとつ。
そんな時間も、
お腹の赤ちゃんとの大切な時間なのかもしれません。

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