ビニール傘
日常生活を送っていると、ふと「これ、適正価格バグってないか?」と怪訝に思うことがあります。僕の中でその三巨頭は、「イクラと宅配ピザとビニール傘」なんですが、皆さんの中には何かありますか?
イクラは親の鮭が安価なのになんで子がそんな高いのというバグ、ピザは本場のイタリアでは軽食扱いで、つまり、「イタリアではピザがおにぎり、日本ではお寿司」ポジションバグ、最後のビニール傘に至っては、問答無用に言い逃れができないほど不可解に高い。特に僕はビニール傘の価格に関して大いなる義憤に駆られています。
三者の中で大きな相違点、それは前者の二つ(「イクラと宅配ピザ」)に関しては、「そんな言うならお前が食べなければいい」で一蹴される事柄であること。つまり、自分の自由裁量で彼らと適切な距離を取ることができますが、後者、「ビニール傘」は、ゲリラ豪雨などといった予期せぬ自然現象によって、出先でびしょ濡れになるか、大いなるコストを割いてそれを購入するかの二択を強いられ、結果、不可避的に買わざるを得ない状況へと追いやられる点です。
更に、価格の割にデザイン性に乏しく、文字通り無色透明、画一的で横一線、一抹のオリジナリティもない。嗚呼、なるほどデザイン性を度外視して実用性を重視したのかと思えば決してそんなこともなく、強風によって割とすぐに壊れるし、その画一的デザインのせいでよく取り違われるし、よく盗まれるし、そもそもその存在感の薄さから電車や至るところでよく忘れられてしまう。
$${\large{価格の割に}}$$
$${\large{取り柄が無さすぎる}}$$
僕は最近出先で雨に降られて、例によって例のごとく、ビニール傘を買わなくてはならない状況に追いやられ、コンビニに入りその価格を見たら800円とあってドン引きし、絶対に買ってなるものかと腹を決め、ゲリラ的にすぐやむかもしれぬとコンビニ入口とビニール傘販売区画を複数回右往左往、一向にやむ気配のない雨、その合間に、はたとコンビニのバックヤードの扉の向こう側が見える瞬間があり、そこには大きな水色のプラスチック製ゴミ箱が一つ。
そしてその中には、みなに忘れられた無数のビニール傘が綺麗に収容されており、どう考えても需要と供給が見合っていない。一方(ゴミ箱)、大量生産・大量消費・大量廃棄の飽和的資本主義国、他方(僕)、供給が独占され、欲しくとも手に入らず、人々がわずかな配給を奪い合う開発途上国。先進国的ビニール傘と開発途上国的ビニール傘が同じコンビニ内で同居しているその社会の縮図を一旦俯瞰し、まあこんな能書きはどうでもいいのでなる早であそこの
$${\large{一本タダでください。}}$$
と吐露したい気持ちを抑えて、雨降りしきる中、僕はむざむざとビニール傘を買った。お会計の際に、店員さんが包装ビニールを剥がすかどうかの確認の為に「すぐ使いますか?」と問うてきたので、
$${\large{当たり前だろ!!}}$$
と吐露したい気持ちを抑えて、外に出たが、無情にも雨はまもなくやみ僕は病み、降れよ!!もっと降れよ!!と傘を差し雨乞いの舞を踊りながら家路に着いたその玄関先には無機質なビニール傘が5本ほど並べられていた。
