もう銀行員は不要?デジタル時代の銀行員の未来
2017年にメガバンクが約3万人規模の人員削減策を発表しました。
40代以上を対象にした希望退職者の募集です。
また店舗削減の計画なども各行が相次いで打ち出しています。
退職者を募集したり、店舗を削減する理由は2つあります。
1つはコスト(固定費)を下げ、収益を確保するためです。
もう1つは銀行内の仕事が本当になくなっているからです。
銀行員の仕事は本当になくなるのでしょうか?
銀行員の仕事とは
まず銀行員の仕事とはなんでしょうか。
一言で表現すれば「金融に携わる」です。
金融とは文字通り「金を融通すること」です。
金を融通するとは、「お金が余ったところから、不足しているところにお金を回すこと」です。
そして銀行は金融業の一つの業態です。
金を融通する業種や企業は、証券会社や保険会社をはじめ、クレジットなどの信販会社や消費者金融などもすべて金融業になります。
その金融業の中で銀行が担っている役割があります。次の3つです。
1.お金を預かる
2.お金を貸す
3.お金を代行して支払う・受け取る
銀行員の仕事はなくなるのか?
金融庁は、銀行に対してビジネスモデルの転換を要求していましたが、規制に縛られているため改革は進みませんでした。
数年前、菅元総理が「地銀は数が多すぎる」と発言したことで、多くの地銀はビジネスモデルの転換を本気で考え始めました。
「ビジネスモデルを転換する」とは、「伝統的な銀行業務を見直す」ということです。
伝統的な銀行業務とは以下の3つです。
お金を預かる
お金を貸す
お金を代行して支払う・受け取る
これらの業務を1から見直すということです。
伝統的な銀行の店舗はなくなってきた
これまで銀行の店舗では、窓口・テラー業務を担当する人から個人や法人への営業人員、後方事務を支える方々まで、多くの行員を抱えてきました。
しかしデジタル化が進み、ネットバンキングや電子マネーを利用すれば店舗に行く必要はほとんどなくなりました。
そのため、多くの銀行は伝統的な銀行の店舗、いわゆる「フルバンキング店舗」を「機能特化型店舗」に切り替えています。
「機能特化型店舗」とは、顧客層や地域特性に合わせ、資産運用や法人向け融資専用など、様々な機能に特化して営業を行う銀行の店舗です。
銀行の機能特化型店舗で仕事は変わるのか
銀行が機能特化型店舗に切り替えるメリットは、2つあります。
銀行事務の効率化
機能特化型店舗にはこれまで各店舗が持っていた後方事務は基本的に不要です。
簡単な入出金や振込はATMやネットバンキングを利用してもらい、住所変更や諸届などの各種手続きも受付だけです。
これまで事務処理などを担っていた行員を事務センターに集約すれば、事務の効率化が図れます。
マーケティング強化
例えば、富裕層の多いエリアに位置する店舗や、高齢者世帯の多い住宅街にある店舗で、法人向け融資や個人向けローンを推進しても実績は上がりません。
これまで銀行はあまりマーケティングという観点から営業店を配置していません。
店舗はすべての機能を兼ね揃えるのが当たり前と考えており、マーケティングの視点が欠けていました。
本来、銀行の営業店も小売店や飲食店と同様、立地や市場調査して展開するべきです。
しかし銀行は「全ての個人と法人が顧客である」と考えていました。
その名残もあり、立地やマーケットとは関係なくノルマが貼られてしまうという矛盾が銀行ではよくあります。
機能特化型店舗は銀行の貧弱なマーケテイングを見直すことが出来ます。
銀行の受付はスマホやタブレットが担う
銀行の窓口業務は、かつては花形の職業でした。
しかし、今やその仕事はスマホやタブレットに取って代わられました。
銀行に対する顧客の不満で一番多いのは「店頭での待ち時間」といわれています。
待ち時間解消のため、店頭にタブレットを設置し、待ち時間の短縮化などにも始めました。
また、申込書類をペーパーレス化し、面倒な手続きを簡素化しています。
特に時間がかかる相続などの手続きは、タブレット端末を利用して銀行の専門部署と繋ぎ、相談できる体制を整備し始めました。
最近は個人のスマホからも気軽に利用できるようになり、デジタルは急速に浸透しました。
銀行にとっても事務が効率化し、ペーパーレスによるコスト削減も図れます。
窓口受付から銀行の手続きがスタートするという、従来の営業スタイルは過去のものになりつつあります。
銀行の中小企業向け融資も変化
また、これまでの中小企業などへの融資の取り組みも変わり始めています。
例えば、三菱UFJ銀行の「Biz LENDING」はオンラインで始める中小企業向けの事業性融資です。
三菱UFJ銀行をメインバンクとしている中小企業者が口座の明細などのデータをもとにAIによって審査されます。
だれもが利用できるわけではありませんが、顧客にとっては申込みから融資の実行までがオンラインで完結するので、スピード感もあり利便性も高いかもしれません。
余剰人員はどうなるのか
しかし、機能特化型店舗やオンライン取引が拡大すれば、銀行店舗で働いてる既存の行員はどうなるのでしょうか。
事務効率化やデジタル化によって、仕事がなくなる行員は一定数います。
ただ解雇は簡単に出来ません。
そこで、店舗改革によって発生した余剰人員を新事業に充当しはじめています。
例えばコンサル会社などの設立です。銀行はコンサルティング機能が不足していると指摘されており、強化する動きがあります。
また、銀行は近年、新たな会社を次々と設立しています。その業務はこれまでの銀行業務とは全く違います。
行員にしてみれば、いきなり銀行業務と全く違う分野の仕事を任されることもあり、戸惑うこともあるでしょう。
安定業種の銀行に就職したという人も多いでしょうから、全く銀行業務と違うことをさせられると、将来を不安に思う人もいるはずです。
しかし、考え方を変えれば銀行以外の仕事に挑戦する機会が増えているともいえます。

銀行業務は代替される可能性が高い
ただ、いくらオンライン化を推進しても銀行の窓口を利用する客は一定数います。
すべての店舗を機能特化型に変え、デジタル端末での取引を推し進めれば、日本国内で最も現預金資産を保有している高齢者層を取り逃がす可能性もあります。
お金を預かる(預金)
お金を貸す(融資)
お金を代行して支払う・受け取る(為替)
これらの銀行業務は店舗から無くすことはできませんが、銀行だけの機能ではなくなるでしょう。
「預金・融資・為替」の業務は、銀行以外に代替されていくでしょう。
いまや送金や振込、公共料金や税金の引き落としは銀行だけの業務ではありません。
コンビニに行けばバーコードで簡単に支払が済ませられます。またスマホを使えばキャッシュレスで簡単に送金などが出来るようになりました。
融資についてもクラウドファンディングなど、新たな資金調達の手段は発達しました。
「銀行で資金調達」という概念は崩れつつあります。
また、多くの銀行が「口座管理手数料」を導入し始めました。
これにより、銀行口座から電子マネーなど、別の決済口座に流れていく可能性があります。

銀行員の仕事は「なくなる」のではなく「変わる」

今後、銀行員の仕事は「なくなる」のではなく「変わる」というのが実態です。
おそらく銀行独自の業務は大幅に縮小します。
ただ、それは「銀行員の仕事がなくなる」わけではありません。
銀行員ではなく普通の会社員になる、と思えばいいだけです。
金融庁も銀行に対する業務範囲規制を緩和する動きがあります。
今後はもっと新しい事業を始めやすくなるのは間違いありません。
ただ、銀行に新しい商売が出来るでしょうか。
多角化経営に重要なのはモノ・カネよりも「ヒト」です。
新規事業で活躍できる人材の確保が、銀行の未来を決めるかもしれません。
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