見出し画像

何度注意しても材料管理のミスはなくならなかった。41歳の私がAIに「仕組みで防げない?」と相談した話


前回は、AIの右も左も分からなかった41歳の私が、ChatGPTを使い始めた話を書きました。

今回は、私が初めて本気で

「AIを使って仕事の仕組みそのものを変えてみよう」

と思った時の話を書いてみようと思います。

きっかけは、別に格好いいものではありません。

新しい技術を会社に導入してDXを進めよう!

……なんて話でもありません。

もっと現場臭い話です。

始まりは、

「また材料が合わない……」

でした。

何度も繰り返されていた材料管理のトラブル


私の働いている製造現場では、当然ですが日々さまざまな材料を使用します。

材料にはロットがあり、基本的には古いロットから使用する「先入先出」で払い出していきます。

ところが、

古い材料が残っているのに、新しいロットを先に払い出してしまう。

いわゆる先入先出の間違いが起きることがありました。

もう一つ困っていたのが、

材料管理台帳への記入漏れです。

材料を払い出した。

でも台帳に書いていない。

すると当然、

台帳上では「残っている」ことになっているのに、実際に現場へ行ってみると材料がない。

逆に、現物はあるのに台帳上の数量と合わない。

そうなると、

「誰が使った?」

「いつ使った?」

「何袋使った?」

「このロットはどこに行った?」

という確認が始まります。

結局、現場へ行って材料を数える。

台帳を見る。

使用状況を確認する。

関係者に聞く。

正直、

「またか……」

と思うこともありました。

私も最初は「注意すれば直る」と思っていた


問題が起きるたびに、私は作業員へ注意していました。

「先入先出を守ってください」

「材料を払い出したら台帳に必ず記入してください」

「記入漏れがないように確認してください」

一度ではありません。

何度も言いました。

もちろん作業する側も、わざと間違えているわけではありません。

注意した直後は気をつけます。

でも、しばらくするとまた起きる。

そして私はまた注意する。

また起きる。

また注意する。

そんなことを繰り返していました。

正直なところ、

「何回言えば分かるんだろう」

と思ったこともあります。

看板管理もやってみた。でも、それでもダメだった


口頭で注意するだけではダメだと思い、看板を使った管理なども試しました。

目で見て分かるようにすれば、間違いが減るのではないか。

そう考えたわけです。

でも、これも完全な対策にはなりませんでした。

なぜなら、

その看板を設置するのも人だからです。

忙しくて看板を出すのを忘れる。

台帳も、

「今は忙しいから後で書こう」

となる。

そして別の仕事が入る。

そのまま忘れる。

人間なので、どうしてもそういうことがあります。

私自身だって忘れることはあります。

そこでようやく、

少し考え方が変わりました。

「人に注意する」だけでは限界があるんじゃないか?


私は品質管理の仕事をしています。

問題が発生したら原因を調べて、

再発しないように恒久的な対策を考える。

普段はそんなことをしています。

それなのに材料管理で私がやっている対策は、

「気をつけてください」

「忘れないでください」

でした。

ある時、

「これって恒久対策になっているのか?」

と思ったんです。

人に何度も注意する。

看板を設置する。

台帳に忘れず記入してもらう。

もちろん全部大切です。

でも、最後は全部、

「人が忘れないこと」

に頼っています。

だったら、

人をもっと注意するのではなく、

そもそも間違えにくい仕組みを作れないのか?

そう考えるようになりました。

そこでChatGPTに相談してみた


とはいえ、私はシステムエンジニアではありません。

前の記事にも書きましたが、

当時はGoogleスプレッドシートすらよく分かっていませんでした。

GAS?

HTML?

Webアプリ?

何のこっちゃ分からない。

本当にそんな状態です。

それでもChatGPTに、

「材料を入庫・出庫で管理して、古いロットから払い出すようにできない?」

「スマホでQRコードを読んで管理するようなものは作れない?」

というような相談をしてみました。

すると、

「できます」

という答えが返ってきました。

正直、

「いやいや、本当に?」

と思いました。

私はコードなんて書けません。

スプレッドシートすらまともに分からない人間です。

そんな自分が会社で使うアプリを作る?

最初は、

「AIでアプリを作るって、何のこっちゃ?」

という感じでした。

そもそも会社にAIを使う空気がほとんどなかった

もう一つ壁がありました。

当時、私の勤めている会社では、AIというものが今ほど仕事に浸透していませんでした。

人がExcelに向かって、一日中入力作業をする。

それも普通の光景です。

そんな環境で突然、

「AIを使って自分で業務アプリを作ります」

と言っても、

最初から信用されるわけがありません。

まして、

プログラミング経験もない私が作ったアプリです。

「本当に大丈夫なの?」

と思われて当然だと思います。

私自身も大丈夫なのか分かっていませんでした(笑)

AIを使っていると「遊んでいる」と思われそうだった

これも今振り返ると面白いのですが、

会社でChatGPTを開いてパソコンに向かっていると、

仕事をしているというより、

「何か遊んでいる」

と思われそうな雰囲気もありました。

少なくとも私はそう感じていました。

なので、最初の頃のアプリ開発は、

ほとんど自宅でやっていました。

仕事が終わって家に帰ってから、

パソコンを開く。

ChatGPTに、

「次は何をすればいい?」

と聞く。

言われた通りやってみる。

エラーが出る。

また聞く。

直す。

今度は違うところがおかしくなる。

また聞く。

そんなことの繰り返しです。

我ながら、

「俺は家で何をやっているんだろう」

と思う時もありました(笑)

でも、

少しずつ画面ができて、

ボタンが動いて、

入力したデータが保存されるようになると、

だんだん面白くなってきました。

最初に考えたのが「QRコードで材料を管理する」仕組み

そこで考えたのが、

材料を入庫した時に登録する。

材料ごとにQRコードを発行する。

材料を払い出す時は、スマホでQRコードを読み取る。

そして、

古いロットが残っているのに新しいロットを使おうとしたら、

「先入先出になっていません」

と分かるようにする。

払い出しをしたら、

その場で記録する。

そうすれば、

「後で台帳に書こう」

という作業自体を減らせる。

さらに、

現在どの材料が何kg残っているのかも確認できる。

私が欲しかったのは、

豪華なシステムではありません。

「人が忘れても、ミスになりにくい仕組み」

でした。

当然、簡単にはいかなかった

ここだけ読むと、

ChatGPTに相談したらアプリができました。

めでたしめでたし。

という話に見えるかもしれません。

実際は全然違います。

QRコードが読み込まない。

スマホで動かない。

在庫数が合わない。

保存が遅い。

削除したはずのデータが残っている。

同期されない。

さっきまで動いていたところが急に動かなくなる。

本当に、

「なんでだよ!」

の連続です。

ChatGPTに、

「全然直ってません」

と言ったことも何度あるか分かりません(笑)

それでも、

一つ直して、

また一つ直して、

少しずつ自分が欲しかった形に近づいていきました。

そして絶対に無視できなかったのがセキュリティ


ただし、

会社で使う業務アプリとなると、

便利だから使えばいい、

という話ではありません。

ここは私自身、かなり気にしました。

会社で扱う情報には、

外へ出してはいけない情報があります。

材料や在庫に関する情報。

社内の管理情報。

担当者の情報。

そして業務によっては、

顧客に関係する重要な情報もあります。

AIが便利だからといって、

何でもそのままAIへ入力していいわけではありません。

そのため、

AIへ相談するときに実際の機密情報をそのまま入力しない。

テストではダミーのデータを使う。

誰でもデータを見られる状態にしない。

管理者と作業者の権限を分ける。

誰が操作したのか記録を残す。

勝手に重要なデータを削除できないようにする。

保存先や共有範囲を確認する。

こういったことも考える必要がありました。

そしてこれは現在も勉強中です。

私は、

「ChatGPTが作ったから安全です」

なんて全く思っていません。

むしろ自作だからこそ、

どこにデータが保存されているのか。

誰がアクセスできるのか。

何が外部に送られるのか。

そこは慎重に確認しなければいけないと思っています。

このnoteでも、

実際の業務アプリについて紹介していく予定ですが、

会社名や顧客情報、

実際の材料コード、

社内URL、

アクセス情報など、

セキュリティ上公開すべきではないものは出さないつもりです。

ミスした人を責めるより、ミスしにくい環境を作る


材料入出庫アプリを作り始めたことで、

自分自身の考え方にも変化がありました。

以前は、

ミスが起きる。



注意する。



また起きる。



もっと注意する。

となっていました。

でも、

何度注意しても同じことが起きるなら、

人だけを責め続けても仕方がありません。

人間は忘れる。

忙しければ後回しにもする。

間違えることもある。

それなら、

「忘れない人を作る」

より、

「忘れてもミスになりにくい仕組みを作る」

方が現実的なのかもしれません。

もちろん、

アプリを作れば全部解決するわけではありません。

新しい仕組みを入れれば、

また別の問題も出てきます。

実際、このアプリもまだ何度も改善しています。

でも、

「注意してください」

だけを繰り返していた頃より、

一歩前に進めた気はしています。

AIは「何でもやってくれる魔法」ではなかった

AIを触る前は、

ものすごく頭の良いものが何でも自動でやってくれる。

そんなイメージも少しありました。

実際に使ってみると、

そんなことはありませんでした。

普通に間違えます。

思ったものと違うものも作ります。

何回言っても直らないこともあります。

でも、

現場で

「これ、どうにかならない?」

と思ったことを相談できる。

アイデアを出してもらえる。

作る方法を教えてもらえる。

失敗したら一緒に原因を考えられる。

私にとってAIは、

何でもやってくれる魔法というより、

「今まで一人では形にできなかったアイデアを、一緒に考えてくれる相手」

になってきました。

あの材料管理のトラブルがなければ、たぶん作っていなかった

今振り返ると、

先入先出の間違い。

材料台帳への記入漏れ。

残数が合わない。

何度注意しても再発する。

あの面倒なトラブルがなければ、

私は業務アプリを作ろうとは思わなかったかもしれません。

その時は、

「またかよ……」

と思っていました。

でも、

その「またかよ」が、

私がAIを仕事で本気で使い始めるきっかけになりました。

人生、何がきっかけになるか分からないものです。

次回は実際の材料入出庫アプリを紹介します

次回は、

実際に作った材料入出庫アプリについて、

公開できる範囲で紹介してみようと思います。


QRコードをどう使っているのか。

先入先出をどう確認しているのか。

在庫をどう管理しているのか。

どんな失敗をしたのか。

そして、

実際に現場で使えるところまでどう改善していったのか。

良いところだけではなく、

「これはダメだった」

という部分も書いていくつもりです。

AIの右も左も分からない41歳が、

現場の「またかよ……」を、

どこまで「仕組み」で減らせるのか。

まだまだ試行錯誤は続きます。

いいなと思ったら応援しよう!