データで見る米国歯科専門医レジデンシーの実態|なぜ歯内療法科(Endodontics)は激戦なのか
こんにちは。なとりです。
留学を目指すとき、皆さんは誰を参考にするでしょうか。当然、留学経験者に話を聞く方が参考になります。しかしそれがもはや通用しなくなる日も遠くないかもしれません。
臨床留学経験者は日本の歯科界では重鎮・重役を務めていることが多く、数年前に留学を終えた先生の数は圧倒的に少ないのが現実です。私が目指す歯内療法科(Endodontics)においては特にそうです。
もちろん経験者の意見を参考にすることは大切です。しかし当時の状況と現在のそれとは、時に大きく乖離していることもあります。だからこそ、データを通じて現在のトレンドを把握し、それに対する対策を十分に練る必要があります。
今回はそのデータを紹介したいと思います。
米国歯科専門医レジデンシー 応募者数比較

上のグラフはADA(米国歯科医師会)が毎年公表しているSurvey of Advanced Dental Educationのデータをもとに作成したものです。
縦軸は1プログラムあたりの応募者数を示しています。
このデータから歯内療法科(以下エンド)の1プログラムあたり平均で163人の応募があるということです。平均ですので、プログラムによっては250人から300人の応募があると聞いたことがあります。
他の科目との比較もしてみます。
主要6科目の2024-25年時点での状況は以下の通りです。

Orthodontics(矯正):205.7人 ※最多
Endodontics(歯内療法):163.8人 ※伸び率最大
OMS(口腔外科):121.7人
Pediatric(小児歯科):93.1人
Periodontics(歯周病):76.3人
Prosthodontics(補綴):49.0人
特筆すべきはエンドの伸び率です。2014-15年の60.0人から2024-25年の163.8人へと、わずか10年で約2.7倍に達しています。他科目と比較してもその増加傾向は突出しています。
一方で矯正科は昔から人気で競争率が高い科であることがわかります。
なぜEndodonticsは伸びているのか
では、なぜEndodonticsの応募者数はこれほど伸びているのでしょうか。以下はあくまで私がある学会で耳にしたEndodontistの意見であり、総意ではない点をご承知おきください。
一つ目の理由はコロナ禍の影響です。不要不急の治療が敬遠される中、根管治療は痛みを伴うケースが多く、患者さんが受診せざるを得ない場面が多くありました。その経験から、歯内療法は世の中の変化に左右されにくい診療科として再評価されるようになったようです。
二つ目は収益性の高さです。根管治療は保険が適用されないか、適用されても自費の持ち出しが多いです。一方で補綴や矯正は治療回数が多く材料費の負担も大きいですが、歯内療法は1〜数回で治療が完結し、その後は紹介元に戻るためコスト面での負担が少ない点も魅力です。歯科医師の収入に直結する点でも注目されています。
そして私が最も重要だと感じる三つ目の理由が、他科目からの参入障壁の高さです。例えばインプラントはOMS・歯周病科・補綴科がパイを食い合う構図にあります。しかし根管治療の領域では、競合するのは主に一般歯科医のみです。材料やCTの進化により一般歯科医が担うケースも増えていますが、データでは根管治療全体の約半数はEndodontistによって実施されているといいます。他の専門科目ではなかなかそうはいきません。
これらが重なって、Endodonticsが今最も注目される専門科目の一つになっているのだろうと思っています。
日本人が米国臨床留学を目指すなら
こうしたデータを踏まえると、純日本人が米国臨床留学を目指す場合、専門科によって戦略は大きく異なることを認識する必要があります。
矯正や歯内療法を目指す場合、直接レジデンシープログラムにマッチするのは至難の業です。近年マッチされた先生方を見ると、相当な覚悟と努力をされた方ばかりです。私自身もそう判断し、まずは1年間のレジデンシー前座プログラムへの入学という選択をしました。
他の専門科については詳しくないので言及は控えますが、全体の傾向として専門性を身につける道は決して簡単ではないと思っています。
困難な目標ではありますが、それに向けて一歩ずつ歩みを進める過程を楽しむことも大切だと感じています。焦らず、私も頑張ります。
では。
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