データ分析スキルをゼロから身につけた非エンジニアの勉強法
「エクセルで作った表を見せたら、上司に『で、これ結局なにが言いたいの?』って言われた経験、ありませんか?
私はあります。それも一度や二度じゃない。
総務省の調査だと、国内企業でデータ分析を「自社の強み」と言い切れる会社は、まだ全体の2割にも届かない。9割近くがデータを溜めるだけ溜めて、活かせていないわけです。

申し遅れました。私はいま38歳、江東区在住の会社員です。最初の5年はBIエンジニア。そのあと広告運用に飛ばされ、プロジェクトマネージャーをやり、今は社内のAI導入をひとりで回しています。要するに、技術とビジネスの間をふらふら歩いてきた人間。
ただ、ひとつだけ正直に言っておきます。私、もともと理系じゃないんです。
大学は文学部。プログラミングなんて触ったこともなかった。新卒でたまたまBIチームに放り込まれて、SQLの「S」の字も知らないまま現場に立たされた。あのときの絶望は、今でもうっすら覚えています。
この記事では、そんな私が「ゼロから」データ分析を身につけるまでに何をやったか、その勉強法をぜんぶ書きます。具体的には——遠回りした失敗の話、最短で伸びた学習の順番、そしてAIをどう「先生」として使うか。この3つ。
「データ分析って、結局プログラミングできないと無理ですよね?」
後輩のミナミさんに、先日こう聞かれました。彼女はマーケ部の3年目。数字を見るのは好きだけど、分析は苦手だと言う。
「いや、逆だよ」と私は答えました。「プログラミングは後でいい。最初に必要なのは、問いを立てる力のほうだから」
ミナミさんはきょとんとしていました。たぶん、期待していた答えと違ったんでしょうね。
世の中の風潮も、彼女の誤解を後押ししている気がします。Reutersは2025年、生成AIの普及でデータ職の求人要件が「変わりつつある」と報じました。TechCrunchの記事でも、PythonやSQLを書ける人より、AIに正しく指示を出して結果を読み解ける人のほうが現場で重宝され始めている、という声が紹介されていた。
ガートナーやIDCの予測を持ち出すまでもなく、ツールはどんどん賢くなる。手を動かす部分は、機械が肩代わりしてくれる時代に入りました。
だからこそ、私は思うんです。非エンジニアにとって今ほどデータ分析を始めやすい時期はない、と。
「でも、何から手をつければいいか分からないんですよ」
ミナミさんのこの一言が、たぶん多くの人の本音じゃないでしょうか。私自身、最初の半年はまさにそれで止まっていました。本を10冊買って、9冊を積んだまま。
その失敗の中身は、次でじっくり話します。
ひとつだけ先に言わせてください。データ分析は、才能じゃない。順番です。
「データ分析」って、結局なにをすること?
ミナミさんに「順番です」と言ったあと、私はホワイトボードにこう書きました。
集める → ためる → 整える → 見る → 問う
データ分析という言葉、なんだか難しそうに聞こえますよね。でも分解すれば、この5つの動詞に収まります。
最初の「集める」は、売上やアクセス数といった数字を取ってくる作業。「ためる」はそれを表計算ソフトやデータベースに置いておくこと。ここまでは、正直エンジニアの領分だった時期が長い。
問題はその先です。
「整える」というのは、バラバラの形で届いた数字を、計算できる形にそろえる工程。専門用語では前処理とか、データクレンジングなんて呼ばれます。汚れた野菜を洗って切る、あの下ごしらえに近い。実務だと、ここに全体の7割の時間が消えると言われていて、私の現場感覚でもまさにそうでした。
そして「見る」が、グラフにして眺めること。可視化ですね。
最後の「問う」。これが、いちばん人間に残る部分だと私は考えています。「なぜ先月だけ数字が落ちたのか」「この客層は本当に儲かっているのか」——機械は数字を並べてくれるけれど、どこを掘るべきかを決めるのは、まだ私たちの仕事。
ミナミさんが「整えるとか可視化とか、その辺がもう無理そう」と顔をしかめたので、私は笑ってしまいました。だって、そここそ、今いちばん機械が肩代わりしてくれている工程なんです。

2025年から2026年、現場で起きていること
ここ1、2年で、初心者の入り口はずいぶん変わりました。私が見聞きした範囲で、具体的に挙げてみます。
ひとつ目。表計算ソフトに、話しかけるだけで集計してくれる機能が標準で乗りました。マイクロソフトもグーグルも、自社の表計算にAIアシスタントを組み込み、関数を知らなくても「月別の合計を出して」と頼めば答えが返る。関数の暗記から、人がやっと解放されたわけです。
ふたつ目。BIツール側でも、グラフを言葉から生成する流れが当たり前になってきました。SalesforceのTableauやMicrosoftのPower BIが、自然文での質問にチャートで応じる機能を相次いで広げています。
三つ目。これは私の前職の後輩から聞いた話。とあるネット通販の会社で、これまで分析チームに頼んでいた在庫の集計を、現場の販売スタッフが自分でAIに尋ねて回すようになった。専門部署を通さなくても、聞きたい人が聞きたいときに数字へ手が届く。
四つ目。学習サービスの値段も下がりました。動画教材やオンライン講座が増え、無料の範囲だけでも基礎の地図はだいたい描けます。
五つ目、これは少し皮肉な話。AIが下書きしたコードや分析を「読んで間違いを見抜ける人」の価値が、逆に上がっている。任せきりにすると、もっともらしい嘘の数字をそのまま信じてしまうから。
項目: 集計の指示方法 / 2023年ごろ: 関数・数式を手入力 / 2026年現在: 日本語で頼む
項目: グラフ作成 / 2023年ごろ: 自分で型を選ぶ / 2026年現在: 質問から自動生成
項目: 前処理の手間 / 2023年ごろ: 全工程の約7割 / 2026年現在: AI補助で大幅に短縮
項目: 必要な初期費用 / 2023年ごろ: 有料講座が中心 / 2026年現在: 無料教材で基礎は足りる
項目: 分析の依頼先 / 2023年ごろ: 専門チーム待ち / 2026年現在: 本人が直接AIに
数字はあくまで私の現場と公開情報からの肌感覚ですが、入り口の高さが下がったことだけは、はっきり言えます。
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