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私の『縁とキッカケ』〜第1章:重なり合う記憶と再会の予感〜

1. 20年の決断と、真っ白な職務経歴書

20年。

人生の半分近くを捧げた会社を去った。

当時の私は、その決断が人生を大きく変えることになるとは思っていなかった。

転職。

新しい職場。

新しい環境。

ただ、それだけの話だと思っていた。

けれど振り返れば、あの日から不思議なほど「縁」が動き始めていた。

数十年ぶりに繋がる記憶。

偶然とは思えない再会。

そして後に、全身に鳥肌が立つことになる出来事。

これは、私が経験した「縁とキッカケ」の物語である。

転職サイトに登録するため、これまでの歩みを振り返った。

自分の職務経歴や自己PRを形にする作業は、想像以上に難しかった。

丸2日間。

私は自分自身と向き合い続けた。

ようやく完成した職務経歴書は、単なる応募書類ではなかった。

それは、新しい人生へ踏み出すための「覚悟」そのものだった。

サイトへ登録すると、すぐに10社ほどからスカウトが届いた。

私は、その中で一番最初に連絡をくれた会社へ返信した。

そして採用が決まった。

後に訳あって2年ほどで去ることにはなるのだが(笑)、この採用こそが、私の人生を大きく動かす最初のキッカケになった。


2. 「いつもの店」が閉まっていた理由

新しい門出にふさわしいスーツを新調しようと、私は行きつけのショップへ向かった。

ところが、担当者はその日休みだった。

普段の私なら、

「また今度でいいか」

そう言って帰っていたと思う。

だが、その日は違った。

家への帰り道。

今まで一度も入ったことのないスーツ専門店が、なぜか目に留まった。

本当に不思議だった。

普段の私なら絶対に入らない店だったからだ。

それなのに、その日は吸い込まれるように店の中へ入っていった。

今思えば、その一歩がすべての始まりだった。


3. 店員さんが「Mちゃん?」重なり合う記憶

店内で商品を眺めていると、一人の女性店員さんが声をかけてきた。

「どのようなスーツをお探しでしょうか?」

私は本来、店員さんに話しかけられるのがあまり得意ではない。

いつもなら軽く会釈をして距離を置く。

しかし、その日に声をかけてくれた彼女の話し方は不思議と心地良かった。

壁を感じなかった。

自然と会話が続いた。

「体格が良いですね。何かスポーツをされていたんですか?」

「昔、柔道をしていまして。中学の外部コーチもやっていたんですよ」

そこから話は広がっていった。

彼女も新体操をしていたという。

自然と地元の話になった。

「D中学です」

「えっ?一緒やん。D中よ!」

一気に距離が縮まった。

その瞬間だった。

私の頭の中に、ある名前が浮かんだ。

「D中学で新体操といえば、T先生が有名よね」

「私の友達の恩師だし、実は家の近所なんだよ」

何気なく口にした名前だった。

しかし、その瞬間。

彼女の表情が変わった。

少し驚いたような顔をして言った。

「……私、Tです。娘です」

一瞬、時間が止まったような感覚になった。

そして次の瞬間。

忘れていたはずの記憶が、一気によみがえった。

「……T先生の娘さんってことは、もしかしてMちゃん?」

実は私は、小学生の頃の彼女を一度だけ見たことがあった。

数十年という時間を超えて。

バラバラだった記憶の点と点が、今この場所で一本の線になった。

鳥肌が立った。

ただの偶然では片付けられないような、不思議な高揚感に包まれていた。


4. 2時間の対話と、明かされた真実

驚きの中で話はどんどん盛り上がった。

気付けば2時間が過ぎていた。

翌日、オーダーの続きをするため来店予約を入れて帰宅した。

家に帰り、この不思議な再会を母へ話した。

すると、さらに驚く事実が判明する。

私の母は長年、地域の見守り隊をしていた。

実はMちゃんも、その妹さんたちも、母と一緒に小学校へ登校していたというのだ。

世間は狭い。

そう思わずにはいられなかった。

翌日。

母から託された言葉を思い出しながら、私は再び店を訪れた。

「妹さんたちは元気にしてるの?」

生地選びの合間に、何気なく尋ねた。

するとMちゃんは少し声を落として答えた。

「……去年、亡くなったんですよ」

言葉を失った。

昨日までの再会の喜び。

懐かしさ。

高揚感。

その中へ、静かな悲しみが入り込んできた。

私はその事実を受け止めながら、後日T先生のご自宅へお参りに伺わせてもらう約束をした。


5. 幼稚園時代の恩師

同じ頃。

私は幼稚園時代の恩師とも連絡を取り合っていた。

卒園以来、年賀状やメールでのやり取りは続いていたのだが、その恩師が短期間だけ現場へ復職するという知らせが届いた。

私が通っていた幼稚園は、園児不足のため閉園することになっていた。

恩師は感謝の気持ちを込めて、最後だけ現場へ戻ることを決めたのだという。

私は娘に、自分が通っていた幼稚園を見せてあげたかった。

そして恩師にも会いたかった。

そうして久しぶりに、自分の原点とも言える場所を訪れた。

そこで私は最近起きた「縁とキッカケ」の話をした。

20年勤めた会社を辞めたこと。

転職したこと。

スーツ専門店でMちゃんと再会したこと。

恩師は静かに話を聞いてくれた。

そして穏やかにこう言った。

「あなたは人を引き付ける力があるの」

「幼稚園の時からそうだったよ」

私にはまったく自覚がない。

だから思わず笑ってしまった。

「いやー、それにしても世間って狭いですよねー」

結局、その日はそんな会話で終わった。

だが私はまだ知らなかった。

この再会で口にした「ある名前」が、数日後にさらなる衝撃を呼ぶことになることを。


(つづく)

20年勤めた会社を離れたことで、私の人生は大きく動き始めた。

ただ転職をしただけ。

そのはずだった。

けれど振り返れば、その一歩を踏み出した瞬間から、まるで誰かに導かれるように「点と点」が繋がり始めていた。

偶然入ったスーツ店。

数十年ぶりに繋がった記憶。

母が知っていた家族との縁。

そして幼稚園時代の恩師との再会。

当時の私は、それらをただの偶然だと思っていた。

しかし、この数日後。

恩師の口から出た「ある名前」をきっかけに、私は人生で経験したことのない衝撃を受けることになる。

全身に鳥肌が立った。

思わず言葉を失った。

そして初めて、

「縁には意味があるのかもしれない」

そう思った。

次回、第2章。

点と点が一本の線になった、あの日の話を綴ろうと思う。

皆さんは人生の中で、

「これは偶然では説明できない」

そう感じた出来事はありますか?

もしよろしければ、コメント欄で教えていただけると嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

縁とキッカケを大切に。


https://note.com/ken_kyoji/n/n6b39261f22bf


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