見出し画像

「道」とは

高校の部活での話です。
私は剣道部に所属していました。
2年生になり、先輩は引退し、私たちの天下になっていました。

冬のある日
道場のカギを開け、窓を開け放ちながら剣道部のキャプテンと
「さっみぃな~」
「着替えるん嫌やな~」
と窓の外の雪を見ながら、道場の更衣室で道着に着替えていました。

着替え終わり、稽古前のモップ掛けをしていると
窓の外に同級生
「お~お前ら今から部活?」
「そうやけど・・・」
「俺らは今日部活無いから帰るわ」
「ええなあ」

一旦姿を消した同級生たち
すると、窓から雪玉が投げ込まれました。

「うわっ!」
「きゃっきゃっ」
窓の外から笑い声と同時に雪が投げ込まれてきます。

「おい、やめろや!」
「きゃっきゃっ」
制止の声などお構いなしに投げ込まれてくる雪玉
道場の床が雪まみれになったその時

「おいっ!お前ら何しとるんじゃ!!」

鳴り響く鬼の体育教師の声

「お前ら、体育教官室まで来い!!」

怒られて立ちすくむ同級生
心の中で「あ~あ、怒られてるわ」と少し同情する私

「何しとるんじゃ!お前らもじゃ!!」

思わず、顔を見合わせる私とキャプテン
何で俺らも?
口から出そうな言葉を飲み込み、少しため息
「・・・・・行くか」

時代はまさに平成になったばかり。
昭和の体育教師に常識や理屈は通じない。
口答えすると事態が悪化するのは痛いほど知っているので、私とキャプテンもしぶしぶ体育教官室へ。

「失礼します!」「入ります!」
教官室に入るとたばこの煙で室内が少しもやっている。
当時は、教官室、職員室で平気で教師がたばこを吸っていて、
サングラスをかけて授業する体育教師もいたりして

外で捕まった同級生は、すでに怒られたのか並んで立たされて少し涙目
その横に並ぶ、キャプテンと私。
「・・・お前ら何やっとねん」
「はい」
「剣道部にとって道場は神聖な場所と違うんかい!」
「そうです」
「道場を汚すようなことをしてええと思っとのかい!!」
(・・・俺らが汚したんちゃうけど)
にらまれるキャプテンと私
「おい!剣道の『どう』って何や、言うてみい!」

めったに先生に怒られることの無い立ち回りをしていた私ですが、めずらしく怒られて混乱していたのでしょうか。
頭の中で
(剣道の胴?なんで胴?胴って何かって、防具の一種で身を守るための物?)
とぐるぐる考えていました。

「おい!お前キャプテンやろ!『どう』って何や!」


「はい!『道(みち)』です!」


そっちね!
そらそうか!
いくら何でも、『胴』ではないわ。
やっば~~~
俺指名されたら「身を守るもの」って言うとったわ。
キャプテンおって良かった!

申し訳なさそうにうつむきながら、ほっと胸をなでおろす私。

そうやろうが!道(みち)なんちゃうんかい!なんちゃらかんちゃら(この後のセリフは覚えてない)」

今思い返すと、逆に私が指名されていたら体育教官室大爆笑やったんちゃうかと少し惜しい気持ちになる、そんな部活の思い出でした。


#部活の思い出


いいなと思ったら応援しよう!

発達支援剣道家サトウ いただいたチップは発達支援剣道家として活動と、必要な物品の購入費に使わせていただきます。 応援のほど、よろしくお願いします!

この記事が参加している募集