さようなら、めちゃくちゃだった文芸の世界。
吉本ばななのnoteが話題だ。あまりにも直接的に、家族のドロドロした事情を綴った自叙伝。
もちろん僕も読んだのだが、傑作としか言いようがないものだった。500円で売っているが、買って後悔しない逸品になっている。皆さんぜひ。(毒親サバイバーの人は身につまされすぎてしまうかもしれないのでご注意ください)
これは傑作だが、かなり色々な面から叩かれている。「相変わらずネット民はつまらんことをゴチャゴチャうるせえな」とは思うのだが、それはそれとして「吉本ばななは、インターネットがヘタだなぁ」とも思った。この記事には、無意味に炎上している部分がある。「虐待された人は顔で分かる。宇多田ヒカルもそう」みたいな記述がそうだ。ここはトルツメにすべきだ。こういうのを事前に指摘するために編集者という職業は存在するのだなぁ、と改めて思った。吉本ばななさん、炎上リスクを減らすためだけの編集者を雇いたければ、お声がけくださいませ。
とにかく吉本ばななは、こういった「世渡りのバランス感覚」みたいなものを欠いている。自分でも「私はほんとうにSNSに向いてない」と言っているように、炎上リスクの管理やSNSとの向き合い方に失敗している。そして、これはインターネットに限らないだろう。彼女はどうやら、様々な世渡りが上手くない。特にすごいのがマネーリテラシーだ。節税をまったくせず、バブル期まっただ中に家を買い、明らかに払う必要のない金を自己負担で払っている。
本記事が活写しているのは、とにかく生存に必死で、それゆえに感受性や思想が異常なまでに発達した女性作家の人生だ。彼女は厳しすぎる家庭環境に置かれたから、生き残るために情動的な側面を発達させるしかなかった。だから、マネーリテラシーみたいなせせこましい知見を蓄える余裕がなかった。
この記事を読んで痛感した。マネーリテラシーは、強者の贅沢品なのだ。金のことを考える認知リソースが余っている人間じゃないと、身につけられない技能なのだ。精神的に追い込まれている人は、オトクに買い物をする方法など考えているヒマがない。
そして、文芸の世界には元々そういう人が多かった。僕らが思い浮かべる文豪の多くが自殺したりアル中だったりヤク中だったりするように、家庭環境や精神状態がめちゃくちゃな人間が、それゆえに発達させた異常に鋭敏な感受性によって何かを描き出す。それが典型的な文芸の世界だった。
そして今、その時代が終わろうとしている。
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堀元見の、炎上するから有料で書く話
ネットで見つけた愚かな人をアカデミックにバカにしたり、普通に言うと訴訟リスクがある本音を書いたりするマガジンです。全部Twitterで言う…
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