『ケニィの心臓❤バグ野郎 de 月臍国墨祭市』#3「開始30分で「完ッ!」てなるリメンバー・ミー」~悟り人ミゲルの手でメキシコの死生観ガン無視で執行される死者の国・強制分解~
前書き:
ふざけたタイトルですが、僕は泣きながら書きました。哲学的になったかもですが、あくまで、映画内で死者が生前の延長みたいにフッツゥ~に暮らしてることへのツッコミと見てくださいませ。
__映画『リメンバー・ミー』開始より約30分、死者の国のオフィスにて…
ママ・イメルダ:
「たった2秒でもう約束を破ったの!」
ミゲル:
「ひどいよぼくの人生なのに!」
…
YOU ALREADY HAD YOURS!
(あなたのはもう「終わった」でしょう!!)
(原題:Coco)より引用。
ただし括弧内の和訳は拙訳。
彼は、イメルダを振り切り親戚に詰め寄…
(★ここまでは映画通り)
――詰め寄ろうとするが、
ぴたと止まり、イメルダへ向き直る。
ミゲル:
「…そう、あなたのはもう終わった。
…なんでまだ世俗にとらわれているの?
生きていた頃に執着をするの?
こんなところでクレーマーして、生きてる僕の邪魔をして…?
…ねえ…
生まれる前に、あなた、困ってた?
困っていなかったでしょう?
生まれる<前>、嗚呼、<今>生きていればよかったのに、
って<思って>いた?
「許せない!」とか、<思って>いた?
…生まれる前の時間に、<執着>をしていた?
…
死んだらね、生まれる前の状態に戻るんだよ。
生きている間に、執着が生まれ、世俗にとらわれるのは自然なこと…
だって、そうしないと生きていけないからね。
今、生きている僕のように。
でもね、死んだら…あらゆる執着も後悔もなく、生まれる前と同じ状態に…全体意識に溶けて、自分は自分じゃなくなるんだよ。
あなたは、みんな、みんなは、あなた。
くるしみも、かなしみもなくなるんだよ。
――大丈夫
何の、心配も「ない」。
さあ、「生まれる前」にお戻りなさい。
全体意識にとけなさい。
心配しないで!
¡NTP(No te preocupes)!
死者の日には、オフレンダに飾られたあなたの写真をよすがに、生きていた頃の魂の形を、全体意識からあわ~く形作って、お墓の下のあなたのお骨を音楽にあわせてガタガタ揺らせるくらいの、魂の形をまとって、僕らを訪ねておいで!」
ママ・イメルダ:
「…ああ...そうね...その通りよ…生きている間は
辛いこと・苦しいこと・許せないこと…沢山あったけど…
どうして死んだ後ですら、まだそれらに囚われていたのかしら…
おかしいわね……
…ありがとう、ミゲル…
ペピータ!
私の「かぼちゃの種」ちゃん!
死者の国のみんなに知らせて!
みんなで<ひとつ>になりましょう、って!」
おくりびと・ミゲル様:
「…さあ、死者の国にあふれる哀れな魂たちよ!
あらゆる執着を捨てて「生まれる前」にもどりなさい!
あなたがたの人生はもう「終わった」のです…!
"YOU ALREADY HAD YOURS…!"
(¡Ustedes ya tuvieron la suya…!)」
ペピータは、死者の国の上空を飛び回り、
ミゲルの言葉を皆に伝える…
骸骨たちは、上空を見上げ、悟る。
皆の体がセンパスーチル色の輝きに包まれ始める…
🏵️
ママ・イメルダ:
「Adiósミゲル。グラシアス…!
わたし、もうなにも恨んでなんかないわ。あの人のことも…許すわ。」
センパスーチルの花弁を一片、ミゲルに差し出す。
「これ、約束よ。死者の日には、写真を飾って、私たちを思い出してね。
その日だけは「無」のやすらぎから抜け出して、
あなたに会いにいくわ。
いいわね、生きて、ミゲル!生き抜いて!
すぐこちらにきちゃダメよ!
もちろん、なんの<制約>もつけないわ!
A→diós!ミゲリート!」
ママ・イメルダも、親戚も、死後なお犬アレルギーに悩まされていた哀れなオジサンも、死者の国の、みんな、みんな、みんな…。
センパスーチルの光に包まれ、分解され、ひとつに溶けていく…
オフィスの天井も、いつのまにかなくなって、夜空を埋め尽くすセンパスーチルの花弁…
天井から、センパスーチルと共にふってくる、みんなの声…
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…グラシア~ス!…ありがとう…!
ありがとおぉぉー!…ミゲルくぅ~ん!
ミゲルくぅぅぅん…ありがとおぉぉー…
…ミゲリィィトォォ~…
…ビバ・ラ・ビダァ!…
…ブラボー!おお、ブラボー!…
🏵️🏵️🏵️🏵️🏵️🏵️🏵️🏵️🏵️🏵️🏵️
…死者の国は、今、ここに、解き放たれた…
…ミゲルの体もセンパスーチルの花弁に包まれる…
……ザアアアアアアアアア……
…ぺろっ。
ほっぺに、懐かしい「ぬめぬめ」を感じてミゲルは意識を取り戻す。
デ・ラ・クルスの霊廟に倒れていた。
ゆらゆら…きらきら…
昨夜ぶち破った窓からの朝日が、床に広がるオレンジの海の波間を揺らしている。
どこからか、マニャニータスの歌が聞こえる…
「♬私の大切な人、さあ、起きなさい、朝が来たよ…♪」
…涙があふれて止まらない。
ミゲルの涙をなめたダンテは、何とも言えない微妙な顔をしながら、ミゲルをのぞき込んでいる。
霊廟の床は沢山のセンパスーチルの花びらで覆いつくされている。
握りしめた右手を開くと、1片の花弁。
ああ、これは「約束」。
…ママ・イメルダとの約束の花びら。
ねえ、これでよかったんだよね?
ダンテ…?
(ダンテはベロをしまい厳格な顔つきをしている。)
みんな、死者の国のひとたち、もう「安らか」だよね…
でも…でも…やっぱり…
まだ生きている僕は、残された者は、ただただ、悲しいよ…
あなたが恋しくて仕方がない…あなたをこの腕で抱きしめたい…イメルダ…みんな…。
そう僕が思うのは、僕が生きていて、「執着」があるからだね…
だけど、ぼくは、与えられた時間を、一生懸命生きて、世俗にまみれ、泥臭く人生を味わうよ。
そして、いつか死んだら、そのときは、あなた方のところへまいります…
生まれる前とおんなじ、「無」に帰ります…
その時まで、生きている間は、頑張って生に「執着」するよ…!
…死者は…
……考える頭もなく……
………明日の心配もなく………
………愛する人を抱く腕もなく………
…♬
『To Far Away Times』…
…
Hope shining on an aching soul
(いたむ心を照らす希望)
Though fate must let you go
(運命があなたを逝かせても)
A new dawn begins
(新たな夜明けは始まる)
Remembering far away lands
(遥か彼方に思いはせ)
Time to reflect and understand
(自ら顧み、悟るとき)
A promise clenched in your hand
(手に握りしめたセンパスーチルが)
Carries you to far away times
(きみを悠久の彼方へと運ぶ)
Come with me, on the horizon lies
(ぼくと来て地平線の向こうまで)
A kingdom of the dreams
(夢の王国が建っているよ)
Together we freed
(僕らが共に解き放った王国が)
Now, fears relieved for eternity
(今、恐怖は永遠に消え去り)
The shadows fade away
(僕らの影は薄れ)
Our time draws near
(境界線はなくなっていく…)
We are one eternally…
(とわに、ひとつに…)
作曲:光田康典(和訳は拙訳)
…
フウ…(涙をぬぐう)
家に戻らなきゃ…心配させちゃったな…
ダンテ、行く…
……よ…
…………
………?
あ"!!
あ"、あ"あ"ああああああああッッーーーーーーーー!!!
デ、デ・ラ・クルス(本当の父さん)に会ってない!!
会う前に逝かせちまったああああああああーーー!!
ぼ、僕としたことがあああっーーーーーー!!
!!つい!!
*ヘクターにも会ってない。彼も無事逝った。
(タレント・ショウも終了している。)
ダ、ダンテ?どこ?
ちょっと、離散した精神宇宙のなかから、
デ・ラ・クルスを召喚してくれない?
ちょっと、ダンテ??
ドンデ・エスタアアアア~~ス!
ポルファァあ~~!
(ダンテは「ばか犬」のフリをやめミゲルを見限り、去っていった後であった。)
…
ポン!
働き者のきれいな手がミゲルの肩におかれる。
地獄お婆チャン:
「さ、靴作ろうか!」
~『リメンバー・ミー』完~
=解説(コメンタリオ)=
🏵️「完ッ!」:
むろんジョジョ第3部のオマージュである。
🏵️YOU ALREADY HAD YOURS!(¡Tú YA tuviste la tuya!)
(あなたのはもう「終わった」でしょう!!):
日本語版ではこのセリフはない。「ひどいよ、僕の人生なのに」のみ。
僕は英語版でこれを聞いたとき、ミゲルが上記のようなことを言い出すのではとさっと身構えた。
この作品を書くにあたり似た考えがないか調べたところ、エピクロスやルクレティウスという哲学者が提唱した論法(「死は我々にとって何ものでもない(生まれる前と同じ状態に戻るだけ)」という「対称性の論法」)とシンクロしていた。
"YOU ALREADY HAD YOURS"という言葉は、この映画の中で一番素敵な言葉だと思っている。なぜか、デ・ラ・クルスの「Seize your moment(チャンスをつかめ!)」がもてはやされ、僕がしま〇ら(アベ〇ルだったか)で購入したリメンバー・ミーのバッグにもでかでかと入っているが「他人を〇して利用してでものし上がれ」という皮肉な文脈なのに、いいのだろうか?
🏵️全体意識に溶けて:
漫画『バルバラ異界』(萩尾望都作)でも似たようなことを言っていた。ただし、バルバラ異界では死者の国だけではなく現実もすべて全体意識にすれば幸福になるという考えだった気がするので、上記の妄想よりも、バルバラ異界の方が3倍はひどい。
🏵️お墓の下のあなたのお骨を音楽にあわせてガタガタ揺らせるくらい:
南米文学において、死者の骨、ガタガタ(文句)言いがち(私見)。
🏵️ありがとおぉぉー!…ミゲルくぅ~ん!:
漫画『GANTZ』(奥浩哉作)のコントロバーシャルなエンディングより。
…GANTZよ。僕の少年期に多大な影響を与えたガンツよ。奈良で仁王像を見れば、動き出すのではと僕を怯えさせ、新宿に行く際には、銃乱射が始まるのではと僕に武装させ(今も)「昼行燈」というパワーワードを僕の頭に刻印し、他にも色んな意味でお世話になった、ガンツよ!
あの終わり方…嫌いじゃない…
🏵️ブラボー!おお、ブラボー!:
フランスの騎士が紛れ込んでいる。
🏵️ビバ・ラ・ビダ/¡Viva la vida !/人生万歳:
フリーダ・カーロさんの遺作でもあります。彼女も、永遠にひとつに…。
🏵️マニャニータスの歌:
メキシコ版のハッピバースデイトゥユウ。寝てる主役を早朝に叩き起こすはた迷惑な歌。
🏵️ミゲルの涙をなめたダンテは、何とも言えない微妙な顔:
ミゲルはメキシコの子供らしく、demasiado picanteなものを日常的に食しているので、涙も辛いのだ。Pulparindoというお菓子をたべてごらん。「のし梅だ♥」かと思ったら十数秒遅れて時限式の辛さが牙をむくだろう。胃腸のコンディションに自信がある時にお試しください。
また、ガイド犬としての役割を奪われてしまったための「微妙な顔」でもある。

De la Rosaは、ホロホロ溶けるピーナッツ味で
生八つ橋に似ていると思う。
日本でも売ってほしい。
右上、砂糖とカロリー過多!とか注意書きがしてある。
🏵️考える頭もなく、明日の心配もなく、愛する人を抱く腕もなく:
『フランバーズ屋敷の人々』(K.M.ペイトン作)のオマージュ。文字通り「好き」を貫いて果てた最愛のウィルのお墓参りの時のシーンのイメージ。身分差のあるテレノベラ(ラテン系メロドラマ)的な甘酸っぱい恋が楽しめるが…。
🏵️「To Far Away Times」:
リメンバー・ミーは、この歌のオマージュであるという(僕の中での)定説がある。引用を超えたレベルで共鳴しすぎでしょう?ジョジョ4部アニメOPの「Great days」にも割とリンクする。また、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のオマージュでもありますよね(どこかで語られていると思う)。メキシコのお茶の間では食傷気味に流されているBTTFだが、僕はいつでも全力で楽しんでいた。BTTFの極限の焦燥感を、リメンバー・ミーはもっと表現してほしかった。「ぬる・虚無ま湯。」「ぜんぶ・なんとなく・間に合った」感、凄いジャン?
🏵️デ・ラ・クルスにあってない:
あのオフィスの場面では、まだデ・ラ・クルスに許しを得に行くことを思い付く前(直前)なのでは?というツッコミはしないでください。
🏵️デ、デ・ラ・クルス(本当の父さん):
リメンバー・ミーは「父を探して死者の町へ赴いたら、いつのまにか知らんオッサンと土の下に埋められ、死者の声を聴かされる」という『ペドロ・パラモ』(フアン・ルルフォ作)の再構成でもある(と僕は思う)。ペドロ・パラモと同様に上記の妄想も、映画冒頭へループしている。
🏵️働き者のきれいな手:
むろん『風の谷のナウシカ』(宮崎駿作)より。
🏵️地獄お婆チャン:
彼女は、インフェルノ出身である。よって、なくなったときは全体意識に溶けたりせず、インフェルノへ里帰りする。
🏵️本作品は「アステカの生贄転生説」とは別の世界線のミゲルです。嗚呼、どの世界線でも、かわいそうなミゲル(Pobre Miguel…)。
🏵️この作品の写真は、僕が子供の頃にコスプレした写真(下記)を元にAI生成させたものである。ウクレレなのは暖かくスルーしてください、当時はウクレレしかやってなかったんです。この画像が出来上がるまで、ガタイが妙にでかくなったり、腕が4本になったりと少し苦労しました。

¡Tenkiu!
By ♰梓/Keni Nacastli Atyalan Miguel ♰
===To be continued==>>>>#4
【本記事における引用・オマージュについて】
本連作(全15話)では、作品の特性上、多数のカルチャー作品をオマージュ・引用しています。本文中で多用している『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦作)の正式な出典表記につきましては、第1話「『ケニィの心臓❤バグ野郎 de 月臍国墨祭市』#1【イントロダクション】」にて示しております。そのため、第2話以降の本文中では「ジョジョ」と略して記載しています。
※その他の作品の出典・引用元については、各話の本文中にてその都度記載しております。
