『ケニィの心臓❤バグ野郎 de 月臍国墨祭市』#5 校長室に呼び出された理由が「金○武に似てるから」だった件
前書き:
シュールすぎて嘘くさいかもしれないが実話に基づくので、身バレを防ぐため伏字を多くしました。また、ティピコな少女漫画的描写につき、鼻についたら申し訳ございません。僕だって、書いてて嫌になりました。
<Harto de hartas, de cáscaras y de farsas. Me quito la máscara y solo ven el abismo.>
高校の昼休み…
僕はいつもの気の置けないゲーム仲間と昼食後にだべっていた。
「○○梓くん、校長室にきてくれないか?」
担任が教室に顔を出す。
「はい」
なんだろ?僕は一人で席を立つ。
校長室の前は、追い出された数十人の生徒たちであふれている。
カリスマと名高い校長は禿げ頭の親しみやすいナイス・ミドルで生徒に人気だ。
「ちょっと校長センセに呼ばれているから通して?」
と彼らの中に突入したら…
「アッ!アズ様降臨!珍しい~!」
「XXと付き合ってるって嘘だよね?」
「バスケの試合いつ出るの?練習しか来てないよね?」
…一瞬で囲まれてしまった。
「やかましいぞッ、このアマッ!」とか承太郎ばりに吐き捨てたくなるのを我慢して…(承太郎は高潔な精神の持ち主であるが、僕は彼のように器用ではないので、暴言は吐けない。それに、父のようなマチスモではなく、僕は洗練されたCaballerosidadを体現したい。)
「Arre!あとでね?失礼…」
道を開けてもらい校長室をノックしかけたその時…
「…陰キャ畑に咲くウ~!一輪のオォ~…花ッ!キュア・アズ!」
ぶっ!!
吹き出してしまった笑
「ちょっ、今うまいこと言ったやつ誰ェ~?
後で俺のとこ来て?
陰キャ畑にご招待ィィ~!
ビエンベニイダアァア~(ようこそ)!」
「キャアー!ガチ勢キモ~い!」
「いつのプリキュア?古くね?」
「再放送で見たんだよ、ね~アズ様?二人だけで話そ?」
「ジョジョくさくね?」
「スペイン語個人レッスンしてええ~!」
がらり。校長室が内側から開く。
校長先生「あ、騒がしいと思ったら。来たか。入りなさい。」
…
一人男子学生が座っている。
「こちらは中国からきた留学生の…」
校長が言い終わる前にヒマワリがぱっと咲くような弾けるような笑顔を向けられ…
「アイヤー!!ホントにア・ウーの若いころにソックリだ!
ア・ウー!ア・ウウウ!ボク、大ファンデス!」
右手を差し出される。
「Ay, ay…あ、ううう?あ・う…? Ah…Are you okay??」
すっかりどぎまぎしつつ握手に応じる…
(アア・ウウーて何?うめき声?もしや、断酒会?
ウウは(u.u)泣いてる顔文字とか…?いやそんなわけ?)
ていうか、手を放してくれない…
「あ、彼は、中国からきた留学生で、君が金〇武に似てると聞いて、会いたかったそうだ。」
やっと手を放してくれた。
「かね〇ろ?…いや、そんな似てないと思…?
…あの、お名前は?
I am Azusa. May I have your name?」
校長先生「彼は…」
嗚呼、なるほど、僕は遣唐使に選ばれ…
いや、
唐からきた使者への供物に、僕は選ばれたというわけか…
……てか、なんで僕が行くところ、
アステカの儀式が始まっちゃうわけ?
神官「彼の名は…」
____緊張が走る!
これが儀式ならば、一文字の誤謬・言いまつがいすら許されない。
真名とは、万物の理を繋ぎ止める楔なのだ。
神官が詠唱を違えれば、狂気と深淵の門が開き、
騎士たる僕の矜持ごと
すべてを飲み込んでしまうだろう…!
神官「彼の名は………」
「リュ・ジュ〇〇…」
「…でいいのかな?」
ふうーっ!噛まなかったみたい…胸をなでおろす…
「クリスって呼んでね!ア・ズー!」
クリスかよッッ!!(ずっこける)
ツボに入って、笑いが止まらなくなる。
クリスも校長もつられて笑いだし、場がすっかり和む…
そうだよね、贄の儀式なんて関係ない、
深淵に堕ちたりなんかしない…
あほらしい…
「ハハハ、アロウ、よろしく、クリス…?」
ゆるんだ顔のまま彼の顔を見やると…
うわっ!!
彼の眼がヤバイ!!
恍惚とした眼差しで僕を見つめている!
彼の双眼の琥珀の中に
永遠に閉じ込められた「スカラビ」になった気分…
神官「色々彼を助けてあげなさい。」
供物「は、はい、僕でよろしければ…」
(胸に手を当てる。その手をクリスが凝視する…)
「よろしく、クリス…」
¡嗚呼!
¡Nombre, ni modo!(なんてこった、しょうがない…)
――生贄の契約、締結なり。
…
クリスは、軽々と火を飛び越え、陰キャ畑の中に居座ってしまった。
僕は普通の仮面をかぶり、彼と仲良くしていたが、二人きりになったときにやたらに体を触ってくるようになったので、僕の本来の奇妙なしゃべり方の癖、つまり『クトゥルーの呼び声』のウィルコックス青年のように、あらゆる事象を神話やらと連想してリファーする話し方…で彼に対応するようになったら、思惑どおり、だんだんと離れていった。
…
クトゥルー神話といえば、まだ、普通の仮面をかぶっていた時、僕が彼に話したこと…
「クリス、そんなにメキシコに行きたいのなら、僕とソチミルコの人形島に行く?
僕はまだ行ったことないんだけど、僕のおじさんが写真を見せてくれたんだけどね?
――映っている木や水に明らかに叫んでいるような人の顔が5つくらいあったんだよ。――
僕がおびえて指摘しても、おじさんは「3つ点があれば顔に見えるもんだ」ってとりあわなくて。そんなおじさんの方が僕は怖かったんだけど。」
「僕自身の目で確かめてみたいんだ。」
🌻完🌻
=Comentario=
★冒頭のHarto de hartas, de cáscaras y de farsas. Me quito la máscara y solo ven el abismo.:
韻を踏むように頑張った(誰か褒めて)。
Hartasのあとはpersonas(人々)が続く。「harto/harta」は中南米で「muchas/muchos」(たくさんの)と同じ意味で使われる。「farsas(茶番、偽り)」「仮面(Máscara)」「外皮(Cáscara・カスカラ)」
★マチスモ(Machismo):
主にラテンアメリカの文化に根強く残る「過剰な男性優位主義」。僕の騎士道精神とは「相手の背景を察し、決して傷つけず、卑屈になりすぎずユーモアを持って接する高潔な姿勢」を言う。
★Arre:
メキシコ北部っぽい「OK」。巻き舌バリバリで発音しよう。
★ア・ウーの若いころ:
中国語圏では、〇城武さんのことを親しみを込めて「阿武ー」と呼ぶ。僕のことをア・ズーと呼んだのも、阿梓ーとなるから。
★断酒会:
メキシコの街に「AA」と書かれたロゴを見かけるが、Alcohólicos Anónimos(匿名の断酒会)のこと。
この例とニアリーイコールなスペイン語独特の決まりとして「複数形の名詞を略すときは、頭文字を2回繰り返す」というものがある。例えばEstados Unidos(アメリカ合衆国)はEE.UU.となる。
★誤謬(言いまつがい):
『ほぼ日』(旧ほぼ日刊イトイ新聞)のコンテンツ。
★詠唱を違えれば:
クトゥルー神話の儀式において、真名の詠唱を違えると「召喚の失敗」に留まらず、取り返しのつかない大惨事を引き起こすとされている。術者への逆流、時空の歪みと汚染、意図せぬものの招来など。
★クリスかよ:
中国人は、西洋風の二つ名をさも本当の名前のように海外で名のりがちである(そして真名をなのらない笑)。
★アロウ:
Aló. メキシコで電話とかで使用されるHelloのなまり。
★「スカラビ」:
琥珀の中に閉じ込める虫と言えば「スカラベ」であるが、ゲーム『MOTHER2』(任天堂・糸井重里作)中の街の名前の印象が強すぎて、「言いまつがい」を犯している。
★¡Nombre, ni modo!(なんてこった、しょうがない…):
nombreは「名前」の意味だが「Oh my god」的な意味でも使われる。ni modoはメキシコでよく聞くあきらめといなおり:「しゃーない」。
★火を軽々と飛び越え:
『潮騒』(三島由紀夫作)で、燃え盛る火を飛び越えて懸想人のもとへ行くシーンのイメージ。ギリシャ神話『ダフニスとクロエ』の再構築だが、主人公のピュアさが一番ありえない。
★『クトゥルーの呼び声』のウィルコックス青年:
『クトゥルーの呼び声』(H・P・ラヴクラフト作)にて、名家出身、天才青年だが、その奇矯さにより社交の場からハブられていた人物。読んだとき「うわ、俺じゃん」と戦慄したものの「ここまで徹底して言及できないわ、僕はまともだ。」とも思った。そうだよね?
★ソチミルコの人形島:
クトゥルフ神話TRPGに、これを題材にしたシナリオがある(未プレイ)。おじさんの写真の話はもちろん実話である。
★本作品の画像は変な意味ではなくて、
¡Vente a la playa, tengo plátanos en un plato de plata!という「ビーチ(playa)においで!バナナ(plátanos)を銀の(plata)お皿(plato)にのせて待ってるよ!」という、同じ語源のスペイン語単語を並べて作った文から生成したものです。
playa(ビーチ)以外は、すべて「平らなもの」を意味するラテン語、plattusが語源(具体的には、平らな「皿」、平らな板状の「銀」、葉が平らで広い「バナナ」)。
えーと、なんか…捧げることを象徴してます。
が、ホントに来たら、クリスのように、後ろのメキシコの紅蓮の海の「ダゴン」の餌食になるでしょう!
(『マーティンズ・ビーチの恐怖』(H・P・ラヴクラフト作)のイメージ)
★陰キャ畑に咲くウ~!一輪のオォ~…花ッ!キュア・アズ!:
『ハートキャッチプリキュア!』の口上のパロディ。
梓はazúcarと聞き間違えられると前話で書きましたがazul(青)と呼ばれることも。
ちな、いつきちゃんは僕の初恋・僕の嫁です。
そのあとの口上も考えてみました。
Ni dulce como el azúcar,
(砂糖のようには甘くなく)
ni libre como el cielo azul.
(青空のように自由でもない)
Soy amargo y tengo letargo,
(むしろ僕は苦くてダルい)
en el abismo me hundo largo…
(深淵の奥底へと沈んでいく…)
¡La flor que brilla, en la semilla de la pesadilla!
悪夢(de la pesadilla)
種で(en la semilla)
輝く(que brilla)
一輪の花ッ(La flor)!
¡Cure Azul!
ちなみに「陰キャ畑に咲くウ~」といった女子とは、その後プリキュア同志となり『わんだふるぷりきゅあ!』の恋の行方や「大福君」の尊さを共有した。
¡Muchas gracias de corazón!
By ♰梓/Keni Nacastli Atyalan Miguel ♰
===To be continued==>>>>#6
【本記事における引用・オマージュについて】
本連作(全15話)では、作品の特性上、多数のカルチャー作品をオマージュ・引用しています。本文中で多用している『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦作)の正式な出典表記につきましては、第1話「『ケニィの心臓❤バグ野郎 de 月臍国墨祭市』#1【イントロダクション】」にて示しております。そのため、第2話以降の本文中では「ジョジョ」と略して記載しています。
※その他の作品の出典・引用元については、各話の本文中にてその都度記載しております。
