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携帯を失った日から始まったリスタート

私は以前、後払いサービスを安易に利用していました。
その場では便利でしたが、気が付けば毎月の支払いが膨らみ、
生活を圧迫するようになっていました。

それでも、健康だったときは支払えていたので、
「いいか」と思っていました。
振り返ると、私自身の甘さや判断ミスもありました。

そんな中、心不全と心筋梗塞で入院することになりました。
その年の2月に転職したばかりで有給もなく、
長期入院となったため職を失いました。
すごく悔しい思いをしましたが、ICUにいたため、何もできませんでした。

すると、収入が不安定になり携帯料金も支払えない月が増え、
不本意ながら何度か利用停止と復活を繰り返しました。
入院中は収入も減り、支払いもさらに厳しくなりました。

そして退院後に待っていたのは、携帯電話の強制解約でした。
約25年間使い続けてきた電話番号を失った瞬間でした。
若い頃から使い続けていた番号です。
友人、知人、仕事関係者、多くの人とつながっていた番号でした。
「とうとうここまで来てしまったか」

過去に使用していたスマホ

ICUのベッドの上で命は助かりました。
しかし退院して待っていたのは、仕事も携帯も失った現実でした。

長年使ってきた電話番号が消えた瞬間、自分が社会から切り離されたような気持ちになりました。

私は、いつものように月またぎで払えればと考えていたのですが、
退院当時の私の収入と請求額、生活費などの現実を突きつけられると、
その考えは通用しませんでした。

また、18歳のころからお世話になっている先輩から、
「電話が…」という件名のメールが届きました。
内容は、病気のことや私の状況を心配してくれていました。

スマートフォン本体はあるものの、
もう電話の受発信はできないという現実でした。

画面には見慣れたアプリが並んでいるのに、
自分の電話番号だけがなくなっていました。
「もうこの番号には誰もかけてこないんだ」と思い知らされました。

病気で仕事を失い、ようやく退院できたと思ったら、
今度は社会とのつながりまで失ってしまったようでした。
友人や仕事関係の人へ自分から連絡することもできず、
「自分はこのまま取り残されるのではないか」という不安が
何度も頭をよぎりました。

病気そのものよりも、社会との接点を一つずつ失っていく現実の方が、
精神的にはつらかったことを今でも覚えています。

心臓は元通りではない。
仕事もない。
携帯もない。
50代になって、まさか自分が
こんな状況になるとは思ってもいませんでした。

携帯電話が使えなくなって初めて気づいたことがあります。
今の時代、携帯電話は単なる連絡手段ではありません。
仕事を探すにも必要です。
フリマサイトの認証にも携帯電話が必要です。
仕事だけではなく、
日常生活のさまざまな場面で携帯電話が欠かせない
存在になっていることを、あらためて実感しました。
携帯がないだけで、
社会とのつながりが急に細くなったような感覚になりました。

その後は050のIP電話を利用し、自宅ではWi-Fi環境で生活しました。
外出時はポケットWi-Fiを持ち歩かなければ電話もできません。
例えば薬局へ処方箋を送っても折り返しの電話が病院内の地下駐車場で
Wi-Fiが弱くとれなかったり、
フリマの認証などがすごく困りました。
また、履歴書の番号を050にしているので、かかってくるのですが、
家の電話としても使っていたので、
家族の電話もかかってきたりと想像以上に大変でした。

求人への応募や企業とのやり取りも不便でした。
「携帯電話がない」というだけで、
これほど不自由になるのかと実感しました。

さらに私は心臓の障害により障害者手帳を取得しました。
社会復帰を目指して行政へ相談していた時、一枚のチラシを見せてもらいました。それが「誰でもスマホ」でした。

正直なところ、最初は何とか昔の番号を復活させた方がいいのでは?
と思っており半信半疑でした。
だけど、これ以上携帯料金にお金を割くこともできず、
応募先や薬局、病院との連絡が必要なのもしっかり考えて、
決断しました。

しかし、これから社会復帰するためには携帯電話が必要不可欠です。
私は思い切って申し込みを決断しました。
25年間使い続けた電話番号を手放すことには寂しさもありました。

それでも過去に区切りをつけ、新しい人生を始めるためだと思い、
新しい番号で契約しました。
すると不思議なことに、
携帯電話を持てたことが社会復帰への第一歩になりました。
ちょうどその頃から障害者雇用の話も進み始めました。
「あの時、契約して本当に良かった」
そう思う場面が何度もありました。
そして、携帯が持てたことで応募した企業とのやり取りもスムーズになり、
大変助かりました。

企業との連絡もスムーズになり、
就職活動も以前より進めやすくなりました。
問い合わせへの対応も丁寧で、不安なく利用できています。
現在は以前使っていたスマートフォンにSIMカードを
入れて利用しています。
携帯を持てなかった頃は、「自分はもう社会に戻れないのではないか」と
不安になることもありました。

しかし今は違います。
携帯電話を持てたことがゴールではなく、
リスタートのスタートラインでした。
心不全、心筋梗塞、障害者手帳、携帯の強制解約。
決して順風満帆な人生ではありませんでした。

障がい者雇用として再スタートできました。

それでも一つずつ問題を解決しながら前へ進んでいます。
もし今、携帯を持てずに悩んでいる人がいるなら伝えたいです。
携帯を失ったことが人生の終わりではありません。

そこからでも、もう一度やり直すことはできます。
現在は障害者雇用での再就職をはたし、一歩ずつ社会復帰を進めています。

携帯を失った日には想像もできませんでしたが、
今は前を向いて歩いています。
あの日の強制解約は終わりではなく、
新しい人生のスタートでした。
私は今日も、そのリスタートの道を歩いています。

#リスタート前夜記
#リスタート体験談
#誰でもスマホ


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ケンイチ|生かされている途中|ハルがくれた未来へ web関係のお仕事をかれこれ18年ほど。主にECサイトの運営、構築をしております。営業・人事・総務・経理も約14年くらい経験あり、また保育士としても約2年ほど勤務してました。趣味はガンプラ・カラオケ・海釣りなど。