「これ、どうやって撮ったんや?」
新聞で、はやぶさ2が撮影した小惑星「トリフネ」の写真を見た。
最初に思ったのは、
「きれいだな。」
ではなかった。
「これ、どうやって撮ったんや?」
どんなカメラで。
どんなレンズで。
シャッタースピードは。
誰がシャッターを押したんだろう。押せるわけないか(笑)
気になり始めると止まらなくなった。
調べてみると、使われていたのは「ONC-T」という望遠カメラだった。
焦点距離は120.5mm。
フルサイズ換算で約400mm相当。
画素数は1024×1024。
たった100万画素。
しかも10年以上前に開発されたカメラだという。

最近のスマートフォンにも遠く及ばないスペックである。
さらに驚いた。
トリフネを最初に見つけたとき、その姿はまだ1ピクセルにも満たなかった。
それでも、その小さな光の点だけで探査機は自分の位置を確認し、軌道を修正しながら目的地へ向かっていく。
そして今回のフライバイ。
探査機はトリフネのすぐ近くを、秒速約5km(時速約18,000km)で通過した。
東京から新大阪まで約515km。
この速度なら、わずか1分43秒で走り抜けてしまう。
そんな速度で飛びながら、400mm相当の望遠カメラで鮮明な写真を撮影したという。
ここで、また「?」が増えた。
400mm相当の画角は約6.3度。
もし1km先を撮れば、画面に写る範囲は約110mしかない。
一方、トリフネは直径およそ500〜800m。
「最接近した写真なら、画面からはみ出すはずやん。」
そう思って計算してみると、全景を収めるには5〜7kmほど離れている必要があることも分かった。
つまり、僕たちがニュースで見ている一枚にも、ちゃんと理由がある。
さらに調べると、答えはシャッタースピードではなかった。
探査機は、事前に計算された軌道に合わせて自分自身の向きを変えながら小惑星を追い続けていた。
地球からシャッターを押しているわけでもない。
すべては、何週間も前から計算されたプログラムどおりに実行されている。
NHKのニュースでは、
「はやぶさ2が小惑星トリフネのすぐそばを極めて速いスピードで通過する『フライバイ』を行った際に撮影した画像を公開しました。」
と紹介されていた。
多くの人は、「すごい。」で終わるのかもしれない。
でも僕は、その一枚の写真を見て立ち止まってしまった。
「これ、どうやって撮ったんや?」
調べ始めると、新しい「?」が次々と現れる。
その「?」が、また次の「?」を連れてくる。
だから僕は、「?」を探すのが好きなんだと思う。
ところで、もう一つ気になることがあった。
公開された画像のサイズは1400×1234ピクセル。
ONC-Tの仕様は1024×1024ピクセルだ。
「なんでやろ?」トリミングしてないのか。
回転補正したのか。画像を拡大したのか。
科学データを見やすく加工しただけなのか。
調べても、まだはっきりとは分からない。
でも、こういう「?」が残るのも嫌いじゃない。
