1人TOUR DE EURO97 その57 ツェルマット、そこに山があるから
1997年の夏。
24歳の僕は、たった一人でヨーロッパを90日間かけて一周する旅に出た。
旅の名前は「一人ツール・ド・ユーロ」
フランスには「ツール・ド・フランス」という有名な自転車レースがあり、それにちなんで、人生のレースという意味を込めて名づけました。もちろん僕の旅はレースではない。誰かと競うわけでもないけれど過酷さだけは負けていなかった。
会社に人間関係に疲弊した3年間を過ごし。僕はもう死にたいでも死ぬ勇気はない。最後にせめて世界を見てみたい。そう思って会社を辞めて全財産をバックパッカーに詰め込んで日本を出ました。
たった90日間の旅がその後の人生を確実に変えました。
この旅で、僕はたくさん迷って、たくさん考えることになります。
「自分の人生って」
「自分は何を求めているのか」
「なぜ、こんなにも遠くまで来たのか」
今になって思う。あの頃の自分に伝えたい言葉がある。
世界は、広いようで意外と狭い。
これは、24歳の僕が見た世界の記録。
旅のルートを知りたい方はこちらです。
57)1997年9月9日-ツェルマット(スイス)

火曜日。朝7時に起き部屋の窓からマッターホルンを見ると山頂が少し見える。朝日に当たり輝いている。寝心地もよかった。朝食も量が多く、種類も豊富。バイキング形式で食べれるからホテル並のサービスに驚き。
昨日仲良くなったメンバーと朝食を取りながら今日の予定を話していた。
バイキングだから昼ごはんにサンドイッチを作った。これは貧乏旅行者あるあるだけど朝食を利用して昼ごはんを浮かす作戦。
7時30分頃から6人でスネガの山を登りに行った。地下ケーブルで山を20分ほど登る。その先にある小さな湖にマッターホルンが写るのを見に行く。朝の時間は水も澄んで綺麗で風が少ないから鏡のように湖が反射するらしい。

ツェルマット駅の横を線路に沿って約600m歩くとマッターフィスパ川にでて橋を渡り川沿いに歩くとアルペン・メトロ駅に出る。地下に駅があり上りと下りが滑車のようになり急斜面をケーブルで繋がれ互いに上下する方法。だから車両に動力はない。
標高は1621mがアルペン・メトロ駅で2290mのスネガ展望台まで上る。ツェルマットの町を見下ろすようにハイキングコースが下に向かい続いている。
そこから10分程度歩くとライゼー湖(Leisee)に着く。
ここが有名な逆さマッターホルンの名所らしい。朝早く見に来たかいがあった。湖の水は鏡のように小波一つなく綺麗にマッターホルンを反射していた。
こんなに綺麗に反射するものかと思うほど綺麗だった。湖畔を過ぎると羊の群れが放牧されていて何とものどかな風景を作っている。歩いて山を下山。色んな人が攻略方法を考えてて僕はそれに便乗して着いていってるような感じだ。朝一番はここが定番で6人で見に行った。

今日は雲ひとつない綺麗な晴れ空。
山を下りて町に戻ったのは9時過ぎ。それから各自、また行きたいルートが違いバラバラになった。
僕はクラインマッターホルンに行くグループと同行する事にした。他にもハングライダーをするグループもいた。
クライン・マッターホルンは、かなり標高の高いところまで上がるみたいだ。ゴンドラとロープウエーを乗り継いで行く。最初のゴンドラ乗り場はマッターフィスパ川岸を上流に歩いて,ツェルマットの村はずれのシュルーマッテン (Schluhmatten) というところにゴンドラ乗り場がある。ゴンドラの終点フーリに着きここでロープウエイに乗り換える。さらに高い支柱のロープウエイを乗り継ぎ、一挙に標高3,820mの高地へ!

ロープウエイ駅からトンネルを歩き、最後は頂上へエレベーターに乗り標高3,883mの展望台へ。
富士山よりも高く、シャモニのエギーユ・ディ・ミディ(3,842m)よりも高い、ヨーロッパで通常行くことのできる最高点になるらしい。とにかく寒かった。酸素もかなり薄く感じる。富士山よりも高い位置に来ているのが不思議な感覚。
3回くらい乗り継ぎようやくたどり着いた。42スイスフラン(3800円程)。大パノラマに感動する。万年氷河が目の前に広がる。遠近感が無くなるような感じ。遠くにある氷河の上に岩がある。ここからみると、小さい岩かなと思うけど近くに行くと、とてつもなく大きな岩かもしれない。
遠くまで広がる氷河の真ん中に立ったなら、ここまで戻ってこれるのだろうか?そんなくらい広大な氷河のパノラマだった。印象的だったのは展望台にあるキリストの十字架だ。まさに地の果てだ



昼ごろには山を降りて次の目的地に向かう。次の目的地はゴルナーグラートだ。でも、あまりにも登山鉄道を乗っていては破産する。色々相談してて、3人で半額パスを購入する事にした。スイス国内で有効でこの先も他の町で利用するならメリットがあると思い登山鉄道の半額パスを購入。
ゴルナーグラートの山頂には片道半額で18スイスフラン(1500円程)だった。3人で山頂を登山列車で目指す。列車の中の人とのふれあいも楽しかった。みんな旅行者にも親切でスイスに来ていい人しか出会っていない気がする。

ゴルナグラート (Gornergrat) は登山鉄道で登れる展望台としてはスイスで2番目に高い位置にあって,標高は3000 m以上でも気軽に登ることができる。ツェルマットからの所要時間は約40分でマッターホルンとゴルナー氷河,モンテ・ローザ山群が一望に見渡せる。なお,登山鉄道 GGB (Gornertgrat-Bahn) の開通は1898年で,約100周年というから歴史もあるようだ。
展望台ではドイツ人の写真家と仲良くなり写真をとった。天気もいいし クラインマッターホルンに比べると、寒くもないし展望台としては一番いい場所だ。
ゴルナーグラート鉄道の終着駅は標高3,089m。この駅と始発のツェルマット駅(標高1,604m)との標高差は約1,500mにもなる。駅近くの尾根の南西端には、展望台とホテルがあった。ここから町までのハイキングコースを下山していく。このハイキングが本当に楽しい。はじめは線路に沿って下に下りていく。岩がごろごろとして歩きにくい。


そのうち草原に変わり牛や羊もいる。大きなベルを首に付けてかわいい。草原を抜けると断崖絶壁の景色を見ながら歩いたと思うと次は小川のせせらぎを聞きながら森の中を歩く。途中で川のほとりでサンドイッチを食べた。
アルプスの少女ハイジの世界だ。寝ころびながら下を見ると遥か下にツェルマットの街が見えている。まだまだ遠いけど絶景だ。
夕方までにはたどり着けるかな~と言いながら歩き出す。驚いたのは途中で大きな地響きとともに何かが倒れる音が何回もする。それは氷河の上に積もった雪が谷底に崩れ落ちる音。すごい音だった。大自然の中にいる無力で小さな生き物にすぎない自分を感じる。それにしても、こんなに山歩きが楽しいなんで今まで経験した事もなかった。
景色が次々と変わり変化に富んでいく、なんとなく道がある所を歩く。おそらく、色んな人たちが僕らと同じように山を降りていると思うけど、それぞれルートが違うようだ。草が少なく土が見えて遠目にも道らしくみえたり草で消えたり、本当にそんな感じで下に下に下っていく。

途中で木の枝を捜して杖にしたり川で休憩して天然水を飲むとミネラルウォーターのエビアンよりおいしい。3時間以上かかりようやく、街まで降りてくる事が出来た。
YHに戻ると朝のメンバーと合流し、みんなで夕食をYHで食べてから8人で街中のレストランにチーズフォンデュを食べに行った。
恥ずかしながら僕は初めてチーズフォンデュという食べ物を知った。だから料理の斬新さに驚いた。かなり白ワインがきつくお酒の香りがプンプン。ここで知り合った人たちは、みんな同じ目的を持つ人たちばかり。だから話も合うし面白い。
小さい国、町だから同じ目的地で同じ行動になるので、仲良くもなりやすい。みんなで旅のルートを話し合う。僕はある人たちと大体スイスの周り方が近いのでお互いに調整しながら一緒にスイスを回れるような話しをした。
そして、みんなで案を出し合い明日はインターラーケンに行く事にした。といってもみんな同じというわけではなくお互いの日程、ルートで微妙なズレはありそうだけど、5人がインターラーケン行きに同行する事になった。僕も楽しいメンバーともう少し一緒に旅したいのでインターラーケンに向かう事にした。
小さい町なので見所は攻略したと思うが、もっと遊ぶには日数がかかる。でも今までの旅の中でも1番の町と出会いと風景と言えるかもしれない。スイスに来ないかもしれなかったとミラノで考えていた事が現実にならなくて良かった。スイスは高額だけど来て本当に良かったと思った。夏場のツェルマットが最高に綺麗だと思う。

教訓
1.とにかく綺麗すぎる景色
2.チーズフォンデュ初体験
3.高山鉄道はほんと高いから気を付けないとお金がなくなる
次回は、その58仲間と星を見ながら泣いた話です。
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娘が留学をすることになり、何か僕も父として背中を見せて、一人でもがんばって負けないように生きていけるように挑戦を始めました。娘との思い出もここに沢山残そうと思い記事を書いています。少しでも応援してもらえたらウレシイです。いただいたチップは活動費に使わせていただきます。