1人TOUR DE EURO97 その55 F1観戦で友達全員スリに合う
1997年の夏。
24歳の僕は、たった一人でヨーロッパを90日間かけて一周する旅に出た。
旅の名前は「一人ツール・ド・ユーロ」
フランスには「ツール・ド・フランス」という有名な自転車レースがあり、それにちなんで、人生のレースという意味を込めて名づけました。もちろん僕の旅はレースではない。誰かと競うわけでもないけれど過酷さだけは負けていなかった。
会社に人間関係に疲弊した3年間を過ごし。僕はもう死にたいでも死ぬ勇気はない。最後にせめて世界を見てみたい。そう思って会社を辞めて全財産をバックパッカーに詰め込んで日本を出ました。
たった90日間の旅がその後の人生を確実に変えました。
この旅で、僕はたくさん迷って、たくさん考えることになります。
「自分の人生って」
「自分は何を求めているのか」
「なぜ、こんなにも遠くまで来たのか」
今になって思う。あの頃の自分に伝えたい言葉がある。
世界は、広いようで意外と狭い。
これは、24歳の僕が見た世界の記録。
旅のルートを知りたい方はこちらです。
55)1997年9月7日-モンツァ(イタリア)

日曜日。F1好きが集まり5人でモンツァサーキットへ向かった。モンツァ行きの列車の中でメンバーと僕ははぐれてしまった。すごく人が多くビックリ。仕方なく一人で行くことになった。実は昨日ダフ屋で今日の入場料だけのチケットを購入しているから公園内には入れる。でも席はないので立ち見だ。もう一度ダフ屋を探すが今日は中々見つからない。さすがに決勝は売り切れたのかチケットが手に入らなそういだ。
それにしても、人の数がすごい。公園内に入り急いでホームストレートを越え1コーナー側を目ざして歩く。モンツァの森の中は朝の霧もやがまだあり太陽光が木と木の間から差し込む。森の奥からエンジン音が聞こえてきた。何とも幻想的な雰囲気。
朝早い時間に霧の奥から聞こえるエンジン音。コースが近づいている事を教えてくれる。いったい何のマシンが走っているのか?気になり走ってコースを目指す。森の中にエンジン音と焦げたオイルの匂い。路面に焼きつくタイヤカスの匂いがサーキットに来たという実感をさらに強くしてくれる。
ここはフェラーリの地元イタリアGPで伝統あるモンツァサーキット。ティフォシで埋め尽くされ赤以外は目に入らない。F1はフェラーリの為に、フェラーリはF1の為に。フェラーリを応援するための場所だ。

F1ファンなら一度は来てみたいサーキットだと思う。そんな場所に来ている事が信じれないでいる。でも、このエンジン音が心臓に突き刺さり夢じゃないと教えてくれる。TVでは決して味わえないこの体感だ。決勝は午後の3時。今は朝10時30分。1コーナーにたどり着くけど人が多く金網越しはもう人で埋まっている。1コーナーのスタンドに潜り込めないかチャレンジ。立警備員らしきおじさんの手にお金をにぎらし中に入れてくれを誘惑してみた。でも綺麗に断られた。駄目だ!と言われお金を返された。やっぱダメか思ったよりガードが固かったな。
イベント場所にまで足を運びまた、ウロウロ。決勝の時間が近づく。もう一度1コーナー側に戻る事にした。やはり、観戦するならあそこが1番よさそうだ。急いで戻り人の中をすり抜け少しでも前列に入れないか場所を探す。
最後のフリー中でジャンアレジが僕らの目の前に突っ込んでクラッシュ。1コーナーから立ち上がってアクセル全開に上げる場所でマシンの挙動が崩れすごい音とともにマシンがスライドして目の前の金網に向かって滑ってきた。みんな、思わず後ろに倒れ僕も驚き後ろにのけぞる。
するとマシンからアレジが出てきて残念そうな顔をしているけど目の前にアレジがいる事にみんな大興奮して「ブラボー!ジャン」の連発でアレジを応援している。
アレジも手を振り声援に答えていた。
クラッシュはアレジのブレーキングでのミスと思われるがブラボー!の連発だ。ブーイングなんて全くなかった。やはりすごい人気だ。アレジはポールポジションだったからマシンを壊しスペアーカーで決勝を戦う事になる。それにしてもすごい音でマシンが突っ込んできたな。TVだと、そこまでの迫力はない。
決勝レースの前にはドライバーがオープンカーにのりコースを1周してファンサービスのドライバーズパレードがあった。そして決勝の前にダイアナ元王妃の事故を追悼し黙とうが1分間行われた。全員のドライバーの腕には黒い喪章付けている。さらにウイリアムズはイギリスのチームでダイアナ元王妃との関係もありマシン自体に喪章のカラーリングがされていた。

僕が見ている金網越しの1コーナーの横のスタンド席では超大きなフェラーリのエンブレムのシートが広げられてスタンドを埋めている。ヘリコプターから毎年中継される有名なやつ。盛り上がりがすごい。いよいよ決勝スタート。マシンはフォーメーションラップにはいり1コーナーを過ぎていき1周を終えてスターティンググリッドに戻ってきた。シグナルが赤から青に変り全車1コーナーに突っ込んでくた。
ジャンアレジは無事に1コーナーを1位のまま抜けていき、大きな事故がなくマシンは通りすぎていく。
緊張の糸は切れたような瞬間だ。目の前でのアクシデントも期待したけど無事に事故もなく安心もした。1コーナーは長い長いホームストレートからフルブレーキのシケインだ。最高速から急ブレーキをして立ち上がるのは迫力がある。
シフトを落とす時の音が聞こえてすごい。そしてシケインでの細かなハンドルさばきでの微調整でマシンをコントロールしているのがわかる。TVではそこまで見て分からなかったけどカートレースのようにマシンを左右に滑れせながらコーナーを抜けていくんだとおもった。
はやり生で見るとF1ドライバーの凄さが伝わる。
レースはアレジはピット作戦で2位に下がり、そのまま2位でチェッカーを受け優勝できなかった。残念だ。D・クルッサードが優勝。

チェッカーフラッグがフラれると、金網の一部が開封されてみんなコースになだれ込んでいった。これイタリア名物でコースを解放する。僕も1コーナーに入り数分前までF1マシンが走っていた場所を逆そうして表彰台があるところまで歩く。1コーナーから表彰台までかなり距離がある。歩くとかなり遠い。走りシャンペンファイトの近くまで向かう。
たどり着いた時は調度今からシャンペンファイトだ。もうすごい状況。ジャンアレジが2位でみんな盛り上がっている。こんなに、揉みくちゃにされるとは想像以上にお祭り騒ぎ。何が何か分からないような状況だった。僕の頭上にはシャンペンが少しだけ降ってきた。シャンペンファイトが終わり、表彰台からドライバーも去り、ようやく人が少しづつ流れ始めた。僕はフェラーリのピット前に向かった。朝一緒に来た日本人の知り合いと、もし迷子になればフェラーリのピット前付近で待ち合わせという事で話をしていたので行って見ると合流できた。
そこでみんな顔色が変わり青い顔をしている。どうしたのか聞いてみると、背中に背負っていたリュックから貴重品やパスポートを盗まれた人が続出。最後にコースの中でもみくちゃにされたときに、開けられスリにあったのだ。
それを聞いて僕も直ぐ確かめた。僕は腰にしていたポシェットを前にして貴重品を入れて、パスポートとかはYHのロッカーだから盗まれても大したものがないし、スリにも合っていないので一安心。けどリュックサックを背中に背負ってレース後コースで騒いでるメンバーは全滅というほどスリに合ってビックリ。
最悪ななのがパスポートや財布がなくなっている人がいたことだ。顔が真っ青になってた。

それにそても恐るべしイタリア。スリ大国イタリアだ。こんなドサクサにまぎれて集団でスリをする国だ!
合流した日本人の中には日本からのツアーもいて専用バスでミラノから来ていたので僕も帰りはそのバスにこっそり乗って帰る事にした。 日本旅行社の旗がついたバスに乗り込み後ろの席にばれないように座わる。満席じゃなく、ばれていない様子でミラノまで戻れた。ラッキー!おまけに水や果物のサービスまであった。添乗員も日本人でお疲れ様でした~とアナウンス。市内でバスを降りて、後は歩いてYHまで戻った。
バスの中で出会った人とも別れた。YHに戻りシャワーを浴びて11時ごろロビーにいく。そしてF1の話でメンバーと盛り上がった。でもやっぱりスリの話で盛り上がった。2日前にボローニャの駅で5分だけ会った人とYHで偶然にも再会。少しだけまた会話した。さあ長いミラノの滞在も今日が最後だ。
みんなもF1が終わるとミラノを出る人、観光して行く人と、また出会いと別れがある。
僕もイタリアを明日出国だ。 いよいよスイスに入国する。 イタリアは本当に楽しかった。人も面白いし歴史的建造物も多く、芸術的にもすばらしく食事も美味しく見所が多い。どこの国よりも楽しめたと思う。
暑い夏と共にイタリアの旅を終えて、また別の国を目指す事になる。
多分、もうイタリアには戻らないだろうから寂しいけど十分楽しんだと思う。でも本当にイタリアはスリ大国。ここまでスリを街中でしてくる国ははじめてだ。この国民性は一体何なんだと思う。イタリアに旅に行くなら十分スリには気を付けてください。どこでもリュックは絶対後ろに背負ってはダメ。
今日は1日疲れたので明日は移動日だ。さあ寝よう。
教訓
1.F1最高に楽しかった。
2.イタリア最後を満喫。
3.スリ大国イタリア。これは要注意だ。
次回は、その56ついにスイスへの話です。
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娘が留学をすることになり、何か僕も父として背中を見せて、一人でもがんばって負けないように生きていけるように挑戦を始めました。娘との思い出もここに沢山残そうと思い記事を書いています。少しでも応援してもらえたらウレシイです。いただいたチップは活動費に使わせていただきます。