1人TOUR DE EURO97 その9 魔女の宅急便の街
1997年の夏。
24歳の僕は、たった一人でヨーロッパを90日間かけて一周する旅に出た。
旅の名前は「一人ツール・ド・ユーロ」
フランスには「ツール・ド・フランス」という有名な自転車レースがあり、それにちなんで、人生のレースという意味を込めて名づけました。もちろん僕の旅はレースではない。誰かと競うわけでもないけれど過酷さだけは負けていなかった。
会社に人間関係に疲弊した3年間を過ごし。僕はもう死にたいでも死ぬ勇気はない。最後にせめて世界を見てみたい。そう思って会社を辞めて全財産をバックパッカーに詰め込んで日本を出ました。
たった90日間の旅がその後の人生を確実に変えました。
この旅で、僕はたくさん迷って、たくさん考えることになります。
「自分の人生って」
「自分は何を求めているのか」
「なぜ、こんなにも遠くまで来たのか」
今になって思う。あの頃の自分に伝えたい言葉がある。
世界は、広いようで意外と狭い。
これは、24歳の僕が見た世界の記録。
旅のルートを知りたい方はこちらです。
9)1997年7月23日-リスボン(マドリッド)

大航海時代の面影を残す美しい都市へ。
スペインのマドリッドを夜に出発した列車は、朝早くにポルトガルの首都リスボンのサンタアポローニャ駅に到着。
そのまま2日後にマドリッドへ戻るチケットを購入。滞在は2日間だけにして両替も済ませた。
地球の歩き方で調べたホテルに向かうためにサンタアポローニャ駅からカイスドソレド駅まで歩いていき、そこから電車に乗ってOeiras駅で下車(約30分くらい)場所はエストリルとリスボンとの中間くらいの位置。
さらに駅から30分程度歩くと大西洋に面した海沿いに黄色い建物の可愛い格安ホテル。
海沿いで眺めはいいけど正直何もない場所だった。
本に記載する少しの情報だけで探して来たけど意外と辿り着くことに自分でもビックリ。
時間が早いからチェックインはまだらしい。場所が辺鄙なところなので恐らく宿は取れそうだと確信し荷物をホテルに預けてリスボン市内に戻り散策することにした。ホテルは夜にチェックインしよう。流石にベッドは埋まらないだろうと思ったので気にせず市内へ。
リスボンの街の中心部は工事が色んな所で目立って騒がしい。また急な坂も多く歩くのも大変。首都にしては小さな町で旧市街でもあるから高層ビルも目立たず、いい雰囲気の街だ。
この土地でとれる粘土を焼いてつくられた洋瓦がオレンジに近い赤褐色を帯びて綺麗。それでも絵になる街だ。塩の香りもしてカモメも飛んで港町という雰囲気もあり居心地がいい感じ。

適当に人気そうな坂の途中にあるカフェに入りケーキとコーヒーを注文。
ポルトガル名物のパステル・デ・ナタを注文。今では日本でも普通に食べれるしエッグタルトとも呼ばれたりする。当時はまだ珍しかったように思う。
ペストリーと呼ばれる生地にカスタードを入れてシナモンやレモンの皮を少しいれてオーブンで焼くと香りがいい。中は熱々のカスタード。サクサクの生地。これは何個でも食べれそうな美味しさ。おやつには調度いい。
店員を呼んでお会計。お釣りを渡されたけど、お釣りが少ない。
あれ?と思って店員を呼び戻して「お釣りが少ない」とアピールすると「ごめんなさい」と謝ってきて、残りのお釣りを正しくくれた。これっえ旅行者だから騙そうとしているのか、本当に間違えたのか?
なんか疑ってしまうけど、僕もリスボンに来て直ぐなので金銭感覚もまだ浅いので微妙間違いなら気が付かない。
たとえば1000円の食事代に1万円渡してお釣りが2000円しかないような感じだからさすがに直ぐに気が付いた。でもこういう間違いって案外わざとしている可能性が高いから怖い。

店を出てから街をうろうろ歩く。坂を上る為の路面電車が絵になる。急こう配を可愛い路面電車が行き来している。あーこれってリスボンらしい。よく写真で見る風景だ。この風景ってリスボンだったのかと改めて思う。
狭い急な坂道を登る1両列車。町は石畳でレールがひかれて急な坂をカランカランと音を立てながら上る。生活するには坂が多くて大変という印象もあるけど絵になる風景。
リスボンは首都の割に大都会でもなく物価も極端に高くない。ここの気候は年間通しても温かく過ごしやすい。海辺からは少し距離はあるけど大西洋の塩の風が吹いてくるので開放的な気分にもなる。やはり四方が国に囲まれていないのは大きい。不思議だけど精神的に圧迫感が薄い。海に面している国というだけで解放感を感じる。
それにしてもリスボンって魔女の宅急便の舞台と似ている町だなぁ。
かなりのんびりとした生活習慣を感じるし、不思議なもので、みんな穏やかだ。
パンを釜で焼くいい匂いがしたり、洗濯物が沢山みえたり海が見えたり綺麗な街中に庶民の生活の一部が垣間見える街。
なんだか、僕にはリスボンにきて少し寂しい雰囲気を感じていた。
どこからくる寂しさだろうか?
なんか急に日本の事を思いだしてしまう。
旅をしてまだ数日しか経っていないのに街を移動する度に心はリセットされ、この気持ちを誰かに伝えたくなる。でも一人旅だから誰かに伝えることもなく旅は続く。寂しさや伝えたい思いや聞いてほしい出来事が増えるたびに友達や親の顔が浮かび日本を思い出している。国を移動する度にこの感覚を今後も僕は味わうことになっていく。
あ~随分と日本から遠いところまで来たもんだ。
買ったパンをちぎりながら食べてホテルへ戻った。

この時の教訓は、
1、お釣りはちゃんと調べろ
2、パステル・デ・ナタ何個でも食べれる。
3、急な坂は絵になるけど登りたくない
次回は、その10はバカな旅人は端を目指すお話です。
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娘が留学をすることになり、何か僕も父として背中を見せて、一人でもがんばって負けないように生きていけるように挑戦を始めました。娘との思い出もここに沢山残そうと思い記事を書いています。少しでも応援してもらえたらウレシイです。いただいたチップは活動費に使わせていただきます。