1人TOUR DE EURO97 その48 サッカー開幕とダイアナ元王妃の事故
1997年の夏。
24歳の僕は、たった一人でヨーロッパを90日間かけて一周する旅に出た。
旅の名前は「一人ツール・ド・ユーロ」
フランスには「ツール・ド・フランス」という有名な自転車レースがあり、それにちなんで、人生のレースという意味を込めて名づけました。もちろん僕の旅はレースではない。誰かと競うわけでもないけれど過酷さだけは負けていなかった。
会社に人間関係に疲弊した3年間を過ごし。僕はもう死にたいでも死ぬ勇気はない。最後にせめて世界を見てみたい。そう思って会社を辞めて全財産をバックパッカーに詰め込んで日本を出ました。
たった90日間の旅がその後の人生を確実に変えました。
この旅で、僕はたくさん迷って、たくさん考えることになります。
「自分の人生って」
「自分は何を求めているのか」
「なぜ、こんなにも遠くまで来たのか」
今になって思う。あの頃の自分に伝えたい言葉がある。
世界は、広いようで意外と狭い。
これは、24歳の僕が見た世界の記録。
旅のルートを知りたい方はこちらです。
48)1997年8月31日-ミラノ(イタリア)

日曜日。今日は運命の日になりました。
早いもので8月も最後。昨日に知り合った仲間と今日の予定を大体話して3人でYHを出て街中のチケット売り場を探しに行く。正規販売店を見に行く事にした。
ある人に〇〇に正規チケット販売店があると聞いたので行って見た。
ようやく見つけた店は休日っぽい。ACミランのオフィシャル店らしき店だった。開幕だからOPENするかなと思い暫くまっていたけど店はひらかない。途中一人は抜けて2人になり、僕ら2人はサンシーロスタジアムまで行きダフ屋を探すことにした。昨日と同じ場所にダフ屋がいてチケット交渉。僕のチケットを含めて同じ席になるように交換。場所は昨日と同じくゴールの後ろの方だった。

チケットを手に入れインテルのユニホームを購入。2枚で1700リラで青と黒のラインの入ったユニホーム。インテルサポーター気分。背番号が10番のロナウド(ブラジル)だ。今年からインテルに移籍したらしい。
その後、YHに戻り、別行動になり、僕は別の男性と合流。
昨日遅くまで会話していた人だ。
彼は今日宿を出てパリに向かうらしい。サッカー見たいけどお金がなくお金を借りるためにパリへ移動のようだ。
昨日夜に沢山話をしたので親近感もあり、早い別れに残念だった。
まだ時間あるので僕に美味しいアイスコーヒーの店があるから紹介したいといい連れ出された。彼と二人で彼の言う美味しいアイスコーヒー屋へ向かう。
小さなバーで昼間も営業をしている。
カウンターに座わると、50歳は超えていると思う髭の似合うバーテンがいて二人はアイスコーヒーを頼んだ。彼も先に宿に住んでいた人から教えてもらい。僕に教えようと誘ってくれたようだ。
そんなに美味しの?わざわざアイスコーヒー美味しいからといっいて行くような店なのか疑問だったけど、僕らが注文をすると、バーテンのオジサンはカクテルを作るようにシェーカーにミルクを入れ、他にも何かをいれ氷を入れてシャカシャカと振り出した。そして、タンブラーグラスに注がれたエスプレッソにシェーカーしたミルクを注いで完成した。
それが今まで飲んだことがないようなアイスコーヒーの味だった。
このまろやかさには驚いた。本当に人に紹介したくなるアイスコーヒーだ。
もし人生で最高のアイスコーヒーはどれだと聞かれたら、間違いなくここのアイスコーヒーだろう。まぁ聞かれる事はないけど(笑)
僕ら二人は旅の話をお互いにしながら盛り上がっていた。彼はお金が底をつきて旅を途中で断念中。お金を工面するためにパリにいる親友を訪ねるらしい。そこでもし親友に会えなければヤバイって言ってた。僕も人にお金を貸すほど余裕はないからお金を貸す事はできなかったけど、晩御飯のパンとスナックと水を買ってあげた。寝台列車で食べれるようにと。
店を出る時に、彼は僕に紙袋を渡してきて
「これ君に渡すよ」と言われ紙袋に入った本を渡されました。
暇なときに読むと参考になるよというので本を預かり…というか譲りうけます。
紙袋の上から触る感じではハードカバーの本。
荷物になるので少し僕も戸惑いはあったけど、確かに暇な時間多いから日本語の本はありがたい。地球の歩き方ばかり読んでるので他の本が恋しかった。せっかくなので受け取った。そのままYHに戻り彼は荷物を持ち駅へ向かうので僕は見送りに行った。駅で手を振り別れた。同じヨーロッパの中を旅していたら、またどこかの街でふと会える気がする。でも、これが最後の別れになることも分かっている。次は世界のどこで会う?無事に日本に帰れよ。そうしたら旅は成功だ。Good luck!
そんな言葉を最後に分かれた。
彼は僕に1冊の本を託したけど、僕は彼に渡せたのは、パンと水だ。
お互いの旅はまだまだ続く。
そのまま、夕方になるとサッカーを観戦するために友達と合流しサンシーロスタジアムへ。
開幕戦とあり、スタジアムの周りも熱気がでてきた。
このサンシーロースタジアムは8万人が動員できるらしい。
サポーターが続々と沢山集まってきている。首からタオルをぶら下げて顔にメイクして今日の開幕の見所は移籍してきたスーパースターのロナウドみたいだ。
もう熱気がすごい。試合前からすごい盛り上がりを見せている。

スタジアムの歓声は心臓を揺らすくらい響く。ドォォォーッ!という歓声。
ゴールを決めた瞬間はまるで優勝したようなスタジアムが揺れた。
試合が終了してもしばらく席の周りで人が少なくなるのを待ちながら余韻に浸っていた。感動が覚めやらぬままYHに戻ると昨日のメンバーがロビーで集まってきた。みんな席は違うけど同じ試合をみていた。5人で街にでてピザを食べにいった。もうサッカーの話題で街中は盛り上がっている。
夜9時頃にYHに戻りロビーのTVでは試合をニュースで流している。僕らも興奮してみていた。夜の11時過ぎに衝撃なニュースが飛び込んできた。ダイアナ元王妃がパリで交通事故にあったというニュースだ。

詳しく分らないが車が大破している映像が映っていた。とにかく、これはすごいニュースだ。
ロンドンで宿泊したYHがダイアナ元王妃が結婚式を挙げた教会の近くだったので教会を見に行き当時の写真をみていたので驚いた。
まさか交通事故とは・・・・信じられない。ショックもあるがイタリアの街は、ダイアナよりサッカー開幕の興奮の方が強い。さすがイタリアだ。
昨日、今日知り合ったメンバーだけど、意気投合している。なんかすごく楽しいし。お互いの事を深く知らないもの同士だけど、サッカーの話題を中心に盛り上がるし旅の話も面白い。みんな、それぞれ事情も違うが旅を楽しむ共通点で、この時間を楽しんでいる。今日は1日疲れたが、心の底から楽しんだ気がしたな。
ちなみにイタリアではサッカーと言っても通じないフットボールと言っても通じない。カルチョ(calcio)と呼ばないと通じなかった。トトカルチョという言葉を聞いた事がある。サッカーの賭けのくじだ。まだ当時は日本ではなじみが少ない言葉だった。
この時の教訓は、
1、人生で一番おいしいアイスコーヒー
2、パンと水と引き換えに1冊の本を手に入れた
3、ダイアナ元王妃よりサッカー
次回は、その49 月曜日は観光できないイタリア話です。
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娘が留学をすることになり、何か僕も父として背中を見せて、一人でもがんばって負けないように生きていけるように挑戦を始めました。娘との思い出もここに沢山残そうと思い記事を書いています。少しでも応援してもらえたらウレシイです。いただいたチップは活動費に使わせていただきます。