1人TOUR DE EURO97 その83 のどかなストラスブール
1997年の夏。
24歳の僕は、たった一人でヨーロッパを90日間かけて一周する旅に出た。
旅の名前は「一人ツール・ド・ユーロ」
フランスには「ツール・ド・フランス」という有名な自転車レースがあり、それにちなんで、人生のレースという意味を込めて名づけました。もちろん僕の旅はレースではない。誰かと競うわけでもないけれど過酷さだけは負けていなかった。
会社に人間関係に疲弊した3年間を過ごし。僕はもう死にたいでも死ぬ勇気はない。最後にせめて世界を見てみたい。そう思って会社を辞めて全財産をバックパッカーに詰め込んで日本を出ました。
たった90日間の旅がその後の人生を確実に変えました。
この旅で、僕はたくさん迷って、たくさん考えることになります。
「自分の人生って」
「自分は何を求めているのか」
「なぜ、こんなにも遠くまで来たのか」
今になって思う。あの頃の自分に伝えたい言葉がある。
世界は、広いようで意外と狭い。
これは、24歳の僕が見た世界の記録。
旅のルートを知りたい方はこちらです。
83)1997年10月5日-ストラスブール(フランス)
日曜日。朝8時に起きて朝食。パンとコーヒーは自由だけどバターとジャムと蜂蜜の組み合わせかバターサラミとチーズの組合わせかを選択する方式だった。けちだな~と思いバターとジャムと蜂蜜を選んだ。パンを多めに取って昼用のサンドウィッチを作った。これも貧乏旅行者あるあるだ。食費を抑えるための知恵と言えばそうだけど。宿からしたら迷惑な話かもしれない。
まぁでもある程度、それを許容している感があるから、段々慣れていくと図々しくもなっていた。日本じゃ常識がないとかモラルがないとか恥ずかしいとかで避けるかもしれないけど、少ない予算で生きていかなければいけないから、当時は恥ずかしいとか言ってられなかったかも。
9時頃にチェックアウトして城壁沿いの道を朝日に照らされながら歩いたのが気持ちいい。今日も、のどかな光景が広がる。そのまま駅まで行き列車を待つ事にした。
10時1分発の列車でフランスのストラスブールに向かうことにした。ルクセンブルクより南に下りドイツの国境に近い町だ。ここを経由して夜には夜行でまた移動しよう。宿泊は避けて半日観光することにした。
ストラスブールはフランスの本当に東側だけど逆の西側にある世界遺産モン・サンミッシェルに行きたくなりルートを調べていた。
旅の途中でモンサンミッシェルの情報を聞いて絶対に行った方がいいと聞いていたので行こうと思いルートを見ていた。僕はそれまでモンサンミッシェルの存在を知らなかったので、なんだろう?そんなにいい場所というか、行かないといけない場所とは思っていなかったんです。
モンサンミッシェルのシーズンは9月末までらしく、当時は、10月からのYHは閉店しているみたい。場所が偏狭の地だからハイシーズンのみ営業しているのかもしれない。
フランスはパリを中心に各都市へ路線が広がっているので一旦パリに行ってからモンサンミッシェルへ行く方が交通の便がよさそうだ。でも日帰りで行くには厳しそうで1泊必要となるとYHがないと高くつく。どうしようかな?よいルートあるかな?ストラスブールに行く途中にそんな事を考えて移動していた。

12時にストラスブール駅に到着。ストラスブールを出発するのは夜の8時。時間はある。街中に行くとドイツの国境に近いから建築はドイツ風だ。ドイツに来たような感じだった。町の中心は教会で大きく立派な教会が見える。
ステンドグラスも大きく遠めでも迫力がある。想像していなかっただけに意外といい町だった。イル川に囲まれた町の中心は環境がよく観光客は多かった。
カテドラル(ノートルダム寺院)を目指して街中を抜けていく。狭い路地の先に見える大きなカテドラルは不気味なくらに思えるほどの色と形をしていた。中に入り上を目指して階段を上った。頂上まで行くと見晴らしがよさそうだ。
階段がすごく急で登るのが大変だった。はやり町一番の高層建築だけあって見晴らしは最高によかった。でも結構疲れた。
街中には ユーロスターのようなカッコいい路面電車が走っていた。
今日は日曜日だから閉まっている店も多く静かな時間を観光客は過ごしてるようだ。



全然フランスらしさを感じないけど川沿いや旧市街の中でのちょっとした芝生やベンチで本を読む人や音楽を聞く人、絵を描いている人、恋人と話している人、多くの人が一人で何やら自分だけの時間を過ごしている人が多い街。
本当に時間を有効に自分の為に使っているな~と思う。日本では、こんな時間の使い方は逆に時間の無駄のような感じで一人でボーっとしながら仕事を忘れてストレスから開放されている時間なんて無かったように思う。
でも、ここの人達はみんな、そんなストレスを溜めない開放の方法を知っているかのように各々が自分だけの時間を楽しんでいるように思う。なんだか羨ましい。
確かにヨーロッパに来て多くの国を周っていると日本ほど時間に追われて生きている国民はいないかもしれないと思った。みんな自分の為や家族の為の時間を上手く使っているように思える。長期休暇があるのも大きい。日本で仕事をしていた時には、考えられない事だった。仕事を休む事なんて許されなかったし朝から晩まで働いて家に帰り寝るだけだ。そんな毎日を繰り返していた日々を思い出す。
毎日家に戻るのは夜中だったし太陽をまともに見ていない感覚だった。こんな事していたら精神的におかしくなってしまう。とよく考えたものだ。
でもそれが当たり前というか働くサラリーマンの美学みたいな感じで嫌でも嫌と思わないふりをする自分がいた。よくある話だ。結局、そんな環境が嫌になり、そんな牢獄のような環境から抜け出して一人旅に出たくなったのだから。
でも、その厳しさが無ければ、そこから抜け出して、ここから逃げたいと思い、こんな一人旅なんてする事は逆に無かったかもしれない。
僕は単純に逃げてきたと思っている。
仕事が嫌になり逃げてきた。
日本が嫌になり逃げてきた。
自分を知らない環境に身を置きたくなった。
別に日本の他の都市でもよかったけど、どうせなら世界をみてやるか!と勢いだけで飛び出した。
世界を見てくる!そう言って仕事をやめる理由がほしかったのかもしれない。
でも、それは逃げではないと自分に言い聞かせながら退職をした。
今は過去がどうであれ、こうして旅してきた事を人生の宝のように思えるようになっている。なんなら友達に今すぐ仕事やめて旅行に行った方がいいと言いたいくらいだ。それくらい一人旅は得れるものが大きい。
旅をしていると、よくそんな事を考えてしまう。
もう少し散歩しよう。お腹が空いたので出店でクレープを食べた。他にもホットドッグも食べた。パンにソーセージという感覚じゃなく、ソーセージにパンがついているという逆の感覚だ。これが上手い。やはりドイツに近いだけありソーセージは最高に美味しい。
カテドラルより駅に近い広場でチェスをする人が沢山いた。よくみると一人の叔父さんが30人を相手に戦っている。叔父さんが真ん中に立ち周りに30人の人がいる。一人VS30人で対戦しながら駒を動かしている。横には巨大チェスをする人もいるし、それを見に来ているギャラリーが多い。
ウロウロ時間を費やしていると6時30分を超えていた。
日が沈むのも早くなったものだ。
7月にパリに来た時は日が沈むのが夜の10時を回ってたから今は普通に日本と同じような感覚で日が沈む。地球って不思議な事ばかりだ。
7時30分頃駅にきて時刻表を見ていると8時12分発の列車がタイムテーブルに出てきていない。おかしいな~まさか列車がもうないのか?と思い不安になり探していると日曜日なので8時54分発に変更されていた。
よかった~!列車があった。
これで、ここに野宿しなくてすむわ。
全く宿泊する予定してなかったのでYHは探してないから焦った。
待ち合わせ室で出発まで待機。すると日本人女性が泣きながら中に入ってきた。驚き声をかけた。
「どうしたの?僕も日本人です。何かあったの?」と尋ねた。
どうやら今日、日本からフランスに着いたばかりで、この駅でフランスに住む友人が迎えに来る予定らしい。待ち合わせ時刻を過ぎても来ないので不安になり泣き出したようで、この部屋に入ってきたようだ。
僕は「大丈夫。多分、渋滞かなにかで遅れているだけだよ」と言いながら慰めていた。
15分ほどすると駅構内に放送が流れ、どうやら彼女の名前を言っているようだ。英語での放送だったけど日本人がどうとか 言っている。その子は全く気がついていない様子だったけど、友人が来て放送をかけてくれているのでは?と伝え待ち合わせ場所かインフォメーションに行くように伝えた。
女の子は大きなトランクケースを持って待合室から出て行った。
「違うなら、また戻って来て、僕はまだここにいるのから」と言ったら
「分かった。ありがとう」と言いながら出て行った。
大丈夫かな~。30分たっても戻ってこなかったので、今頃は友人と再会しているだろう。その頃、ちょうど列車が入ってきた。8時54分に列車は出発した。色々な出来事があるものだ。今日は列車の中で寝た。

教訓
1.パンとソーセージばかり食べてる
2.1対30で戦うチェスの達人はギネスやろ
3.初めて海外きて待ち合わせ出来なければ泣きたくなるわ
次回は、その84まるでドラゴンがいそうなSFのような城塞都市カルカッソンヌ!の話です。
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娘が留学をすることになり、何か僕も父として背中を見せて、一人でもがんばって負けないように生きていけるように挑戦を始めました。娘との思い出もここに沢山残そうと思い記事を書いています。少しでも応援してもらえたらウレシイです。いただいたチップは活動費に使わせていただきます。