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ワインに深入りしないワインの話(7)~ ルビコンを渡る壁の花

このワインに使っているブドウは、ファモーズ(もしくはファモーゾ)という土着品種です。


サンタ・ルチア ファモーズ・クリュ・アルティジャナーレ

土着品種がブームになっているのは以前からですが、この品種はその中でも希少なもので、これを栽培している農家もワインに用いているワイナリーも数えるほどです。

その中心が、こちらのサンタルチアというイタリアのワイナリーです。
場所はエミリア・ロマーナ州(州都ボローニャ)の南東のほうです。

ボローニャの南にはトスカナ州フィレンツェがあり、その中間に位置しているエリアから採れたブドウです。

そのワイン地域の名称は、IGT(地理的特性表示)ルビコーネとなっています。ルビコン川を渡る故事の場所です。

ローマ帝国の時代に、ローマ本国の境界がこの川だったことから、この川を武装したまま入境した場合には帝国への反逆とみなすとされてきたのを、カエサルが敢えて渡河したことによるものだそうです。

古代はともかく、現在は長さ30キロ、川幅数メートルの小川なのだそうです。

また、「これがルビコン川だ」という確証がないために、イタリア国内のあちこちが「ウチの川がルビコンだ」と主張しているんだそうです。

ムッソリーニの時代には、ルビコン川はどこですかと聞かれても誰も返答できないからそれらしい川をルビコン川と名称変更したとか、他愛ないけれども興味深い話が山のようにウィキペディアには掲載されています。

ウィキペディアをけなす人は多く、「調べました」とか大真面目かつ大上段で発表するから期待してたら単にウィキを見ただけというあるあるにも事欠かないのですが、ブリタニカ国際大百科事典といってそのむかし成金の人が家を新築すると書店に百科事典をメートルで注文していたと言われた書架の花よりも、内容面ではウィキのほうが正確性が高いと言われているのもまた面白いところです。

何かというとウィキに頼って、使用頻度が高くて重宝している人に限って、他人が使った時にはけなすことが多いなど、常に苦笑と共にあるのがウィキのいいところです。

不平も不満も言わずに黙々といい仕事をすることが必ずしもいい評判につながるわけではないというのは人間もウィキも同じです。

さきほど書架の花と申しましたが、もちろん壁の花といえばテレビ公開番組で後方に座っている聴衆のことですが、かくいう店番も学生時代に一度だけ勤めたことがあります。

かの「朝まで生テレビ」の全盛期で、怒鳴り合いの激論を文字通り朝まで壁際に座って見ているだけでいいということで参加しました。

白々と明けた帰りに¥5,555円の領収書に三文判を捺したら、5千円札が一枚入ったテレビ局のロゴ付き封筒をもらい、源泉徴収の仕組を知ったのを思い出しました。

貧乏学生には割のいいバイトだと思いましたが、二度と声はかかりませんでした。議論の内容に興奮してヤジを飛ばしたのがいけなかったのでしょうか。

ルビコンは有名な場所ですが、ワインの世界でIGTルビコーネのワインはほとんど知名度がなく、話題にも上りません。

しかしこのワインを飲めばちょっとした意外な発見に心が躍ります。
濃い目の麦わら色で、ほとんどゴールドに近い輝きがあります。

白い花や蝋のねっとりした香りがあります。
次いで柑橘系の爽やかな香りがとってかわります。

飲んでみると、ネクタリン、黄桃など各種フルーツの風味が現れます。
果実感があり、重厚なニュアンスと共に複雑さもあって、なによりもバランスがよくまとまっています。

これまでにあまり経験したことのない方角の味わいがします。
フルーティな華やかさと太い骨格の共存です。

クリームシチュー、トマトソースで煮た豚肉、牛のピカタなどにもよく合います。

酒言葉=蹟傍

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